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(短編集)
星への旅
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星への旅の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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津村節子の自伝的小説を読んでいて吉村の初期作が読みたくなったので読んだ。骨と死と狂気(健康/病気)の話ばかりで面白い。ただし津村を読みなれていると、吉村でも饒舌過ぎると感じる。本当はもっと初期作が読みたかったのだが、数千−万するので断念。そこまでの拘りはない。 | ||||
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後年の”高熱隧道”や”関東大震災”で、社会的事件の中での大量の死を描いてきた 吉村昭氏が、死そのものをテーマに描いた初期の短編集。いずれもペシミスティックな 雰囲気に溢れ、後年の大作の背景には、作者自身の結核の体験も含めた、死に対する この鋭利な感性があったのだと納得させられる。 作品はいずれも情緒的な雰囲気のタイトルとイントロダクションで始まるが、途中に 挟まれる生々しい死の描写を経て、読む者の感情に鈍い疵痕を残す。 若さゆえの退屈さへの嫌悪が集団自殺へと暴走する経緯を描いて、日常のすぐ先に 口を開ける死の存在に戦慄を感じる表題作の”星への旅”。 解剖される少女の視点で見た献体の過程を通じて、モノとして扱われる死者の孤独を 即物的に描き出す”少女架刑”。 少女架刑とストーリーをオーバーラップしながら、死体標本作りに取りつかれた男の 暗い情念を描き、重い読後感を残す”透明標本”。 心中を繰り返す(太宰治を思わせる)特異な性格破綻者を、それに巻き込まれた 常識的な主人公の視点で描き、死の価値すら相対化する怪作“石の微笑”。 等々。 昭和の貧しかった時代ならではの時代背景も感じられるが、そこに描かれる感情は 今日的で、とても40年以上前に書かれたものとは思えない。読む人ごとに、死に ついて考えさせられ、また人によってはこの本で描かれる感情を自分でシミュレート してしまうほどの危険な本にもなろう。文学賞を取り損ね無冠ではあるが、後世にも 大きい衝撃を与え続ける、戦後文学の秀逸な短編集としてこれには高評価をつけたい。 | ||||
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表題作「星への旅」があまりにも強烈。 ラストが恐い。恐すぎる。 気分がすぐれない時は読まない方が良いかもしれない。 しかしその筆力、若くて青い悲しさを描写する力量には脱帽。恐ろしくも魅力的な物語。 作者自身の死に様を思い出すと、何とも云えない気持ちになる。 | ||||
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"呼吸がとまった瞬間から、急にあたりに立ちこめていた 濃密な霧が一時的に晴れ渡ったような清々しい空気に私は包まれていた" 冒頭のこの一節から始まる「少女架刑」。 献体に出された、自身の死体をホルモン漬けにされ、 解体されゆく少女から見た世界が淡々と語られていきます。 死体になりながらも、感覚と肉体は完全に分離されておらず、 男性医師のその手の感触の描写はなまめかしく、 解体場面は肉体的且つグロテスクに描かれます。 題材とは反して文章には一貫して透明感があり、 ラストの骨の崩れる音を聞くシーンでは、 読み手に一種の爽快感さえ与えます。 | ||||
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6つの短編が収められているが、いずれも「死」を極めて直球でとらえている。 正直言って、文学で、ここまで真正面から、「死」のまさに現場でとらえてものは珍しいのではないだろうか。 大江健三郎の初期の作品以来ではないかと思うほど。 現場と言う表現は変でしょうが、それは読んで頂ければ分かります。あぁ、死の現場とはこういう場所か。 改めて、私達の日常にいかに死が隠されているかが分かろうと言うものです。 それは特に、この作品が書かれた時代として、まだまだ戦後が色濃く残っている、昭和40年代初期のあたり、また作品自体の舞台は終戦直後のものも有り、いずれにしても「死」が日常にあった、いくさの時期と密接に関わっていると思うのです。 その意味では、一億総中流を越し、一応総プチ上流的な意識の今の時代において、いずれの作品も小品ながら極めて重量感のある作品であると言えるでしょう。 | ||||
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星への旅、青い表紙に白い星が浮かぶ。ファンタジックな装丁と題名はこの本に仕込まれた罠を隠す。 トラックに乗り込みさまよう若い男女のグループ。そのメンバーの各々が持つ個性、行動と発言は、どこかしら読者の身に覚えがあるような、かつての青臭い、ほろ苦い記憶を呼び起こす。それと同時に「星」へ向かうトラックは、人生の暗喩となっており、生きるとは何か、人生とは何かを考えさせられる。 すでに出発する前から「星」へ向かうことだけは決められているトラック。その中で繰り広げられる青年たちの様々な思考と内省。読み進めていくと、まるでこの今も自分がトラックに乗り込んでいる、「星」へ向かっている最中なのかもしれない、と感じる。なぜなら我々もまた、常に「星」へ向かっているからだ。 判断力や現実に耐えられる強い状態で読んでほしい。そうでなければ「星」への特急列車に乗ることになる。それだけ、この本は力を秘めているのだ。 今日、作者吉村氏の訃報をニュースで拝見しました。ご冥福をお祈りします。 | ||||
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星への旅、とSF?っぽい綺麗なタイトルで、当時中学生の私、は購入を決定。 読んでみたら、人間ドラマ。へヴィー。 なかなか、平凡をきどったグロテスクさで、古い感性ではあったけれども、素晴らしいな、と思ったのであります。 医学生となった今、解剖の勉強をしていると、これを思い出す。 少女架刑が印象に残る。 吉村氏は好きな作家の一人になったけれども、未だにこれ以外の短編を読んだことは無い。 | ||||
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タイトルはキレイだ。 しかし、この作家をよくご存知の方は「ファンタジー」を連想したりはしないだろう。 ストーリーも、少女の遺体を医師が解体したり、ボクサーが電車に轢かれたり、 若者が集団自殺したり・・・。正直言って朗らかな気持ちで読めるものが無い。 収められている短編は以下の通り。 ○鉄橋 ○透明標本 ○石の微笑 ○星への旅 ○白い道 星を4つにしたのは、作家の力量に不満があったからでは無く、単なる個人的な好みのため。 わたしは「エナジー充電系」小説が好きなのだ。 これを読んだあと、しばらくミゾオチのあたりが重くて気分が優れなかった・・・。 本作家の暗いパンチはなかなか打撃力大。 読むには、人間の暗部の重たさに対峙する覚悟が必要かも。 | ||||
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