身の上話

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評判

身の上話の評価:

4.05/5点 レビュー 105件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.05pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全113件 81〜100 5/6ページ
No.33
(4pt)

竹井輝夫とは?

地方都市で平凡に暮らす主人公ミチルが、ふとしたきっかけから人生を大きく逸脱していく物語です

他のレヴューでも書かれているように、予測のつかない展開から、読み始めたら最後まで一気に読んでしまいました。
様々な登場人物がよく書き込まれていて、それぞれの打算や弱さがストーリーを左右するKEYとなっています。

その中で自分が一番気になるのは、ミチルの後輩竹井輝夫の存在です。
他の登場人物が大なり小なり人間味を見せる中、彼だけが本当に何を考えているのかわからない存在となっています。
主人公ミチルに対して心情を吐露する場面はあるものの、わかりやすさからは遥かに遠い存在です。(そして終盤でも・・・)
ある意味、人が生きている中で遭遇する絶対悪のような存在とも思えました。

個人的には米映画コーエン兄弟の作品のような風合いも感じます。
上手く映像化したら面白い作品になるのではないでしょうか。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.32
(4pt)

竹井輝夫とは?

地方都市で平凡に暮らす主人公ミチルが、ふとしたきっかけから人生を大きく逸脱していく物語です
他のレヴューでも書かれているように、予測のつかない展開から、読み始めたら最後まで一気に読んでしまいました。
様々な登場人物がよく書き込まれていて、それぞれの打算や弱さがストーリーを左右するKEYとなっています。
その中で自分が一番気になるのは、ミチルの後輩竹井輝夫の存在です。
他の登場人物が大なり小なり人間味を見せる中、彼だけが本当に何を考えているのかわからない存在となっています。
主人公ミチルに対して心情を吐露する場面はあるものの、わかりやすさからは遥かに遠い存在です。(そして終盤でも・・・)
ある意味、人が生きている中で遭遇する絶対悪のような存在とも思えました。
個人的には米映画コーエン兄弟の作品のような風合いも感じます。
上手く映像化したら面白い作品になるのではないでしょうか。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.31
(5pt)

佐藤さんの小説では群を抜いて面白いです!

ほんの些細なことがきっかけで、人生はあっという間に違う方向へ行ってしまう。
ちょっとの怠惰感や欲やエゴが人生を大きく狂わせることもある。
何が起こるか想像が出来ないので、常に心地よい緊張感の中で読むことができました。

このお話、ミチルの現在の夫が語るスタイルになっているのだけど、その夫となる人物はなかなか登場しません。
物語の終盤でやっとその夫となる人物は登場しますが、
彼の語る身の上話はミチルのそれに負けず劣らない凄まじいものでサイドストーリーながらも強烈な役目を果たしています。
この、彼の身の上話の存在こそが作品を優れたものにしているんですよね。
そしてまさか、こういう結末がまっているとは・・・。

佐藤さんの小説の中では群を抜いて面白かったです。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.30
(5pt)

佐藤さんの小説では群を抜いて面白いです!

ほんの些細なことがきっかけで、人生はあっという間に違う方向へ行ってしまう。
ちょっとの怠惰感や欲やエゴが人生を大きく狂わせることもある。
何が起こるか想像が出来ないので、常に心地よい緊張感の中で読むことができました。
このお話、ミチルの現在の夫が語るスタイルになっているのだけど、その夫となる人物はなかなか登場しません。
物語の終盤でやっとその夫となる人物は登場しますが、
彼の語る身の上話はミチルのそれに負けず劣らない凄まじいものでサイドストーリーながらも強烈な役目を果たしています。
この、彼の身の上話の存在こそが作品を優れたものにしているんですよね。
そしてまさか、こういう結末がまっているとは・・・。
佐藤さんの小説の中では群を抜いて面白かったです。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.29
(5pt)

読み出したら止まらない

文句なしに面白い。寝不足覚悟でページを開いて下さい。

主人公の電話が鳴るたびにこんなにドキドキしてしまう小説は初めて。



身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.28
(5pt)

