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魚影の群れ



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魚影の群れの評価: 4.73/5点 レビュー 15件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.73pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

非常に良い。

非常に良い。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
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No.13:
(5pt)

心が柔軟性を失い老化していく様がよく描かれている

魚影の群れの主人公の漁師に感情移入してしまう。
50歳前後の主人公は心の柔軟性を失い、本当の気持ちとは裏腹に意固地になり、その振る舞いが望むものとは全く違う結果をもたらしてしまう。自分自身に当てはめてみると、カタルシスの為に一言余計なことを言ってその時は清々するが後に後悔するようなことが50歳を超えて多くなってきた気がする。余計なことを言わない方がいいとわかっているのにだんだんとコントロールが効かなくなってきている感じで、まさに心の老化だ。そんな中年の男性の気持ちを上手に物語に落とし込んで自然に表現してくれている。
海の鼠は、吉村昭の記録文学の本領発揮という感じだ。あまりのリアリティーに気持ち悪くなってしまう。一組のドブネズミの雄雌が1年後に一万匹に増えるという。鼠が沸くという表現が大げさでないことが数字でも分かる。Google Mapで見ると、まだこの島には人が住んでいるようだ。
魚影の群れAmazon書評・レビュー:魚影の群れより
B00BIXB32C
No.12:
(5pt)

<人間と自然・生き物との対峙>をテーマとして、作者の特長の"記録文学"に創作性を加味した傑作短編集

表題作の他、「海の鼠」、「蝸牛」及び「鵜」の4編から構成される&lt;人間と自然・生き物との対峙&gt;をテーマとした短編集。表題作は映画化もされたので有名だろう。私は綿密な事前取材に基づいたドキュメンタリー・タッチの作者の作品(所謂"記録文学")を愛好しているのだが、本作の作風・テーマはそれとはやや異なる(ちなみに、表題作と「海の鼠」は自選傑作集に選ばれている)。以下では主にその両編について。

中編と言って良い長さの「海の鼠」は、昭和24年のカロリン台風に襲われて多くの漁師を亡くした四国沖の島の漁村の人々の苦衷を"記録"を随所に織り込んで描いた作品。主に台風襲来後を描いており、島人の苦衷の原因は耕作地の少ない島にとって貴重な農作物(後には煮干しも)を食い荒す"海からやって来た鼠"の大群である。まさに「人間vs海鼠」という&lt;対峙&gt;の構図である。鼠の生態に関する作者の描写は精緻を極め、数字的記録と併せて、"記録文学"の趣きを呈している一方、鼠の大群に必死で抵抗する島人の姿はある種の人間ドラマとなっているという構成の妙・作者の筆力が光る秀作。私は鼠、蛆、蛇、鼬などに対する作者の執拗な描写に生理的嫌悪感さえ覚えたが、最終的に、自然現象に人智は及ばないという示唆が如何にも作者らしいと思った。表題作は、津軽海峡を舞台として、同世代の漁師が引退する中、妻に逃げられながらもマグロ漁師を続ける初老の頑固な房次朗を主人公として、その娘の登喜子、彼女の婚約者でマグロ漁師を目指して房次朗への弟子入り志願だが、房次朗からは(妻に加えて登喜子を失う事を恐れて)嫌われている町の男の俊一の3人の人間模様を描いた作品。マグロと&lt;対峙&gt;する漁師の矜持・孤絶及び房次朗と俊一との確執を同時に描いた力作。マグロ漁に関して作者が充分な事前取材を行なった事が窺える。

この他、「蝸牛」は「海の鼠」と似た作風だが、エロティック風味を加味して幻想色を濃く出した佳作。「鵜」は題名通り、&lt;鵜匠&gt;を主人公とした作品だが、&lt;鵜&gt;と共に妻も思い通りにならない様を&lt;鵜飼&gt;という伝統美の中で綴った佳作。&lt;人間と自然・生き物との対峙&gt;をテーマとして、作者の特長の"記録文学"に創作性を加味した傑作短編集だと思った。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
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No.11:
(5pt)

動物を材料に人間の存在を考える

動物を介して人間と自然との対峙を描いた四篇、海の鼠、蝸牛、鵜、魚影の群れ。いずれも結末、私の浅慮では当たらない。
(海の鼠)いまのコロナの問題に類似している。天敵をワクチン、殺鼠薬物を治療薬と置いても当たるような気がする。何をもってしても人類が意図的に生物種を絶やすことは極めて困難である。絶やすことを意図せず、利用しようという魂胆が見える時、天は動物を引き揚げる。
(魚影の群れ)「かれは漁師として当然のことをしたにすぎず、それがりかいされぬのならやむを得ないと、自分に言いきかせていた。」とは端的に主題を示している。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
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No.10:
(5pt)

仕事に命をかける男の悲哀

吉村昭は、長編小説を書いた後は二、三ヶ月放心状態で、その後短編を書き始めるらしい。

短編とはいえ、氏らしく緻密な取材、研究が感じられ、人生で、よくこれだけ多くの作品が残せたことに

驚嘆する。

本書の4つの短編、どれも読み応えがあった。「海の鼠」も「蝸牛」ももっと派手なストーリー展開も

出来そうだが、吉村はしない。「鵜」は大切に育てたものが離れていく寂しさを感じ、

鵜も人間もちょっとしたことがきっかけで関係性は変わる。

「魚影の群れ」は、老境を迎える無骨な仕事師の不器用さが描かれている。ラストは衝撃だったが、

素人の俊一は、熟練の房次郎も釣ったことのない300キロの大物を釣っていた。

仕事に命をかける男には、悲しみが付きまとう。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
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No.9:
(4pt)

