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寝てる場合じゃねえんだよ



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【この小説が収録されている参考書籍】
寝てる場合じゃねえんだよ

寝てる場合じゃねえんだよの評価: 5.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

ジェットコースターのような本!

なんじゃこりゃめちゃくちゃ面白い!!!
初めは表紙が好み過ぎて手に取ったのですが
初めの2行を読んで「あ、これ絶対面白い・・・」
と思わされました。
そこからはもう登場人物たちの軽快な会話や
濃くも魅力にあふれたキャラたちにすっかり夢中になり一気に読んでしまいました。
初めはキャッキャウフフの青春ストーリーかと思いきや話が進むにつれ
え?え?え?どうなっちゃうの!?
と手に汗握る展開に・・・。
これアニメとかになって二次制作界隈がにぎわってくんないかな。
もっとこの子達を見たい。
誰か・・・アニメ監督さん・・・・。
この子達の日常のキャッキャウフフが見たい!!
と渇望してしまう作品でした。
もうこの子達の他エピソードが見れないなんて・・・悲しすぎる。
番外編出して欲しい。
後読み終わったらカレーが食べたくなります。
甘口の。
寝てる場合じゃねえんだよAmazon書評・レビュー:寝てる場合じゃねえんだよより
4408538949
No.1:
(5pt)

自分の人生を潰された上で人は他人を己を愛せるのか?テーマは重いが、ドタバタ劇でサクサク読める竹宮版「星の王子さま」

本作を手に取る方に「あなた何時から竹宮ゆゆこを追ってますか」と問えば7、8割は「とらドラ!」からというお答えが返って来るんじゃなかろうかと。

……2年4か月というえらく長い期間を置いて発表された本作、作者が一般文芸に進出してから発表した作品の中では一番「とらドラ!」を思い出させる要素が強かったと予め申し上げておく。表紙に描かれている方、これが「ヒロイン」です、というか「逢坂大河」です。男の様に見えるし実際に男なんだけどヒロインであって手乗りタイガーなのです。

訳が分からない、ですと?よし、そう思ったら本を手に取ろう。

物語は体育会系の特待生として入学したばかりの大学でアメフト部を退部した紫波央士が改めて入居する事になった一般学生向けの寮へ向かってトボトボ歩いている場面から始まる。

高校時代にNFL間違いなしと言われた超スター選手として持て囃されながら入学前に負った怪我で元のプレーを取り戻せないと思い知らされた紫波は温情で与えられたマネージャーの地位も捨てて一般学生として、いや、大学のレベルを考えたらあり得ない入学を果たした筋肉ムキムキの「ミラクル入学バカ」としてキャンパスライフを過ごす事に。

指示された二人部屋で紫波を待っていたのは自身とは対照的な完全モヤシ体型で筋肉などまるで無い貧体ながら、やたらと整った顔立ち、そして初対面の紫波を相手に「チッ」と舌打ちで応対する超絶陰キャの丹生景都。

体育会系というか典型的陽キャのノリでグイグイと距離を詰める紫波だったが、丹生には「俺の領域に踏み込むな」と完全拒絶されっぱなしな上に一般学生として必死で食らいついていこうとした学業でもボロボロに。このまま人生がパーになるならいっそやれる事は全部やってやろうと開き直り、丹生と暮らす部屋の仕切りのカーテンをシャワー室用のスケスケカーテンに取り換えた上で文字通りの一糸まとわぬ姿で丹生を待ち受ける事に……

……悪意やエゴで自分をこれから待っている筈だった明るい人生や、人並みの幸せを奪われた上で人は他人を、そして己自身を愛せるだろうか?本作のテーマを、投げ掛けられる問いをざっくりと切り取るならこんな所になるだろうか?人を呪い、あるいは己を投げ捨てて他人の破滅を願うだけの人生に陥るって事はまあまあな割合であり得るし、近い状況を経験したって方は存外多いのではなかろうかと。

上でご紹介させていた冒頭部で「おお、いつもの竹宮節だ」と安心して手に取ろうとした方に警告1。確かに本作はドタバタコメディではある。それはもう過去の作品をひっくるめて竹宮ゆゆこ=ドタバタコメディ―という認識は間違ってはいない。でもそれが重たすぎるテーマをマスキングする為の物である事は「とらドラ」や「わたしたちの田村くん」辺りから追っているファンであればよくご存じかと。

