めざせダウニング街10番地
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英国のEU脱退問題(奇しくも第2部で英国のEC加盟がテーマの一つとなっている)および通常であれば解散権が ありながら任期ギリギリまで全うするという下院の慣例を破る解散総選挙のこともあり、 20年以上前に一度読んだ作品を再読。 貴族出身で家督を双子の兄に任せ、イートン-オックスフォード-陸軍と絵に描いたような経歴を持ち、 保守党に属するMPとなったチャールズ(下院議員)、BBCを経て同じく保守党に属するリーズ出身の 中流階級サイモンそして労働者階級である肉屋の息子で労働党に属するレイモンドという3人の MPが公私にわたるトラブルを乗り越え、時には危ない橋を渡り、内閣総理大臣を目指して 魑魅魍魎が闊歩する政界を渡り歩くという、おそらく作者のMPとしての経験が反映されているで あろう群像劇が描かれており、これは作者の意図したところではないかと思うが、結果的に英国の 立法府そして選挙制度がどのような仕組みになっているのかを学ぶことができるようになっている。 また、本作を最初に読んだ1990年代後半、保守党ジョン・メージャー政権末期からトニー・ブレア 率いる労働党が地滑り的に大勝し、分かりやすい形でパラダイムシフトが起きていた状況を 英国で目の当たりにしていた小生にとってある意味において生々しい話であり、英国人たちと 会話をするときに必要な基礎知識のひとつとして一助になった作品である。 気をつけるべきは、シャーロック・ホームズ同様英国各地の都市の位置関係やロンドンの地理が 頭に入っていないと分かりづらい部分が多々あったり、原文に目を通していないので本来は どうなのかは分からないが、群像劇であるため三人称で描かれていることもあり、地の文で 登場人物を姓で呼ぶのか名で呼ぶのかが固まっておらず、読み手によっては混乱して しまうことがあるのかも知れない。 | ||||
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主人公3人の25年にわたる競争を550ページにまとめるのが無理だと思う。 一つのシーンが短く、場面展開が多い。 そしてシーン毎の主人公が頻繁に入れ替わるので、誰の話だったか、毎回カバーの登場人物一覧を確認しなければならなかった。 もっと地味な議員活動の場面を入れて展開を落ち着かせないと、中途半端な盛り上がりの連続に飽きてしまう。 議会ネタなので、外せない作品であることは確かだが。 | ||||
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貴族、中間保守、労働階級、それぞれ出自の違う三人の主人公が、政治家となり、首相への道を競うお話。話が政治がらみということもあるためか、いつものアーチャーのスピード感はすこし犠牲になっているかもしれませんが、その代わり厚みのあるお話になっているような。解説で訳者の永井さんが、最初書かれたイギリス版では、イギリス独自の事情が海外の読者にわかりにくいだろうということで、よりわかりやすい設定にしたアメリカ版が後で書かれ、この本はアメリカ版を下敷きにしているようです(両者、結末も違うらしい)。ただそれでも、議会の仕組みやら階級性が下地になった社会もだけど、アーチャーのシニカルで気の利いた会話やら話運びやら結末もあわせて(こんなラストはほんとうにありそう)、イギリスだなあ、、、と嘆息するのでした。日本の政治や皇室のありかたも比べてちょっと考えてみたりしないでもないです。 | ||||
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『めざせダウニング街10番地』(ジェフリー・アーチャー著、永井淳訳、新潮文庫。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は、文句なしに面白い。 ダウニング街10番地とは、英国の首相官邸を意味している。首相の椅子を目指して鎬を削る男たちの中で、遂に勝利者となるのは誰か。実在の人物、事件が巧みに織り込まれ、快調なテンポで繰り広げられるサクセス・ストーリー。揺るぎない家庭が持つ意味の大きさが浮き彫りにされる。 政治家として波瀾万丈の経験をし、作家としては次から次へとヒットを飛ばしたジェフリー・アーチャーの作品は、どれも掛け値なしに楽しめる。 | ||||
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欧米だと、このように、政治家兼小説家というような人物を、割と目にするような気がします。 しかも、一議員ではなく、閣僚クラス。(ただ、このアーチャーは、そこまでいかないまま、 選挙活動に必要な金銭確保のため?の投資に失敗し、辞職しているようですが。) 自伝でさえ、おそらくゴーストライター依頼が多そうな、文章力のない日本の政治家達と 比べると、何か成熟を、感じさせます。 この小説中での、虚々実々の駆け引き、一歩抜きん出て、一見優勢に首相レースを進めていると 思われる候補者が、一転して窮地に追い込まれ、(中には、文字通り生命の危機にさえ晒される 候補者すら、存在する程)劣勢に立たされるなど、読み応えがありました。 