モルフェウスの領域

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評判

モルフェウスの領域の評価:

3.65/5点 レビュー 46件。 C ランク

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平均点3.65pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全78件 41〜60 3/4ページ
No.38
(4pt)

桜ノ宮の住人たちの世界が広がっていく感じが良い。

海堂尊さんの小説。今回は近未来2014年〜2015年ごろを描いている。

事前にチームバチスタの栄光から数冊分は読んでおきたい。
はじめて読む人には不向きであると思える。

本書前半の曽根崎伸一郎と日比野涼子とのメールのやり取りは何だか抽象的で
理解しにくい。後半には田口などのキャラクターも登場し臨場感が出るのだが・・・
後半まで我慢して読みすすめた感じは否めない。

本作で取り上げられるコールドスリープ 人工冬眠は
社会的に広く見られる行為でもない。よって現実感が乏しい。

既存の海堂尊の小説は日本社会と医療を取り巻く問題点を鋭く告発するものである
ことが多い。そんな中で本作品は異色である。

もちろん官僚や霞が関を批判する説教臭い箇所は相変わらずである。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.37
(4pt)

桜ノ宮の住人たちの世界が広がっていく感じが良い。

海堂尊さんの小説。今回は近未来2014年〜2015年ごろを描いている。

事前にチームバチスタの栄光から数冊分は読んでおきたい。
はじめて読む人には不向きであると思える。

本書前半の曽根崎伸一郎と日比野涼子とのメールのやり取りは何だか抽象的で
理解しにくい。後半には田口などのキャラクターも登場し臨場感が出るのだが・・・
後半まで我慢して読みすすめた感じは否めない。

本作で取り上げられるコールドスリープ 人工冬眠は
社会的に広く見られる行為でもない。よって現実感が乏しい。

既存の海堂尊の小説は日本社会と医療を取り巻く問題点を鋭く告発するものである
ことが多い。そんな中で本作品は異色である。

もちろん官僚や霞が関を批判する説教臭い箇所は相変わらずである。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.36
(2pt)

いまいち・・・

再発した網膜芽腫の特効薬承認を待つため、14歳の佐々木アツシは5年間の眠りについた。
コールドスリープ・・・。アツシを見守る日比野涼子は、少年が目覚めるときに起こる重大な
問題に気がついた。彼を守るために、涼子がとった行動は?

この作品を描いた作者の意図が分からない。この作品を通して何が言いたかったのか?コールド
スリープというとても興味深いものをテーマとしているので期待を持って読んだのだが、見事に
裏切られた。眠っている人間の人権問題をはじめとして、睡眠学習、記憶の操作など、現実には
あり得ないことがたくさん出てくる。現実味が感じられない。極めつけは、涼子のとった行動だ。
いくら5年間眠っているアツシを見守り続け情が移ったとしても、あまりにも突飛すぎないだろうか。
まったく共感できない。登場人物も、ほかの作品に登場する人たちがたくさん登場している。それは、
リンクしているというより、使い回しているといった安易な感じだ。自己満足的で中途半端な印象の
作品だった。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.35
(2pt)

いまいち・・・

再発した網膜芽腫の特効薬承認を待つため、14歳の佐々木アツシは5年間の眠りについた。
コールドスリープ・・・。アツシを見守る日比野涼子は、少年が目覚めるときに起こる重大な
問題に気がついた。彼を守るために、涼子がとった行動は?

この作品を描いた作者の意図が分からない。この作品を通して何が言いたかったのか?コールド
スリープというとても興味深いものをテーマとしているので期待を持って読んだのだが、見事に
裏切られた。眠っている人間の人権問題をはじめとして、睡眠学習、記憶の操作など、現実には
あり得ないことがたくさん出てくる。現実味が感じられない。極めつけは、涼子のとった行動だ。
いくら5年間眠っているアツシを見守り続け情が移ったとしても、あまりにも突飛すぎないだろうか。
まったく共感できない。登場人物も、ほかの作品に登場する人たちがたくさん登場している。それは、
リンクしているというより、使い回しているといった安易な感じだ。自己満足的で中途半端な印象の
作品だった。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.34
(4pt)

過去の作品を大切にする豊かさ

海堂尊『モルフェウスの領域』(角川書店、2010年)は人工冬眠をテーマにした小説である。『ナイチンゲールの沈黙』の後日談になる。『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』に登場した曽根崎伸一郎が社会的に重要なポジションに位置する。