本作も作品の7~8割は主役コンビの紫波と丹生の二人を中心になぜか寮内で自分たちの部屋のドアに「無料案内所」の看板(風俗産業が盛んな場所でよく見かけるアレ)を出している変な3回生コンビも含めて圧倒的な肉体を誇る紫波を軸に登場人物がドタバタと元気よく走り回るコメディとなっている。登場人物の運動量という意味では過去作を含めて随一かと。

竹宮ゆゆこ作品と言えば冒頭で主人公が走り回る「開幕ダッシュ」が有名だが、本作はその開幕ダッシュを見せてくれない代わりに真夜中の大爆走を見せてくれる。それはもう走る、紫波以外の3人が翌日はボロボロのゾンビ状態になるぐらい走ってくれる……訳が分からない?それなら本を読もうじゃないか。

ただ、このドタバタ劇が進行する中で、特に紫波と丹生の関係が深まっていく中で二人が抱えて来た闇が、どうしようもない孤独が頭を擡げてくる。顔は整っているのに徹底して他人を拒絶する、自称「相貌失認症」の丹生が闇と孤独を抱えている事は逢坂大河と同じぐらい分かりやすいけども、一見陽キャで「世の中誰でもウエルカムするから世の中の人もみな俺をウエルカムしてくれるよね」という感じで生きている紫波も同じ様な孤独と他人を、世界を呪っても仕方がない過去を背負っている人物である事が明かされる。

そんな訳で本作は孤独を抱えた二つの魂がめぐり合うという竹宮ゆゆこ特有の構図へと持ち込まれるのだけども、主役二人が「世の中を、他者の存在全てを許せない」というギリギリの危うい状態で生きているという点がミソ。他人から酷い目に遭わされた後で「もう俺の人生はどうなっても良いからあいつだけは絶対にぶっ○す」という暗い情念に支配される機会なんてのは人生には多々あるけども、寮の同じ部屋で過ごす事になった二人が相手が置かれた闇に辿りつくまでが本作の八割を占めている。

辿り着いた真実までが全てではなくて、そこに至るまでの紫波と丹生の関係性の変化、関係から生じる人間としての変化は徹底的に掘り下げられている。特に本作のキーアイテムである懐かしの「カレーの王子様」を巡るやり取りは「人を救う」「人に救われる」というのはこういう経験の事を指すのかな、と思わされるぐらいには印象深い。

最初はデリカシーの無さと他人への拒絶感でギクシャクしていた紫波と丹生の中が変化していく様を、否応なしに遭い方をケアする中で相手に対する「想い」が根付いていく様を追っているだけでも十分に楽しめる。「カレーの王子様」で思い出させるが、これは結局絶対的な孤独の中で無数にいる他人の中から精一杯の世話をした相手に情を抱くようになると語る「星の王子さま」をモチーフにしているんだろうか?

であれば自分を孤独に追いやった相手の破滅を願い続ける丹生が計画の最終段階で紫波を巻き込んでしまう事を躊躇う姿も「相手を悲しませるくらいならば最初から近付かなければ、仲良くなんかならなければよかった」という王子の後悔に通じる物であったのかもしれない。

どこまで拗らせりゃ学生が世界の、他人の破滅を願うに至るんだと思われる方も多いかもしれないが、丹生の抱えた孤独というのは深く、親からの愛を一切受けられなかった、この世に生まれて来た事を祝福されなかったという古典的ながら普遍的なものとして描かれている。本作が「とらドラ」に近いというのもヒロインの逢坂大河が親から一切見放された存在である事を強調されていたからに他ならない。

世界はクソでも、あいつがいるから世界と自分が滅ぶ事を願う訳にはいかないというギリギリの所で踏みとどまる為のストッパーを得るに至る物語……本作の流れを強引にまとめてしまうとこんな所かも。

昏さもその昏さをマスキングするドタバタ調のノリも濃厚で、その落差の大きさと主役二人の関係性の変化を追う楽しさという点でも2年以上待っていた甲斐があったというものだし、従来のファンであれば「自分が竹宮ゆゆこに求めている物はこれだ」という要素は間違いなく全部詰め込んである、そんな一冊。
寝てる場合じゃねえんだよAmazon書評・レビュー:寝てる場合じゃねえんだよより
4408538949

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