読み出したら止まらない

文句なしに面白い。寝不足覚悟でページを開いて下さい。
主人公の電話が鳴るたびにこんなにドキドキしてしまう小説は初めて。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.27
(5pt)

今年一番のおもしろさ。

TVで紹介していたので気になり、手に取りました。
失礼ながら初めて読む作家さんでしたので、
どんな感じの作風かも全く分かりませんでした。
が、これがただただ面白い!
次はどうなるの?え、まさか!という感じで、
途中で止めることができず二日で読み終えました。

主人公・ミチルの夫が、昔、妻の身に起こった事件を語るという手法が、
まず効果的でした。
事件の当事者でもなく、かといってナレーションでもないことが、
ほどよい緊張感を持たせたと思います。
ストーリーの展開も本当に自然で、ミチルをはじめ全ての登場人物が実在して、
実際に起こった事件の話を聞いているようでした。

ラストは、全ての問題がクリアされてホッとしたのと、
登場人物達の未来を思って切ないのと、
両方の感情がぐちゃぐちゃになりました。
人間として、色々と考えさせられる一冊です。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.26
(5pt)

今年一番のおもしろさ。

TVで紹介していたので気になり、手に取りました。
失礼ながら初めて読む作家さんでしたので、
どんな感じの作風かも全く分かりませんでした。
が、これがただただ面白い!
次はどうなるの?え、まさか!という感じで、
途中で止めることができず二日で読み終えました。
主人公・ミチルの夫が、昔、妻の身に起こった事件を語るという手法が、
まず効果的でした。
事件の当事者でもなく、かといってナレーションでもないことが、
ほどよい緊張感を持たせたと思います。
ストーリーの展開も本当に自然で、ミチルをはじめ全ての登場人物が実在して、
実際に起こった事件の話を聞いているようでした。
ラストは、全ての問題がクリアされてホッとしたのと、
登場人物達の未来を思って切ないのと、
両方の感情がぐちゃぐちゃになりました。
人間として、色々と考えさせられる一冊です。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.25
(4pt)

【身の上話】自分の境遇について打ち明けた話。

辞書によると左記のように出ます。まさしく平凡な田舎の書店の販売員が、気まぐれで不倫男と頼まれた宝くじと供に東京についていったことにより始まる平凡でない境遇についての身の上話です。ちょっとマイペースな女の子の気まぐれな逃避行の物語かなと思っていたらなんとなんと殺人事件まで出てきてこれはまさしくミステリーじゃないですか。こういう時って一番無難なやつが一番あやしいんです。そのセオリーは生きてます。でも、まさか語り手の主人公の夫までもぶっちゃけるとは思いませんでした。
彼女について知ることのすべて (光文社文庫)
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.24
(4pt)

【身の上話】自分の境遇について打ち明けた話。

辞書によると左記のように出ます。まさしく平凡な田舎の書店の販売員が、気まぐれで不倫男と頼まれた宝くじと供に東京についていったことにより始まる平凡でない境遇についての身の上話です。ちょっとマイペースな女の子の気まぐれな逃避行の物語かなと思っていたらなんとなんと殺人事件まで出てきてこれはまさしくミステリーじゃないですか。こういう時って一番無難なやつが一番あやしいんです。そのセオリーは生きてます。でも、まさか語り手の主人公の夫までもぶっちゃけるとは思いませんでした。
彼女について知ることのすべて (光文社文庫)
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.23
(4pt)

