レビュー一覧
たこやき さんのレビュー一覧
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犯人はネット世界を自在にあやつれるある種の天才で、犯人側の一人称が何章かごとに出てくるので読者には早いうちに犯人がわかってしまうのですが、それでも少しずつ犯人に近づいていく様子は非常に面白いです。サブキャラとしてFBIの捜査官であるレイチェルが唐突に出てくるものの、前作を読んでいなくても全く違和感なく読み進められます。
サイコな犯人を追いつめていく内容もさることながら、何よりもアメリカにおける新聞業界の苦境がけっこうリアルに伝わってきます。日本のような販売店からの宅配制度のないアメリカでは紙媒体の後退は相当深刻なものだと感じられます。経営がなりたたずグローバル企業に買収されることで本当のジャーナリズムから遠ざかってしまうと言う悪循環。
権力に都合のいい情報だけがテレビや新聞で大量に流されると言うのは日本も全く同じ状況で、物語のなかで『究極のジャーナリズムは大統領を引きずりおろす事』と言うようなことが書かれていましたが、グーグルやマイクロソフト、アップルなどがこの犯人にように、国に協力して他人のプライバシーを提供するような時代に、そんなことは現実には起こりえないのではないかと思えます。
シリーズではないのでしょうが、ジャーナリストであるマカヴォイが殺人犯ではなく巨悪の権力に対抗してくれるような続きがあればいいなと思いました。