海の鼠

魚影の群れ は、映画化されたこともあり、タイトルだけは知っていたのと、吉村昭氏の短編というので購入した。
どれも動物が介在した話であるが、一番印象に残ったのは最初に掲載されている
「海の鼠」
であった。
戦後間もない宇和海の小島に暮らす人々。生活は貧しく、半農半漁であるが、慎ましい営みであった。
そこに突然ネズミの大群が「海を泳いで」上陸する。
最初は軽微な気配、被害であったが、やがて畑のものも海からの物も、家内の食糧もネズミに食い漁られるようになる。
「ネズミが湧いた」
という言葉そのままに、繁殖を繰り返し、夜ともなると「ネズミを踏みしゃぐ」狂態と化す。
郡役所はのらりくらりの対応だったが、その現実を目の当たりにし、都度都度
「対症療法」のような手を打つが、駆除の効果は上がらない。
人々は諦め、諦めつつ、その島での暮らしを棄てることもない。
が、ついに畑作も漁も放棄し島を離れて生活の資を得る人が増えるに至り、食料の尽きた島からネズミの大群は
「海を泳いで」別の島を目指し去って行った。
ネズミにはネズミの暮らしがあり、駆除のために持ち込まれた猫や蛇にも同様である。
しかしまた、
「ネズミに困惑」する人たちによる「駆除作業」で島の生態系が狂いゆくさまは、読んでいて苦しかった。
人には人の暮らしがある、が、果たしてそれは「正しい」のか。
実に重い内容であった。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712
No.8:
(5pt)

客観を重んじる文体で顕れる、強大な自然。これぞ吉村文学だ

もともと、ヘミングウェイの「老人と海」が好きでした。「魚影の群れ」も、よく似た題材を扱っているので手に取った次第です。
感想としては、かなり濃厚な読後感を持てたと思います。自然の厳しさ、人間関係の難しさ、人生の悲哀。それらが一体となり、読者の心へ無理なく落とし込まれていきます。
この物語に、いわゆる「英雄」「歴史的偉人」は登場しませんが、他人の生き様を存分に追いかけられるという意味では、かなり優れた作品だと感じます。

それにしても、吉村氏の淡々とした文体、フィクションを徹底的に排する姿勢には痺れます。退屈に思われる人もいると思いますが、こういう創作態度が、人間の思惑や欲望の入る余地のない、険しい「自然」を表すのにマッチしているのではないかと思います。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712
No.7:
(5pt)

終盤で中断しました

読み進むにつれ、房次郎に共感し、読み進めるのがつらくなりました。
魚影の群れAmazon書評・レビュー:魚影の群れより
B00BIXB32C
No.6:
(5pt)

マグロ漁でたくましく生きる

北国の厳しい田舎町でマグロ漁一筋で視野が狭い頑固親父、その娘と恋人の愛憎関係、かわいい娘が女になることへの嫌悪感、義父に認めてもらおうと若さだけで無茶をする娘の恋人、北国、港町、田舎の情景、田舎の人間関係、親子の愛憎と読み応えのある短編!
魚影の群れAmazon書評・レビュー:魚影の群れより
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No.5:
(5pt)

吉村昭著「魚影の群れ」

この秋、函館に行った帰りに大間に立ち寄り、漁港や一本釣り漁船や工事中の原発を見てきました。マグロ漁と原発は似合いません。大間の経済圏は青森より函館に依存しているのですね。
購入した本はとても良かったです。著者の取材力に今更ながら感心しました。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712
No.4:
(5pt)

野生を制御する。

ネズミ、カタツムリ、海鵜、そして本マグロ。恐らくは入念な取材による知識が人の心の闇の動きに連動する珠玉の短編集です。深い余韻を残す筆致は最高です。
魚影の群れAmazon書評・レビュー:魚影の群れより
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No.3:
(4pt)

迫真的

「海の鼠」では、あまりに情景がくっきりと描写されているので、気持ち悪くなったほど。「魚影の群れ」は映像化されているんですね。見たい!
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712
No.2:
(5pt)

おおいに読ませる4つの短編

鼠、鵜、蝸牛、鮪をそれぞれ題材にとった4つの短編を収載。
結論からいうと、どれも極上の名短篇だった。
四国の小島で大繁殖した鼠に席巻される島民を描いた『海の鼠』。
これでもかという鼠の侵略が圧巻。
小さな蝸牛の始末記を描く『蝸牛』。ぞっとさせるグロテスクともとれるラストが絶妙。
老マグロ漁師の孤独を描く『魚影の群れ』もよいが、個人的には先の2編が秀逸。
小説を読む楽しさを堪能できます。
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712
No.1:
(5pt)

吉村昭の動物小説ファンは必読です

個人的に吉村昭の動物小説ファンです
・歴史物
・戦記物
・人物伝
・ノンフィクション
動物への畏怖が伝わってきて吉村昭ファンなら必読です
魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)Amazon書評・レビュー:魚影の群れ (ちくま文庫 よ 1-8)より
4480428712

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