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小説十八史略
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【この小説が収録されている参考書籍】
小説十八史略の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 61~80 4/5ページ
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興味津々、大国の歴史の変遷を確認しています。 登場人物のあまりの多さに圧倒されそうです。 最終巻まで読破します。 願わくは、あと2ポイントほど大きな字で印刷したものを出版して欲しい。 | ||||
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興味津々、大国の歴史の変遷を確認しています。 登場人物のあまりの多さに圧倒されそうです。 最終巻まで読破します。 願わくは、あと2ポイントほど大きな字で印刷したものを出版して欲しい。 | ||||
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僕はいったい、この本を何度読み返しただろうか。 かつて中国史といえば三国志がらみしか知らなかった若造に、元に至るまでの歴史の概要を分かりやすく教えてくれ、そしてまた新たな興味を沸かせてくれたバイブルのような存在です。 この小説を出発点に、様々な時代や人物の小説に手を広げていきました。 それでも今なお、たまに手に取り部分部分をかじり読みしています。 中国の歴史に関する小説はたくさんありますが、これほど読みやすく、そして全体像を把握できるものはなかなか無いと思います。 この本は、まさに中国歴史小説の水先案内人です。 | ||||
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無くしていた巻だったので入手できありがとうございました。本も綺麗でした。 | ||||
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最近になってようやく「隋唐演義」や「楊家将」「岳飛伝」などの小説で 知名度の上がりつつある唐末〜南宋末時代を分かりやすく描いてます。 史実を下敷きにしてるとはいえ、ここまでの長編なら息切れしそうなものですが、 そんな事は一切なく。原典の「十八史略」が書かれる要因になった南宋の忠臣・文天祥の 最後の奮戦と、愚直なまでの忠義を詠った正気の歌。 そして彼の処刑によって小説の幕が下りる辺りは感無量でした。 中国史もののバイブルといえるこの小説は、このジャンルに興味を持った方に 自信を持って勧められます。 願わくば作者にはその先の、元、明、清王朝の興亡も描いて欲しかったですが。 | ||||
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他のレビューをみると、かなり評価が高いですが、個人的には「ふつう」でした。 「つまらない」ということはありません、おもしろいといえばおもしろいのですが、それは、「十八史略」原作そのもののおもしろさであって、陳舜臣氏の筆致によるおもしろさでない、というか…。 登場人物の心理の動きや複雑な利害や駆引のおもしろさを楽しむというより、淡々と荒筋を追っているだけ、というか…。 歴史を知らない人が「流れをつかむ」には良いかもしれませんが、私のようにストーリーは知っているから「(タイトルにもある)小説」をたのしみたい、という方には向きません。 私は「小説」というタイトルに魅かれて購入しましたので、荒筋を追っているだけの本書に落胆させられました。 陳舜臣氏のネームバリューに期待して、全巻揃えてから読み始めましたが、途中で読むのをヤメてしまいました。 | ||||
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言わずとしれた陳舜臣氏の名著。新カバーの新書がでて大分経つが、最近になってまとめ買い。一気に再読した。 「歴史は繋がっている」というのは当たり前の話であるが、大衆歴史小説はどうしてもその人物に入れ込みすぎて視野が狭くなる。 本書は中国の長いダイナミックな歴史の流れをその時代、時代の人物を描きながらも、繋がった史実として見事に表現している。もちろん、取り上げられる人物や事件は関心のあることが多くなるが、それでも、歴史の継続性や関連性を損なわずになおかつ、娯楽小説として描くというのは相当な力技と思える。 「三国志」や「項羽と劉邦」の時代に詳しい人がどれだけ商・周・東周・春秋戦国・秦・前漢・新・後漢・魏・呉・蜀・西晋・東晋・・と言えるだろうか。本書の読者は繋がった中国の歴史を娯楽として味わうことができる。同時に知らなかった中国の歴史の奥行きに新しい好奇心を触発されることは疑いない。 ・・・推薦文みたいになりましたが、お薦めです。 | ||||