終盤の展開が地味

主人公の女性の旦那が、妻の身の上話をある人物に話しているという形式で物語は展開していきます。
主人公のミチルが不倫相手と一緒に東京へ衝動的にいってしまいその直前に職場の同僚に頼まれて購入した宝くじが、後に2億円の当選券に代わったことからその後の人生が大きく変わってしまうといった話です。
2億円の宝くじの存在のせいで、人生が大きく変わっていく様子がこの作品の肝で、先の展開が読めないところはとても面白く読めました。
良くできたエンターテインメント小説であると思いましたが、ミステリ小説として読むと終盤の展開が割と地味でそれほど衝撃の落ちがあるわけでもなかったのでラストの驚きを期待しているミステリファンには物足りないと思います。主人公の旦那についても職業やどのような過去を持った人物なのかは終盤明らかになりますが、あまり驚くようなことはありませんでした。
また、この小説は簡単な漢字がなぜか平仮名表記になっていることが多く、その部分については文章がけっこう読みにくかったです。(いちばん、むかし、おなじ、はんぶん、あとで、ほかのもの、におい、いっぽう等、例をあげればかなりあります。一と晩、一と月、一と息、等の表記も「と」が余計で読みにくかったです。)
ストーリー自体は面白かったのですが、終盤も含め、全体的に淡々とした描写で地味な印象を受けた小説でした。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.22
(4pt)

自慢話よりは聞いてて断然楽しいです。

柳に風な人の身の上話には、引き込まれます。エッーなんでそこでそーなるのって地道に生きてる者はツッコミますよ。横道にはそれるけどもっと聞いてみたい部分もありました。商店街のドロドロ具合とか!でもそれは語り手が一人なので仕方ないですね。最後はもっと衝撃的かと思ってましたが手堅くキッチリ正しくでした。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.21
(4pt)

自慢話よりは聞いてて断然楽しいです。

柳に風な人の身の上話には、引き込まれます。エッーなんでそこでそーなるのって地道に生きてる者はツッコミますよ。横道にはそれるけどもっと聞いてみたい部分もありました。商店街のドロドロ具合とか!でもそれは語り手が一人なので仕方ないですね。最後はもっと衝撃的かと思ってましたが手堅くキッチリ正しくでした。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.20
(4pt)

贅沢を言えば

私の妻のミチルがたぶん、こう思いながらこれをやった、というような記述が最初から、ほぼ最後まで続くので、文章はかなり淡々とした印象です。

140ページぐらいまでは、ミステリらしい事件も起きないのですが、語り口の面白さで、つい読み進めてしまいます。そして、その先はじわじわと底から上がってくるような恐怖を感じはじめ、どうなることかとページをめくる手が止まらなくなりました。

ただ、贅沢を言わせていただければ、ラスト近くになって驚かされるものの、そのあとも記述が続いて、最後にどんでん返しのようなものはないので、ちょっと物足りない気がします。驚かせたあとはさっと終わるか、もうひとつひっくり返して満足させるか、どちらかにしてほしかった。なにか用意されているのではないかと期待してしまったので、あ、なんだ、淡々と終わるのね、と思ってしまいました。だれに身の上話をしていたのか、最後にわかって納得ではあるのですが。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.19
(4pt)

贅沢を言えば

私の妻のミチルがたぶん、こう思いながらこれをやった、というような記述が最初から、ほぼ最後まで続くので、文章はかなり淡々とした印象です。140ページぐらいまでは、ミステリらしい事件も起きないのですが、語り口の面白さ出つい読み進めてしまいます。そして、ここからはじわじわと底から上がってくるような恐怖を感じて、どうなることかと、ページをめくる手が止まらなくなりました。ただ、贅沢を言わせていただければ、ラスト近くになって驚かされるものの、そのあとも記述が続いて、最後にどんでん返しのようなものはないので、ちょっと物足りない気がします。驚かせたあとはさっと終わるか、もうひとつひっくり返して満足させるか、どちらかにしてほしかった。なにか用意されているのではないかと期待してしまったので、あ、なんだ、淡々と終わるのね、と思ってしまいました。だれに身の上話をしていたのか、最後にわかって納得ではあるのですが。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.18
(5pt)