『モルフェウスの領域』で初登場の日比野涼子も、過去に『ジェネラル・ルージュの凱旋』で描かれた事件と関わりがある。涼子が子どもの頃に出会い、大きな影響を受けた医務官は『ブラックペアン1988』に登場した外科医を連想させる。

過去の作品の設定を利用して物語を構築する桜宮サーガの豊かさが本作品にも表れている。自分の過去の作品を大切にすることが新たな作品を生み出すことになる。焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むことしかできない非歴史的な発想はクリエイティビィティの対極である。

モルフェウスが人工冬眠中の前半は展開がゆっくりしている。それでも、すぐメールを返信してくる相手に、わざと時間をおいて返信するなど静かな戦いが展開される。社会問題になっているメール依存症患者はメールの返信速度を競い、壊れた日本語でメールを出す。そのメールを受け取った相手が不愉快になるという想像力すら欠けている(林田力「電子メールの同期性と非同期性(下)」PJニュース2010年12月17日)。その種の愚かさとは対照的な思考の豊かさが物語に存在する。

モルフェウスが目覚める後半は展開が加速する。バチスタ・シリーズのキャラクターの出番が増え、賑やかになる。他人の目から描写されると田口公平は十分に信頼できる医者である。田口は自分を過小評価している。

『モルフェウスの領域』も過去の海堂作品と同様に官僚の無能と腐敗を描いている。涼子のような能力があり、責任の重い仕事に就いている人物が非常勤に甘んじなければならないところに格差社会の矛盾が表出している。(林田力)
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.33
(4pt)

過去の作品を大切にする豊かさ

海堂尊『モルフェウスの領域』(角川書店、2010年)は人工冬眠をテーマにした小説である。『ナイチンゲールの沈黙』の後日談になる。『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』に登場した曽根崎伸一郎が社会的に重要なポジションに位置する。

『モルフェウスの領域』で初登場の日比野涼子も、過去に『ジェネラル・ルージュの凱旋』で描かれた事件と関わりがある。涼子が子どもの頃に出会い、大きな影響を受けた医務官は『ブラックペアン1988』に登場した外科医を連想させる。

過去の作品の設定を利用して物語を構築する桜宮サーガの豊かさが本作品にも表れている。自分の過去の作品を大切にすることが新たな作品を生み出すことになる。焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むことしかできない非歴史的な発想はクリエイティビィティの対極である。

モルフェウスが人工冬眠中の前半は展開がゆっくりしている。それでも、すぐメールを返信してくる相手に、わざと時間をおいて返信するなど静かな戦いが展開される。社会問題になっているメール依存症患者はメールの返信速度を競い、壊れた日本語でメールを出す。そのメールを受け取った相手が不愉快になるという想像力すら欠けている(林田力「電子メールの同期性と非同期性(下)」PJニュース2010年12月17日)。その種の愚かさとは対照的な思考の豊かさが物語に存在する。

モルフェウスが目覚める後半は展開が加速する。バチスタ・シリーズのキャラクターの出番が増え、賑やかになる。他人の目から描写されると田口公平は十分に信頼できる医者である。田口は自分を過小評価している。

『モルフェウスの領域』も過去の海堂作品と同様に官僚の無能と腐敗を描いている。涼子のような能力があり、責任の重い仕事に就いている人物が非常勤に甘んじなければならないところに格差社会の矛盾が表出している。(林田力)
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.32
(4pt)

面白い

途中まではなかなか入り込めなかったけど、
アツシが目覚めてからは一気。
涼子の献身さが悲しいけど、
そこに至るまでの彼女の過去をもう少し掘り下げて欲しかった。
厚労省には常識人がいないのかと疑いたくなる。
目が覚めたときにアツシと涼子の世界が幸せであればいいと思います。
自分が知らない医療の世界の綻びや期待、様々なものが入り混じって面白かった。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.31
(4pt)

面白い

途中まではなかなか入り込めなかったけど、
アツシが目覚めてからは一気。
涼子の献身さが悲しいけど、
そこに至るまでの彼女の過去をもう少し掘り下げて欲しかった。
厚労省には常識人がいないのかと疑いたくなる。
目が覚めたときにアツシと涼子の世界が幸せであればいいと思います。
自分が知らない医療の世界の綻びや期待、様々なものが入り混じって面白かった。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.30
(4pt)

