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(短編集)

粘土の犬



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粘土の犬の評価: 4.80/5点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(5pt)

表題作はオールタイムベストクラスだと思う

Kindle unlimited で読めたので、中学生の時以来、約40年ぶりに再読。表題作はそれ以来だったが、強烈な印象が残っていて、「粘土の犬」が何を意味するかはタイトル見ただけで思い出せた。稀有な作品だ。再読し、これは、オールタイムベスト級ではないかと感嘆しました。
二木兄妹ものも3編あるけど、最後のこれで完全に持っていかれる。
粘土の犬 (講談社文庫 に 2-2)Amazon書評・レビュー:粘土の犬 (講談社文庫 に 2-2)より
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No.4:
(4pt)

60年前の端正な本格、でも非本格のが面白い

1957年から60年にかけて発表された短編を九篇収録する。初期作品集の決定版といって良いだろう。
いま読むと普通の出来でも、書かれた年代を考えると充実した作品群である。
なにしろデビューが松本清張とほぼ同時期なのだ。日本のミステリが怪奇幻想に彩られた探偵譚から現実の謎に挑む知的小説に変貌した時期の大功労者である。
作風はあくまでも軽く、明るい。清張のように社会の深奥にまで届く力量はないが、欧米本格派のような推理パズル小説を日本に根付かせた功績は、決して小さくない。

仁木兄妹もの四篇は、東野圭吾など現代作家に比べるといかにも稚拙だが、それなりの読み応えだ。
お調子者の妹と茫洋とした兄の探偵コンビに好感が持てる。
『みずほ山荘殺人事件』は新聞記者のレギュラー探偵・吉村駿作が登場する。まずまずの出来だ。
『罪なきものまず石をなげうて』牧師とその娘と教会に居候する元不良という異色トリオが探偵役を務める。
犯人の異常な行動の動機に感心した。楽しいトリオだと思うが、一作しかない。残念である。

実は本書では探偵の登場しない作品のほうが面白い。
筆頭は表題作だ。解決に導くある品物が、強烈な印象をもたらす。
全時代を通しての短編ミステリベストに推したい逸品である。
『かあちゃんは犯人じゃない』は子供目線の殺人事件、『おたね』は老いた女中が過去の真相を語る。
どちらもスリリングだ。
うむ、いいな。もっと読みたい。
粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)より
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No.3:
(5pt)

粘土の犬ほか8編

30年くらい前に、「猫は知っていた」と「青い香炉」を読んで以来の仁木悦子。

久しぶりに触れてみると、改めて本格推理のツボを押さえた達者なテクニックの持ち主だと感じた。

昭和の時代の作品で、描き出される風俗は古いが、読みやすく丁寧な筆致はいささかも古びておらず、キャラクタ-にも血肉が通っている。

不可能犯罪を扱った「弾丸は飛び出した」、回想形式の「おたね」、細かい手がかりが巧みな「灰色の手袋」が個人的ベスト3。

今読んでも十分に楽しめる作品集です。
粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)より
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No.2:
(5pt)

『かあちゃんは犯人じゃない』ほか、初期の短編9編

「作者のペンネーム」と「一部の作品の主人公の名前」は、どちらも仁木悦子です。紛らわしいですが、読み分けてください。

仁木悦子さんの初期の短編9編です。
仁木作品ではお馴染みのしろうと探偵の仁木兄妹(仁木雄太郎・仁木悦子)が登場する作品が4編含まれています。

どの作品も昭和30年代に書かれたものなので、現代の小説のようには垢抜けていません。やぼったいと感じる人もいらっしゃるでしょう。しかし、昭和30年代に一般人に受け入れやすい推理小説を執筆されたのは、素晴らしい功績です。

『かあちゃんは犯人じゃない(昭和33年)』
『灰色の手袋(昭和33年)』 仁木兄妹が主人公
『黄色い花(昭和32年)』 仁木兄妹が主人公
『弾丸は飛び出した(昭和33年)』 仁木兄妹が主人公
『粘土の犬(昭和32年)』
『赤い痕(昭和33年)』 仁木兄妹が主人公
『みずほ荘殺人事件(昭和35年)』 吉村駿作(新聞記者)が登場
『おたね(昭和35年)』
『罪なきものまず石をなげうて(昭和35年)』

なお、カバーイラストは、北見隆氏によるものです。黄色い花とサボテンを持っているので仁木兄妹を描いた絵だと思うのですが、作中の悦子はぽっちゃり体型なので違うかもしれません。左上の犬は『粘土の犬』のイメージ、竹は『赤い痕)』のイメージでしょうか。
粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)より
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No.1:
(5pt)

日本版アガサクリスティーの初期短編集

日本の女性推理作家の先駆者である仁木悦子の第1短篇集『粘土の犬』(講談社文庫、1958年)と第2短篇集『赤い痕』(東都書房、1961年)の合本であり、初期の短編9篇を収録している。
 童話や児童文学が出発のため、作品にはユーモラスで優しく微笑ましい測面もあります。また探偵物の探偵役は『猫は知っていた』(1957年第三回江戸川乱歩賞受賞作)と同じ仁木悦子と植物学者の兄雄太郎。ちなみに『猫は知っていた』はフジテレビ系列の『恐怖劇場アンバランス』(円谷プロダクション製作)の第8話としてテレビドラマ化されていますのでご存じの方も多いかと思います。

 少ないですが簡単にご紹介します。
 「粘土の犬」
   表題作。
   男はある事情で愛人のシングルマザーの女を殺害する。しかし女の全盲の子供が気付き、男のある部分に触り・・・。 
 「かあちゃんは犯人じゃない」
   巻頭作品。
   とうちゃんを殺した犯人を捜しだそうとする男の子。子どもの目線がいかにも昭和を感じます。

 その他、掲載順に、
  「灰色の手袋」、「黄色い花」、「弾丸は飛び出した」、「赤い痕」、「みずほ荘殺人事件」、「おたね」、「罪なきものまず石をなげうて」

 古さを感じる部分もありますが、懐かしくもあり、もう一度好きだった作品を読み直してみたい気持ちになりました。
粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)Amazon書評・レビュー:粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)より
4122064767

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