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私がこの小説を手に取ったのは、横山光輝の「三国志」以降、あの英雄たちの末路は?と軽く興味を持ったことから。 その後の悲惨な歴史から近代まで、それ以前の殷王朝の崩壊や周王朝の成立、春秋戦国など楽しく読めました。 語り口も軽妙で、非常に簡単に読める小説で、中学生くらいでも十分楽しめる、オモシロ小説です。 もし、お子さんがゲームでも漫画でも良いですから、三国志や春秋戦国といった戦国ものや歴史ものに興味を持ったら、プレゼントしてみてはいかがでしょうか。 ただ、これが常に正しい歴史の回答であるというわけではないので、いろいろな作品をお読みになることをお勧めします。 小説ですから美化されていることも多数ありますし、妲己が実は紂王を滅ぼす口実のため送り込まれたスパイであった、など、独自の珍解釈などもあり、逆に楽しくなります。 実際、3000年近くの前の事件に関わった人間の思い、人間関係など、もはやわからないのですから、どのようにでも解釈できます。 実際はとんでもないインチキ野郎でも後世の小説では英雄にされたり、誠実な人でもマキャベリみたいな陰謀家にされてしまうこともあるのですから。 だからこそいろいろなロマンチシズムあふれるドラマが書けるのです。 これを読んでおくと、とりあえず神話時代から近代までひとまわしできるので、必読といえます。 | ||||
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安史の乱の後命脈を保っていた唐が黄巣の乱をきっかけに遂に滅亡、五代十国の混乱期を経て北宋の時代に入るが、武より文を重んじる官僚国家の故か、遼などの周辺の国に悩まされ、遂には金に華北を奪われ、ここに再び南北(金と南宋)対立の時代を迎える。その間にチンギス・ハン率いるモンゴル帝国(元)が勃興し、金・南宋は滅亡する。本書が取り上げるのはそれだけ長い期間である。そのせいか、記述は要を得ているものの、駆け足気味なのが気になる。しかし、黄巣の乱の凄さとそれが唐に与えたダメージ、官僚国家宋の党派争いの凄まじさ等、歴史発見の面白さを堪能させてくれる点では他の巻に劣らない。中でも私に強く印象を与えたのは、北宋の風流天子・徽宗の政治面でのあまりの無能ぶり(苦しんだ民が団結する水滸伝の時代背景になったのはもっともである。そして金と結んで遼を滅ぼしたものの、金を怒らせたあまりの背信ぶり。これでは金の南進を招いたのも無理はない。)、北方民族の江南に寄せるあこがれの強さ(無理な江南侵攻を企てて失敗し、皇帝の地位を失った金の海陵王がその代表)、そしてユーラシア大陸の大半を征服したのに、意外と元が南宋制圧に苦労したことである。中国南北の自然・経済力の差はそれだけ大きかったということだろう。本書でさらに嬉しいのは、南唐後主、北宋の王安石と蘇軾の心に染みる詩を紹介してくれていることである。激動の時代の中で優れた詩が生み出されたことを我々は忘れてはならない。さて、最終巻まで読み終えた読者は中国史の面白さの虜になったことだろう。残念ながら本シリーズは明・清の時代は扱っていないが、例えば同じ作者の「中国の歴史」等、それらの時代をカバーする本は多数あるので、是非自分のお気に入りの本を見つける楽しみを味わって下さい。 | ||||
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第4巻がカバーするのは、三国志の時代から、南北朝時代そして隋による南北統一までである。三国志の時代に特に力を入れており、本書の半分以上を割いている。三国志に関しては、本書だけで十分にその骨格を掴むことができるのではないか。この時代に関しては数多の本があるので、この時代を極めたい人はそれを参考にするとよいだろう。私自身が三国志の時代の全体を通読したのは本書だけであり、後は視覚的に中国の傑作TVドラマを楽しんだだけ(今は宮城谷昌光氏版三国志の完成を待ち望んでいます)。それぐらい、本書での三国志の部分の記述は充実している。その三国の一つ魏は台頭する司馬一族の晋に取って替わられ、晋は内紛もあって北方異民族に抗することができず、ここに南北朝時代が始まる。晋及びその後継者たる南朝政権は貴族社会であり、政治面が落ち着かない中で、政治からわざと身を引いて奇抜さを競う風が広まり、その中から今に至る中華文化(文芸・書等)の基礎が築かれたことは見逃せない。(もっとも五石散という麻薬の流行という悪弊も招いたが。)宗教の点でも儒教の権威の低下とともに仏教や道教が流行し、王室でも信仰されるに至った。北朝では道・仏の対立が起こり、廃仏令が出されたのも北朝が最初である。北朝は元来異民族の王朝なのに出身地を捨て、漢化政策を積極的に邁進する点が、第6巻に登場する遼などの征服王朝との違いになる。さすがに本書はこういった南北朝時代の重要性をしっかりと記述している。中国史に馴染みの薄い人にとっては新鮮な発見となるだろう。当時の文化人の代表として陶淵明のためにわざわざ一章を費やしているのに注目してほしい。彼もまた、政治の表舞台での活躍と隠逸・詩作の間で揺れた時代の具現者なのである。 | ||||