伏線

アフリカでの医務官にもう一度あえるかもしれないという
伏線を最後まで待ちましたが、結局何もありませんでした。

心理ゲームのような会話は楽しめましたが、少々くどい感じは
します。官僚の規則一辺倒(我が身大事)なところは作者も経験されている
のか?よく表現出来ていました。

ラストは少々もの足らない感じがしましたが、ここ数年
読んだ中では中だるみなく最後までいっき読ませてくれる
秀作だと思います。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.29
(4pt)

伏線

アフリカでの医務官にもう一度あえるかもしれないという
伏線を最後まで待ちましたが、結局何もありませんでした。

心理ゲームのような会話は楽しめましたが、少々くどい感じは
します。官僚の規則一辺倒(我が身大事)なところは作者も経験されている
のか?よく表現出来ていました。

ラストは少々もの足らない感じがしましたが、ここ数年
読んだ中では中だるみなく最後までいっき読ませてくれる
秀作だと思います。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.28
(4pt)

現代の話でコールドスリープ? と思ったが……

2012年から始まる現代日本の物語なのに、近未来SFによく出てくる「コールドスリープ」という単語。
あー桜宮サーガの中でそれやっちゃうかー、せっかく今まで大学病院や霞ヶ関を舞台にリアリティのある世界観を作ってきたのにー、とか思ってたんですが読み始めたらそんな心配は杞憂であったことに気づかされました。

医療、政治、法律などあらゆる角度から説得力ある物語の背景を構築してくれているので、「現代日本なのにぃ?」というツッコミを忘れて安心して読み進めることができます。

田口・白鳥シリーズのようにわかりやすい事件が起きてそれを解決するというミステリ成分はないですが、架空の最新医療がもたらす光と影がしっかり描かれており、そこから発生する人間ドラマも十分に読み応えがあります。

過去作品からのキャラクターの登場率も高く、海堂ファンならより一層楽しめること間違いなしでしょう。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.27
(4pt)

現代の話でコールドスリープ? と思ったが……

2012年から始まる現代日本の物語なのに、近未来SFによく出てくる「コールドスリープ」という単語。
あー桜宮サーガの中でそれやっちゃうかー、せっかく今まで大学病院や霞ヶ関を舞台にリアリティのある世界観を作ってきたのにー、とか思ってたんですが読み始めたらそんな心配は杞憂であったことに気づかされました。

医療、政治、法律などあらゆる角度から説得力ある物語の背景を構築してくれているので、「現代日本なのにぃ?」というツッコミを忘れて安心して読み進めることができます。

田口・白鳥シリーズのようにわかりやすい事件が起きてそれを解決するというミステリ成分はないですが、架空の最新医療がもたらす光と影がしっかり描かれており、そこから発生する人間ドラマも十分に読み応えがあります。

過去作品からのキャラクターの登場率も高く、海堂ファンならより一層楽しめること間違いなしでしょう。

モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.26
(4pt)

その結末には感動した。

代理母をテーマとした「マドンナ・ヴェルデ」と同じく、
先端医療を受けるため人を凍眠させる「コールドスリープ」という技術を
介して、法律と倫理観の乖離に関する問題点を提起している。

一見、難しいテーマではあるが、患者の生命維持を担当する日比野涼子の
献身的な行動がうまく問題の深刻さをオブラートに包み、読者の理解力を助けている。
そしてその意外な結末には、涙を誘うものがあった。

難を言えば、ミステリの解決の部分が飛躍しすぎてよくわからなかったことだ。
もうちょっと、親切に説明されているとよかったと思った。

全体に静かな印象であるが、それが本書のテーマとマッチして好感がもてた。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.25
(4pt)

その結末には感動した。

代理母をテーマとした「マドンナ・ヴェルデ」と同じく、
先端医療を受けるため人を凍眠させる「コールドスリープ」という技術を
介して、法律と倫理観の乖離に関する問題点を提起している。

一見、難しいテーマではあるが、患者の生命維持を担当する日比野涼子の
献身的な行動がうまく問題の深刻さをオブラートに包み、読者の理解力を助けている。
そしてその意外な結末には、涙を誘うものがあった。

難を言えば、ミステリの解決の部分が飛躍しすぎてよくわからなかったことだ。
もうちょっと、親切に説明されているとよかったと思った。

全体に静かな印象であるが、それが本書のテーマとマッチして好感がもてた。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.24
(4pt)

