オススメ?ダメダメ? 推理小説(ミステリ)について読書管理や感想を書いていく書評サイトです。 はじめての方はこちらからどうぞ。 サイトの要望はこちらからどうぞ。
2026年度雑誌ランキング
会員機能
その他
テスト稼働中自由に遊んでみてください!
絞込み:
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
No.22
本廟寺焼亡
井沢元彦
本廟寺焼亡の感想
No.21
時生 トキオ
東野圭吾
時生 トキオの感想
No.20
矢上教授の午後
森谷明子
矢上教授の午後の感想
No.19
卑弥呼伝説
卑弥呼伝説の感想
No.18
義経はここにいる
義経はここにいるの感想
No.17
ウランバーナの森
奥田英朗
ウランバーナの森の感想
No.16
金春屋ゴメス
西條奈加
金春屋ゴメスの感想
No.15
SOSの猿
伊坂幸太郎
SOSの猿の感想
No.14
鴉
麻耶雄嵩
鴉の感想
No.13
北京原人の日
鯨統一郎
北京原人の日の感想
No.12
隻眼の少女
隻眼の少女の感想
No.11
猿丸幻視行
猿丸幻視行の感想
No.10
邂逅の森
熊谷達也
邂逅の森の感想
No.9
魔界転生
山田風太郎
魔界転生の感想
No.8
火天風神
若竹七海
火天風神の感想
No.7
石の来歴
奥泉光
石の来歴の感想
No.6
復活の日
小松左京
復活の日の感想
No.5
パーフェクトフレンド
野﨑まど
パーフェクトフレンドの感想
No.4
最後の証人
柚月裕子
最後の証人の感想
No.3
GEQ 大地震
柴田哲孝
GEQ 大地震の感想
個人的なことを言えば、私が通った高校の土地は寺の借地であった。
とはいえ、この高校、なにも寺が運営している私立ではなく 全くの公立高校である。
そうして、授業をサボって近所の喫茶店で溜まって麻雀ゲームなんかをしていると、明らかにこちらもサボっていると思われる僧衣のままの若い坊さんもタバコを燻らしながら麻雀ゲームに勤しんでいる。
教科書に載るような有名寺社の僧侶なんかは、ポルシェやフェラーリの乗り回している姿を万々目撃することも珍しくもなく、寺社の金権については、まったく違和感がない。
そんな下地で読んだ当作だったので、少々 批判的感情が入っていないとも言えないが・・・。
というわけで、当作表題となっている『本廟寺』は架空である。
もしやと思い、調べてみたが、そのような名前の寺はやはりない。
ただし、親鸞を祖とする浄土真宗の中の一派、真宗大谷派の総本山であり 正式名称「真宗本廟」が東本願寺であることからも、またその歴史的背景からも、同寺であることは明らか。
この浄土真宗総本山で起こる連続殺人事件となっている。
構成は井沢作品としてオーソドックスな、歴史モノを題材にした推理小説となっている。
推理小説として見れば、残念ながら、というかいつも通りはあるのだが、それほど大したことはない。
が、彼の本領となる歴史的側面を 推理小説に上手く取り入れ絡ませあう手法は、ただただ脱帽。さらに、彼独特の読みやすさとスピード感も健在で、一気に読めてしまう。
特に今回の作品で突出しているのは、仏教の歴史的背景はもとより、真宗の教義と現実の乖離、金、権力等々を生々しく伝えてくれるところに 格段に面白さ上乗せされた秀作となっている。
兎角、宗教というものは、ヒトは弱いものであり 楽な方へ楽な方へと流されてしまうことを認め、その弱さを理解し補う目的で 元は善意から発生しているのかもしれない。
それは本来、坊主も同様であるはずである。
が、その自浄作用を考えていなかった片手落ちか、年月が立ち その善意がお金や権力と結びつくことにより、もともとの教義は都合よく改変され保守に向かうのは、世界中の宗教共通であり、ある意味 一番 わかりやすく生臭いのかもしれない。
そんなことを、考えさせらる一冊であった。 了