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私は中国史の体系を、学校以外では、歴史家のマクロの視点では講談社現代新書の「新書東洋史・中国の歴史」シリーズ、そしてヒーロー・ヒロインたちの個々の言動はこの「小説十八史略」シリーズで主として学んだ。本シリーズは南宋滅亡までであるが、小説仕立ての生き生きとした語り口で中国史の主なエピソードを網羅しており、あまりの面白さに読み出したら止まらなくなること請け合いである。この第一巻は殷周革命から秦の始皇帝による中国統一及びその政治までを扱っているが、冒頭で、これから展開される中国史の様々なテーマを包含・暗示するものとして、神話を紹介している。さらに、別の章で、天道は是か非か、という史記を貫く大きなテーマを紹介している。これは本シリーズのテーマにも重なるといっていいだろう。善人・悪人が次々と登場して、中国史はまさに全人類史の実験場という感を強く持つ。だからこそ、中国史は現代の我々にとっても汲めど尽きない知恵と教訓の泉であり続けるのだろう。中国の特に古代史のファンとしては、この第一巻は2倍ぐらいの分量があってもいいのではないかと思うが、足りないと思う人は、例えば同じ作者による「中国の歴史(一)」、安能務氏の「春秋戦国誌」、宮城谷昌光氏の数多の小説等で補えばよいと思う。始皇帝(秦王政)の登場あたりからは、私には特に記載不足に感じられる点はありません。後はこの大河小説に安心して身を委ねることができるでしょう。なお、本シリーズの各巻はその時代の女性の服装をカバー絵に採用しており、中国女性の服装の変遷を知ることができる面白さがあります。 | ||||
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本シリーズ第2巻が扱うのは、秦の始皇帝の死から漢の武帝の執政初期までである。始皇帝の死から項羽と劉邦の争い、そして漢の成立までは、司馬遼太郎等の多くの作家の題材として取り上げられているが、本書もかなり多くの頁を割いており、本書だけで十分な知識が得られると思う。項羽と劉邦の争いは中国史のハイライトの一つとも言えるので、是非押えておくとよい。最近の宮城谷昌光氏の「香乱記」はまさにこの時代を取り上げながら、漢楚の争いの骨格が分かりにくいという難点があったが、本書が格好の副読本になるだろう(もっとも同氏にも「長城のかげ」という名脇役たちの目で見た漢楚の攻防に焦点をあてた良書があるが)。さて、前漢成立から高祖(劉邦)死去まで、特に韓信など功臣たちの粛清(対照的に張良の巧みな身の処し方)、呂一族の専横とその滅亡、その後の文帝の即位とその善政については、それぞれ部分的に取り上げた良書(特に宮城谷昌光氏の叙事詩とも言える「花の歳月」は必読)があるが、さらにその後の景帝の治世(特に呉楚七国の乱)および武帝即位に至るまでの女の争いについて分かりやすく教えてくれる本は、寡聞にして私は知らない。それだけでも本書は貴重である。また、宮城谷氏等の著作とは同じ登場人物でも光の当て方は異なるので、それと比較するのも一興である。要は、本シリーズでは、陳舜臣氏の史観に身を委ねて、1本筋の通った中国史の体系を確立すればよいのである。しかし圧倒的に面白い本なのであるから、読者は自然に先へ先へと読み進んで行くこと間違いなしである。本巻も傑作である。 | ||||
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本巻では武帝がもたらした前漢の全盛期からその武帝末期の失政に端を発する前漢の衰退と滅亡、王莽の時代、後漢の成立と外戚・宦官の横暴によるその衰退、そしていよいよ三国志の序章、つまり黄巾の乱とそれが契機となった群雄の登場までをカバーします。武帝の匈奴政策に関わる人たち(例えば李陵や司馬遷)の運命の流転は他の書でも読む機会が多いでしょうが、その後の陰謀の連続といってよい歴史は、私もそうでしたが、馴染みの薄い人が多いのではないでしょうか。そういった人には本書は絶好の読み物です。皇帝専制政治の悪い面が次々と噴出します。武帝自身も罠を見抜けず有能な皇太子を死に追いやり、哀れな晩年を迎えます。陰謀をめぐらすのは宦官や外戚だけではありません。庶民の地位から登極した宣帝が善政を敷くことができたのは、霍氏一族を一掃してからでした。宣帝の時代もつかの間に終わり、凡庸な皇帝が続き、王氏一族、特に王莽が権力を奪取し、遂には自ら天子になります。この王莽が自分のたくらみを着々と進め、最後には聖人の化けの皮が剥がれて破滅に至る過程は読み応え十分で、本書の白眉だと思います。その王莽を主人公にした歴史小説が書かれるとは夢にも思いませんでしたが、塚本 青史氏が「王莽」を著し、比較的最近文庫本でも出ているので、王莽の屈折した心理を深く探求したい人は同書を併読するとよいでしょう。王莽の後、漢は復興しますが、優秀な皇帝は初代光武帝・第二代明帝ぐらいで後は政治は乱れっぱなし。混乱の中で、いよいよ三国志の英雄達が登場する時を迎えます。本シリーズの虜になった読者は次巻を待ちきれないことでしょう。 | ||||
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非常に質の高い「歴史小説」です。 陳氏の深い知識に支えられた正確な大筋と時に混じる空想の部分とが渾然一体となって高い効果を挙げています。 あくまで小説です。その全てを信じてしまってはいけません。 不満があるとすれば共謀説がやたら多い所ですが、これは『秘本』以来のことですからしょうがないでしょうね。 | ||||