新テーマ:○。血の通わなさ:×

一度、最後1/4くらいで読むのに耐えられなくなり、そこからは斜め読みだけして済ませました。
理屈っぽくて読みにくくて、読み進められませんでした。

その後、ここで、良い評価を出している方がいらっしゃるのを見て再挑戦しました。

面白かったです。

特に、過去の作品のテーマだったAIなどから離れ、凍眠、という新しいテーマに取り組んでいる事に共感しました。凍眠が実現したらどうなるんだろう…

一方、他の方もおっしゃっていた、”血の通わなさ”は私も気になりました。
「本当に、登場人物たちは、そう考えるの?」と疑問に思った点が複数ありました。
特に、涼子さんの重大決断について、納得いってません。

ちょっとした新しいテーマに触れるには良い作品だと思いました。
大傑作、と呼ぶには不十分な点があるように思いました。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.23
(4pt)

新テーマ:○。血の通わなさ:×

一度、最後1/4くらいで読むのに耐えられなくなり、そこからは斜め読みだけして済ませました。
理屈っぽくて読みにくくて、読み進められませんでした。

その後、ここで、良い評価を出している方がいらっしゃるのを見て再挑戦しました。

面白かったです。

特に、過去の作品のテーマだったAIなどから離れ、凍眠、という新しいテーマに取り組んでいる事に共感しました。凍眠が実現したらどうなるんだろう…

一方、他の方もおっしゃっていた、”血の通わなさ”は私も気になりました。
「本当に、登場人物たちは、そう考えるの?」と疑問に思った点が複数ありました。
特に、涼子さんの重大決断について、納得いってません。

ちょっとした新しいテーマに触れるには良い作品だと思いました。
大傑作、と呼ぶには不十分な点があるように思いました。


モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.22
(5pt)

法律vs最新医療技術

桜宮市にある未来医学探究センターで日比野涼子は、東城大学医学部から委託された資料整理のかたわら、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために5年間の“凍眠”を選んだのだった。
映画化、ドラマ化もされた『チーム・バチスタの栄光』でデビューした現役医師・海堂尊が、時間軸的には『ナイチンゲールの沈黙』と『医学のたまご (ミステリーYA!)』の間の物語として上梓した医療エンターテイメントだ。

ヒロインの日比野涼子は、父親とともに海外を渡り歩いた経験から複数の外国語を操り、医学の知識も豊富だ。いわゆる帰国子女という才女を自認する彼女だが、ゲーム理論の第一人者・曾根崎伸一郎教授とのメールのやりとりや、「僕の幸福は、自分が作り上げたものが美しく光り輝くこと。その輝きの下で、ひょっとしたら、人々は幸せになれる、かもしれない。でも、そんなことは僕の知ったこっちゃない。だって僕は、自分の創造物を人々の幸せのために作ったわけじゃないんですから」(100ページ)と言い放つ技術者・西野昌孝に翻弄され、自身の知識ではなく“心”を見つめるようになる。

毎度のことだが、医療エンターテイメントといいつつ、医療問題を織り込むのは著者の真骨頂だ。
法律が医療技術に追いつかず「ドラッグ・ラグ」が発生しているという現実を乗り越えるため、本書では「コールド・スリープ」という架空の技術を登場させる。そして、コールド・スリープを有効ならしむるための時限立法「人体特殊凍眠法」(これも架空の法律)がたてられるが、その法律の抜け穴がミステリーの核となる。
ミステリーの組み立てはややこしいが、著者は「彼らの最大の目的は市民の健康や安寧などではなく、彼らが主体で運用している巨大ファンド、国家予算の健全な運用にすぎなかったからだ」(48ページ)と、官僚をチクリと刺すことを忘れてはいない。

本書ではマッドな技術者・西野昌孝が印象的であった。
最初は黒ずくめのスーツで登場。「死神」扱いされているので、てっきり医療を理解しないエンジニアという扱いかと思いきや、いつの間にか最も人間味のあるキャラクターに返信。最後にはアツシ少年に向かって、「自分がどこから来てどこへ行こうとしているのかわからない人間は、いずれ影を亡くしてしまう。そうしたらソイツはゾンビと同じさ」(235ページ)と指摘する。ゾンビはあんたじゃなかったのかよ、と突っ込みたくなる。
さて、涼子の回想シーンに登場するノルガ共和国の名もなき医務官は、『ブラックペアン1988』に登場する、あの外科医ではないかと推測しているのだが‥‥彼の名前を明らかにするために、再び涼子が活躍することを期待したい。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.21
(5pt)