「超大作」でなくてもこの余韻

久々に読みごたえのある小説でした。
前半はどちらかと言うとコメディーっぽい展開。仕事中に近くの歯医者へ外出したはずの主人公が、同僚に頼まれた宝くじを買ったままフラリと不倫相手と一緒に東京行きの飛行機に同乗し“失踪”。この主人公が郷里の友人と電話で会話するシーンでの、必死に説得する同僚に対して能天気な受答えを繰り返す主人公のやり取りなどは情景が目に浮かぶようで笑えます。
ところがある事件が起こったところから、この小説はそれまでとは全く別の表情を見せ始めます。
その展開の素早さと乱気流に乗ったような激しさに、読む側はグイグイ引っ張られてしまいます。
この話のもって行き方は見事。
「この物語は最終的にどういう着陸の仕方をするんだろうか?」と誰もが思うはずです。大多数の読者は似たような結末を予想しながらこの物語を読み進めるものと思いますが、最後にさらに予想を覆す展開が待っています。
この小説は根無し草のように流され易い今どきの若者の空気を描きつつも実は核心はそこではなく、虚空さや人間の怖さを表現したものであり、その中で数回登場する“祈り”というシーンに象徴される「希望」のようなものを見事にブレンドさせた奥深い作品だと思います。含蓄があります。
後半になればなるほど重たくなって行きますが、読後はいろんな事を考えさせられる小説です。
“超大作”でなくてもこの余韻を残せる作品は稀中の稀。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.17
(5pt)

「超大作」でなくてもこの余韻

久々に読みごたえのある小説でした。
前半はどちらかと言うとコメディーっぽい展開。仕事中に近くの歯医者へ外出したはずの主人公が、同僚に頼まれた宝くじを買ったままフラリと不倫相手と一緒に東京行きの飛行機に同乗し“失踪”。この主人公が郷里の友人と電話で会話するシーンでの、必死に説得する同僚に対して能天気な受答えを繰り返す主人公のやり取りなどは情景が目に浮かぶようで笑えます。
ところがある事件が起こったところから、この小説はそれまでとは全く別の表情を見せ始めます。
その展開の素早さと乱気流に乗ったような激しさに、読む側はグイグイ引っ張られてしまいます。
この話のもって行き方は見事。
「この物語は最終的にどういう着陸の仕方をするんだろうか?」と誰もが思うはずです。大多数の読者は似たような結末を予想しながらこの物語を読み進めるものと思いますが、最後にさらに予想を覆す展開が待っています。
この小説は根無し草のように流され易い今どきの若者の空気を描きつつも実は核心はそこではなく、虚空さや人間の怖さを表現したものであり、その中で数回登場する“祈り”というシーンに象徴される「希望」のようなものを見事にブレンドさせた奥深い作品だと思います。含蓄があります。
後半になればなるほど重たくなって行きますが、読後はいろんな事を考えさせられる小説です。
“超大作”でなくてもこの余韻を残せる作品は稀中の稀。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.16
(5pt)

面白い!!それにしても、こんな展開になるとは、、、(笑)。

佐藤正午の新作。世評高く当レビュー上でも好意を以て迎えられています。7年振りの前々作「5」は凄く面白かったものの、前作「アンダーリポート」は今ひとつの出来。果たして今作はどうだったのか?
全く予備知識を入れぬまま購入、読み始めましたが、これがかなり人を食ったピカレスクな内容、しかし実に面白いのです。
どちらかと言えば目立たない地味な女性の、うちに秘めた感情の高まりが衝動的なアバンチュールを呼び、甚だ身勝手と思える行動の果てに、濡れ手に泡的な奇跡を掴むが、、、。
代表作「ジャンプ」が、ある女性の失踪の動機、謎をミステリー仕立てで追う展開なら、こちらは、数奇な運命を辿った女性の後日談から過去に遡って何が起こったのか解明していく。言わば、もうひとつの「ジャンプ」的物語。ただし、読了感はまるで違います。
底知れぬ人間の欲、瞬時に顔を出すエゴ、気紛れな衝動の代償、窮余の事態での自己中的防衛心、そして、人間の持つ根源的な負の、それ故に剥きだす人間的な本性を、ブラックな恐怖と笑いを内在させながら進みます。
その精緻な文章力とサイコ・スリラーの如き心理描写の妙。やや唐突な決着の付け方ですが、主人公の夫の講談調な告白による語り口に隠された意味が、「身の上話」などと言う凡庸なタイトル名と見事に連環するラストまで刺激的な魅力を放つ傑作。
「Y」、「永遠の1/2」、「ジャンプ」、「5」に加え、またひとつ著者の代表作が生まれた事を実感します。文句なしにお薦め。
身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200
No.15
(5pt)