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中国の歴史は、三国時代や春秋戦国時代は比較的知られていますが、それ以外の時代をのことを知ろうとすると専門的で難解な史書に頼らざるを得ませんでした。その点、陳さんの本はどの時代も平等に描かれていて、しかも面白い。中国史に興味のある人はぜひ読んでもらいたい一冊です。 | ||||
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中国の歴史が好きなのでシリーズ通して大変面白く読めました。 私がおすすめするのは漢の武帝とその息子、戻太子にまつわる悲劇から宣帝時代までのくだりです。 さまざまな伏線と謀略とが入り混じってすごく面白いのです。 登場人物が多い上に長い年月のことを書いていますので、人物の掘り下げなどは多くないのですが、このシリーズでは人物を描くことを目的としていませんので問題ありません。 むしろすっきりしていて良いくらいです。 時代の大きな流れ、その中で象徴的ともいえるエピソードの数々を作者の想像を交えて書いているのですから、人物に感情移入したい人には向いていません。 客観的に時代の流れを見ることができ、歴史に造詣が深くない人にも楽しく読めます。決して堅苦しくありません。 エピソードの大半は皇帝やその周辺の人々のスキャンダルなんですから…。 この巻の目玉はやはり、武帝の時代だろうと思います。 特に霍去病は人気のある武将ですからご存知の方もいると思います。 また、悲劇の将軍李陵や彼を弁護した為に罰せられた司馬遷など見所は盛りだくさんです。 ぜひ、読んでみてください。 | ||||
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陳 舜臣さんの書かれた本は、ほとんど全て読みました。その中でも、「中国の歴史」と「小説十八史略」は、何度読み返しても面白いです。「中国の歴史」は少し固い文章ですが、こちらは小説として読める本です。6巻からなりますが、おそらくあっというまに読んでしまうでしょう。大学生の頃からもう4-5回読み返したでしょうか。お勧めです。 | ||||
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同著者、陳舜臣「中国の歴史」にくらべて読みやすく感じた。 これは原著が優れていたのか、それとも著者の筆力によるのかは、私には知識がなくてわからないが、非常に面白かった。 特に時代の流れ、どうしても一人の人間によっては解決できないようなうねりが、各時代のヒーローたちに、なぜそのようなことをさせたのか、がわかるような気がした。 | ||||
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項羽と劉邦の時代が過ぎ、英雄が多くでて日本では好まれる三国時代までの流れを追っていく小説。次にくる三国志の時代の伏線を引くために興味を惹く文章になっている。 この時代には西域の拡大に伴う英雄が多く排出され、しだいに「中国」が拡大している様子がよくわかる。しだいに国が膨張をはじめ、視野が広がっていく。大国となった後、内憂により破綻していく。 歴史的には安定していた時代のように見えて、内紛の続いた様子をよく描いている。 | ||||
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三国志の時代を描いた前半よりも、五胡十六国、南北朝の時代を描いた後半の方が、私には遥かに面白かった。 この時代、漢民族は、北方異民族(五胡)に黄河流域を追われて江南地方に逃げ込み、約200年の間に、6つの小型王朝を興亡させた(よって、「六朝時代」とも呼ばれる)。マッチョな北方への反発からか、南朝の国家は貴族趣味に走り、上流階級の男達は、驚くと気絶するくらい ひ弱な方がクールとされたと言う。馬車に乗るにも、お供の人達に抱っこしてもらったというダメダメぶりである。 情けないと言えば、限りなく情けないが、儚げなものを美しいと見る感覚は、なんとなく日本人的な気もする。また、こんな風潮の中にあって、芸術・文化は成熟し、陶淵明、王義之のような、後世に決定的な影響を与える天才も出現している。 一方、北朝の国家の気風も次第に洗練されていき、「他民族との融和」という理想主義を掲げ、天下統一目前まで行きながら、尊重していた筈の他民族出身の将軍に裏切られて自滅し、失意の最期を迎える、苻堅のような人物も登場する。この時代の君主は、名君・暗君ともに、どこか、現代人的な脆さを感じさせる人が多い。 また、数世紀後の地方小王朝である南唐(このシリーズの第6巻に登場)も、軍事的にはボロボロながら、文化的・経済的には繁栄し、芸術面で不滅の影響をのこしたと言う。「国が栄える」とはどういうことか考えさせられる。 | ||||
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