遠い遠い街角
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異形コレクションを主催、監修されていることで有名な井上雅彦氏の個人短編集です。最初、いつもと同じ耽美幻想小説集かと思って読み始めたのですが、今回は少し違っていました。なんというか主に昭和レトロ、少年少女向けSFテレビドラマのような趣というか。少し朱川湊人氏の昭和をテーマにした作品に似ていると思いましたが、朱川氏作品がどちらかといえば哀愁と退廃の香りがするのに対して、こちらは怪奇と未来SFといった趣。 物語は、昔タンテーと呼ばれていた少年、そして現在も探偵になってしまった調査会社を営む主人公の昔語りから始まります。かつてまだテレビにリモコンがなく、チャンネルをがちゃがちゃ回していた幼い頃の思い出、彼が出会った怪しいチンドン屋と不思議な女性と、奇怪な出来事。3作目では、彼と親友の後藤がバーで飲んでいるシーンから始まります。後藤も昔の遊び仲間でした。よっぱらった勢いで、彼らはバーテンダーに教えてもらった”本当の”駄菓子屋を探して、ビルの谷間に迷い込むのですが・・・。 このようにして、かつての仲間がだんだんと登場してきます。タンテー、後藤、オサム、ユキコ、キョージュ・・・彼らが出会った摩訶不思議な出来事。まるで江戸川乱歩の少年探偵団か、昔の子供向けドラマの子役のような彼らの活躍。取り上げられるのは、貸本屋とそこでむさぼり読んだ本の数々、駄菓子屋と舌が真っ赤に染まる怪しいお菓子、原っぱと土管の国、怪獣が住んでいると思っていた沼と真夜中の冒険、肝試しと、そして最後の極めつけは1970年の万国博覧会。昭和に子供時代を過ごした人なら、たまらない連作集だと思います。本当になつかしいものばかりがうまく取り上げてあって、それらを小道具に、または背景に、不思議な物語が過去と現在を繋いで語られます。読み終わるのが惜しいほど、せつなさとなつかしさに満ちたお話。意外にも自分の中では井上氏の作品の中で一番のお気に入りになってしまいました。挿絵も内容にぴったり合っていて、独特の雰囲気で味があります。いつもそばに置いて何度でも読み返したい本です。 | ||||
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