法律vs最新医療技術

桜宮市にある未来医学探究センターで日比野涼子は、東城大学医学部から委託された資料整理のかたわら、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために5年間の“凍眠”を選んだのだった。
映画化、ドラマ化もされた『チーム・バチスタの栄光』でデビューした現役医師・海堂尊が、時間軸的には『ナイチンゲールの沈黙』と『医学のたまご (ミステリーYA!)』の間の物語として上梓した医療エンターテイメントだ。

ヒロインの日比野涼子は、父親とともに海外を渡り歩いた経験から複数の外国語を操り、医学の知識も豊富だ。いわゆる帰国子女という才女を自認する彼女だが、ゲーム理論の第一人者・曾根崎伸一郎教授とのメールのやりとりや、「僕の幸福は、自分が作り上げたものが美しく光り輝くこと。その輝きの下で、ひょっとしたら、人々は幸せになれる、かもしれない。でも、そんなことは僕の知ったこっちゃない。だって僕は、自分の創造物を人々の幸せのために作ったわけじゃないんですから」(100ページ)と言い放つ技術者・西野昌孝に翻弄され、自身の知識ではなく“心”を見つめるようになる。

毎度のことだが、医療エンターテイメントといいつつ、医療問題を織り込むのは著者の真骨頂だ。
法律が医療技術に追いつかず「ドラッグ・ラグ」が発生しているという現実を乗り越えるため、本書では「コールド・スリープ」という架空の技術を登場させる。そして、コールド・スリープを有効ならしむるための時限立法「人体特殊凍眠法」(これも架空の法律)がたてられるが、その法律の抜け穴がミステリーの核となる。
ミステリーの組み立てはややこしいが、著者は「彼らの最大の目的は市民の健康や安寧などではなく、彼らが主体で運用している巨大ファンド、国家予算の健全な運用にすぎなかったからだ」(48ページ)と、官僚をチクリと刺すことを忘れてはいない。

本書ではマッドな技術者・西野昌孝が印象的であった。
最初は黒ずくめのスーツで登場。「死神」扱いされているので、てっきり医療を理解しないエンジニアという扱いかと思いきや、いつの間にか最も人間味のあるキャラクターに返信。最後にはアツシ少年に向かって、「自分がどこから来てどこへ行こうとしているのかわからない人間は、いずれ影を亡くしてしまう。そうしたらソイツはゾンビと同じさ」(235ページ)と指摘する。ゾンビはあんたじゃなかったのかよ、と突っ込みたくなる。
さて、涼子の回想シーンに登場するノルガ共和国の名もなき医務官は、『ブラックペアン1988』に登場する、あの外科医ではないかと推測しているのだが‥‥彼の名前を明らかにするために、再び涼子が活躍することを期待したい。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535
No.20
(4pt)

バチスタシリーズをいくつか読んでからがおすすめ

今の医療技術では治らない病気をコールドスリープすることで、
病気の進行を遅らせ医療技術の進歩を期待するという、
まだまだ先だけど実際将来あるんじゃない?的な展開から入ります。
コールドスリープから目覚めるまで、眠っている間に起きたこと、目覚めの後と、うまく書かれていて非常に楽しめました。

予備知識として、バチスタシリーズ「ナイチンゲールの沈黙」を事前に読んでいると、登場人物のことがよりわかるのでより楽しめると思います。
また、具体的な名前は明かされませんが断片的に登場する医務官は「ブラックペアン1988」の渡海医師かと思われますので、「ブラックペアン1988」も読んでおくといいかなと。高階病院長のこともわかりますからね。
モルフェウスの領域 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域 (角川文庫)より
4041008301
No.19
(4pt)

バチスタシリーズをいくつか読んでからがおすすめ

今の医療技術では治らない病気をコールドスリープすることで、
病気の進行を遅らせ医療技術の進歩を期待するという、
まだまだ先だけど実際将来あるんじゃない?的な展開から入ります。
コールドスリープから目覚めるまで、眠っている間に起きたこと、目覚めの後と、うまく書かれていて非常に楽しめました。

予備知識として、バチスタシリーズ「ナイチンゲールの沈黙」を事前に読んでいると、登場人物のことがよりわかるのでより楽しめると思います。
また、具体的な名前は明かされませんが断片的に登場する医務官は「ブラックペアン1988」の渡海医師かと思われますので、「ブラックペアン1988」も読んでおくといいかなと。高階病院長のこともわかりますからね。
モルフェウスの領域 Amazon書評・レビュー: モルフェウスの領域より
4048741535