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虚の聖域 梓凪子の調査報告書
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虚の聖域 梓凪子の調査報告書の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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中学生の甥っ子の自殺の真相の調査を依頼された凪子。凪子の姉は未婚で甥っ子を出産していたため、父親は誰かはわからなかった。凪子は学校や交遊関係を調べ始めるが、自殺に繋がる情報はなかった。しかし、調査途上で何者かに襲撃された凪子は甥っ子は自殺ではないと考える。そして、甥っ子の父親へと調査の手を伸ばすのだが・・・。 | ||||
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元警察官で興信所勤務の主人公が甥の死の調査を依頼され、その死の真相に迫る物語。 姉・未央子の人物造型が素晴らしい。母の代理を務めてきたという経緯から主人公・凪子の人生に暗く濃い影を落とし、互いにいがみ合い、憎み合いながら、それでも血の束縛から逃れることができない。 女性版ハードボイルドと形容される本書は主人公・凪子の直情的な性格に感情移入がしづらいものの、その際立った個性の強さに引き込まれ、軽やかな文体もあってどんどん読み進められる。 すでにいくつもの文学賞を受賞しているだけあり、文章はこなれており、テンポも良かった。 しかし肝心のミステリーの部分は難がある。 どう考えても自殺に見える甥の死が、「自殺ではない気がする」という曖昧な姪の発言から唐突に事件性を匂わせるものとなり、大した事実も掴んでいないのになぜか犯人に襲撃され、それで事件性を確信するに至る。 論理ではなく勘と運で推理が進んでいくため、その唐突な物語の展開に読書は置いてきぼりになる。 特に、ご都合主義的な展開がとても目についた。例えば公団住宅で話を聞いた主婦からあっさりと重要な目撃証言が得られたり、ゲームセンターで見つけた学生を尾行すればいきなり期待通りの、そして物語の核心に繋がる成果を得られたりといった具合。捜査がこんなにうまくいくなら誰でも名探偵になれるのではないだろうか。 巻末の選評では島田荘司がトリック不在をマイナス点に挙げているが、一番の致命的欠陥は、犯人を検挙するための物的証拠がないにも関わらず推理が完結するところではないだろうか。 推理の根拠は、犯人と被害者の血縁関係、および目撃証言のみ。簡単に言い逃れができるにも関わらず、犯人がいきなり凪子に襲い掛かって馬脚を現してくれたがために逮捕できた。一か月以上前の事件の配達員の証言など参考程度にしかならず、見間違いのひと言で逃げられるにも関わらず犯人が自ら白状してくれたおかげで事件が解決できてしまうというのはあまりにもお粗末に感じた。 著者の特異な経歴から、てっきり警察内部の話を切り売りするものかと予想していたが、むしろその経歴を武器にすることなく地に足のついた文章とストーリーで挑戦する姿勢はとても良いと思う。 なにより物語を占める一文が不思議な読後感をもたらしてくれて、それがミステリー部分の難を補って余りある。読んで損のない一作。 | ||||
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他のレビュアーの方も書かれている通り立派なハードボイルドです。 といっても一般の方がイメージするハードボイルド(精神的にも肉体的にもタフが主人公が、 ギャングや市の腐敗といった大きな事件にも積極的にかかわり、ピンチになれば気の利いた セリフを発する)ではなく 自分自身にも何らかの問題を抱えている等身大の主人公が市井の事件(多くは家族の問題)の 依頼を受け、事件に関わっていく。 危険な目に遭って、くじけそうになるが、信念に従い前に進んでいく。 つまり、タフではないがタフであろうとする。 アメリカでいうネオハードボイルドですね。 解説の島田先生は、謎がやや弱い、ストーリーが典型的ということを書かれていますが、 ミステリ観点ではそうかもしれませんが、ハードボイルド観点ではじゅうぶん。 シリーズ化期待! と思ったら次作は時代を遡って警察時代のガチ警察もの? まだ読んでませんが、作者のキャリア的にはそっちの方が書きやすいのかな。 | ||||
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元警察官で探偵の主人公が、中学生である甥の自殺を探っていくお話。 最初の2ぺージで結構な登場人物が出てきて人間関係がいまいち掴めず、何度も読み返さなければならなかったので、読みにくいのかな…? と思っていたのですが、それ以降は気づいたら一気読みしていました。 主人公の女性も自殺した甥の母親である主人公の姉も、感情の乱れが激しい人なのですが、心情が丁寧に描かれているのか不思議と感情移入しやすく、そのほかの登場人物にしてもわかりやすく描かれているので、こういう人いるよなあ…と読んでいていろいろと納得できる部分もありました。 最後の一行…と帯に書かれていたので、過剰に期待する部分もあったせいか、ラストはそんなものか、という風にしか捉えることができませんでしたが、全体的にとても面白いお話でした。もしシリーズ化されるのであれば興味深い主人公だったので、ぜひ読んでみたいと思います。 | ||||
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一つの事件をめぐるあらゆる難題を女性探偵が解決する、アクション映画さながらの展開と、詳細でリアルな感情描写で盛り込まれた力作。 | ||||
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ラジオ番組の書評で聞いて購入しました。書評された片がおっしゃるには「日本には女性を主人公にしたハードボイルド小説が少ないがこの本はハードボイルド小説だ」そうだ。 確かに呼んでいてサラ・パレツキーの女探偵の物語を思い起こされたのは確かに。ハードボイルドだからだろうと思う。 女性調査員が主人公。 彼女はタフでもないしクールでもないし熱血でもないし魅力的な性格でもないし、巨悪と戦うわけでもない。かといってドジでもコミカルな要素もない。服装の記述も少ないのできっとスタイリッシュでもないのだろう。 そんな彼女の身近なところで事件が起こったことから探偵小説のような(探偵小説だけど)調査を開始した。主人公の設定も探偵小説っぽいのは家族との葛藤や元同僚とのやりとりなど主人公にも秘密があったりするところ。 とてもおもしろく一気に読めたし続編もとても気になるのだけど、後付けのように巨悪が次々と出てくる某テレビ局の女刑事のドラマのような展開にだけはなってほしくないと願うばかり。身の回りで起こるセコい悪をあばく物語展開をこの後も是非とも期待したいです。 | ||||
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元女性警察官の探偵が、甥っ子の自殺の謎を追う!作者は元女性警察官。 面白くて、一日で一気読み。探偵としての行動もリアルで不自然な描写は無い。 女探偵による日本版ハードボイルドミステリーの傑作! | ||||
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