面白い!!それにしても、こんな展開になるとは、、、(笑)。

佐藤正午の新作。世評高く当レビュー上でも好意を以て迎えられています。7年振りの前々作「5」は凄く面白かったものの、前作「アンダーリポート」は今ひとつの出来。果たして今作はどうだったのか?
全く予備知識を入れぬまま購入、読み始めましたが、これがかなり人を食ったピカレスクな内容、しかし実に面白いのです。
どちらかと言えば目立たない地味な女性の、うちに秘めた感情の高まりが衝動的なアバンチュールを呼び、甚だ身勝手と思える行動の果てに、濡れ手に泡的な奇跡を掴むが、、、。
代表作「ジャンプ」が、ある女性の失踪の動機、謎をミステリー仕立てで追う展開なら、こちらは、数奇な運命を辿った女性の後日談から過去に遡って何が起こったのか解明していく。言わば、もうひとつの「ジャンプ」的物語。ただし、読了感はまるで違います。
底知れぬ人間の欲、瞬時に顔を出すエゴ、気紛れな衝動の代償、窮余の事態での自己中的防衛心、そして、人間の持つ根源的な負の、それ故に剥きだす人間的な本性を、ブラックな恐怖と笑いを内在させながら進みます。
その精緻な文章力とサイコ・スリラーの如き心理描写の妙。やや唐突な決着の付け方ですが、主人公の夫の講談調な告白による語り口に隠された意味が、「身の上話」などと言う凡庸なタイトル名と見事に連環するラストまで刺激的な魅力を放つ傑作。
「Y」、「永遠の1/2」、「ジャンプ」、「5」に加え、またひとつ著者の代表作が生まれた事を実感します。文句なしにお薦め。
身の上話 Amazon書評・レビュー: 身の上話より
4334926711
No.14
(4pt)

お化け屋敷のようなお話

とある地方の町に住む古川ミチルは、地元商店街で書店員としてバイトをしていた23歳。同じ商店街の久太郎とつきあっているが、書店に時々、東京の出版社から出張してくる豊増ともつきあっていた。ある日、勤務中に歯医者に行こうと出かけ、ついでに途中、同僚から頼まれた宝くじ(全員でちょっとずつお金を出して何枚か)購入して、豊増を見送るうちに、そのまま彼について、羽田まで飛行機に乗ってしまい、1泊のつもりが、何日も東京にいることになる。吉祥寺には幼馴染の竹井という男子大学生もおり、書店を当然クビになり、家族から勘当され、父親に銀行口座のお金を抜かれても、当面は暮らしていけることになった。しかしそこから運命の歯車が急速に回り出す・・・。

 当初は、どこにでもありそうな話の書きだしで、ちょっと読もうか、というつもりだったが、急展開していく内容にハラハラし、最後まで読み終えないと落ち着かない気分にさせられた。いったん動き出した運命は、まるで運動している物体が、急に止まれないのと同じように、急には方向も変えられず、もどかしかった。しかも、それだけでなく、最後にさらに驚かされることが登場し、さながら、お化け屋敷に入ってしまうと、もう出口に辿りつくまでは気が休まらないのと似ていた。何もなさそうに語っているのに、結構すごいことを打ち明けられた、そんな感じの本。

身の上話 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 身の上話 (光文社文庫)より
4334763200