また、必ずしも三人とも、完全とはいえず、女性・金銭など、どこかにそれぞれアキレス腱を 抱えながら、ライバルに激しい競争心を燃やし、何十年にも渡り、しぶとく首相の座を目指し続ける所も、 スリルを高めています。 それから、解説文にもある通り、作者自身が中流階級出身なので、 一番サイモンに強い思い入れを持って、描いているとありましたが、確かに、彼が三人の中では、 一番共感しやすい感じの人物に、描かれているような気がします。 絶対そいつに心許したりしちゃだめだよ!とか、頭はいいのに、ちょっと甘いなとか、じれったく 思う所が、ない訳でもなかったですが。 ご都合主義な、日本の政治漫画・小説と比べると、大変芸を感じさせ、かつ読み応えがあります。 ここら辺は、アーチャーの実際の議員経験が、存分に活かされているのかもしれませんね。 そして日本よりも、政治の成熟度の高さとか。 (父親が有名な世襲議員で、親から有形無形の財産を引き継ぐとか、付き合っている女性が、 プロデューサーだとか。人気推作家で理解ある夫に恵まれた、スーパーウーマンの、美人市長だの。 いつも、首相になるのも、世襲議員の主人公ばかりだし。このように、何かとお得なオプションに 恵まれ、基本的には、問題点なしといっていい主人公ばかり。 なぜか、あり得ると思われる、所属政党・他の党の議員達との足の引っ張り合いも、やっかみもないし。 総じてマスコミ受けも良し。その議員が、本当に有能で本当に国の事を考えている政治家だから という理由で、それらが説明されてしまう感じ。正攻法で、どこまでも順調に出世してしまう。) また、三人の首相候補者達の、ある一人以外は、どちらが首相になっても、ある程度納得いくような 感じになっているので、そこら辺も、上手いかもしれないですね。さすがプロというか。 しかし、ある候補者に終盤に起こる悲劇が、ややドラマチック過ぎ、(なぜに、役職とも関係あるとはいえ、この議員ばかりに、このように大きな試練を、与えるのか?とか。) また最後は、理想的過ぎる結末のような、気がしないでもないですが。 しかし、小説の世界でくらい、つい理想を描いてみたくなってしまうという事ですかね? それと、チャールズ以外の妻は、良妻みたいな女性ばかりとか、彼らの周囲の女性達は、 ちと都合のいい設定・類型的過ぎかな?という気が、してしまいましたが。 ただ、サイモンの妻は、完全な優等生タイプではなく、チャールズのあまりにも卑劣なやり口に 怒り、反撃を試みるのが、少し痛快でありましたが。 ふと思いましたが、そろそろ、自分が首相になりたがるような主人公、そしていつも首相になって 終わりみたいな話ばかりでなくて、黒子のバスケ政治版みたいなのが、読んでみたいですね。 自分が首相を目指すのではなくて、その補佐の才能をもってして、何としても自分が見込んだ政治家を、 首相にしてみせる!という、ナンバー2の美学を持った主人公というか。 こういった、ナンバー2を主役にした政治小説か、漫画というか。 そういえば、こういう名コンビが、日本の政治の世界から、失われて久しい、というような事を、 ある政治評論辺りも、言っていたような。 日本の政治が、特に平成前後くらいから、目に見えてだめになっているのも、そこら辺も関係しているのでは? 特に首相を目指すような政治家には、懐刀が欠かせないのに、それが不足の時代? 俺が俺がみたいな今の時代には、そういうなり手自体も、不足? それから、日本でも、そろそろ、この小説に出てくる、サイモンやレイモンドくらいの、野心と同じくらい高邁な理想と能力を持ち合わせた政治家達が、いい加減育って欲しいと、切に願います。 結局今回の参議院選挙も、どこにも投票する気がせず、今回も投票を見送ってしまった自分としては。 もっとも、それにはこういった政治家達を適切に評価できる、有権者側の成熟も、必要不可欠ですがね。(そう考えると、おそらく日本よりは、成熟しているのだろうとはいえ、やや、イギリスの有権者側も、この小説の中では、理想化されて、描かれ過ぎているのかもしれませんが。) これだけもう以前から、国際情勢が、激動し続けているというのに、ずっと内輪の村政治・ぬるま湯政治の、日本の政界と比べると、イギリス政界の緊迫感を感じる事ができる小説でした。 それにしても、イギリスの、フロントベンチャー・バックベンチャーシステムって、いいですね。 これなら、まさに働き盛り・最も政治家として経験・年齢共に、脂の乗り切った時期に、 閣僚に選ばれる事ができるし。最も、日本の場合、海外と比べて、どうも政治家の成熟が遅いようなので、必ずしも一概に言えませんが。全く日本に合っていなかった事が判明した、 小選挙区制より、こちらの制度の方を導入しろよと思ってしまいました。 でも、これだと、大体四十代頃には、閣僚候補の輝かしい出世組と、一生平議員で終わる議員達が、 早めに選別されるため、ある程度早めに頭角を現すように、必死で政治家達が努力をしなければいけないから、 長年の間、ぬるま湯に馴れきった、主に当時の自民党の世襲議員達が、小選挙区制度内容の、 中途半端な妥協と共に、こちらの方の導入自体に、猛反対したであろう事は、容易に想像できますが。 やはりイギリスでも、世襲議員以外は、選挙資金の捻出などもあり、経済的になかなか苦労している、 話には聞いていた、宗教の違いも絡んだ、アイルランド独立問題解決の難しさなど、 色々と勉強にもなりました。 | ||||
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