下山事件 暗殺者たちの夏

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

下山事件 暗殺者たちの夏の評価:

4.00/5点 レビュー 24件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全36件 21〜36 2/2ページ
No.16
(3pt)

菱子のその後を語る小説手法はなかったのか。

「下山事件」に関する本は多少読んできたが、ノンフィクションの類が殆どで、このようなフィクションはあまりなかった。随分、分厚い本なので、当時の世相が実感でき、知らぬ間に戦後直ぐの日本に導かれ、自分が歴史の中に居るような錯覚を覚えた。

そういう意味では悪くないが、小説としての完成度としては、どうだろうか。菱子という少女が読み始めて直ぐに登場するのでどうなるか期待したが、その後尻すぼみになってしまう。年齢的に現在まで生存していてもおかしくないが、その後を語る小説手法はなかったのか。

また、ライカビルにある亜細亜産業内での謀議が、たまたまドアの外にいた李中煥に盗み聞きされたり、金正甲が下山の遺体を運ぶ段になって、自分が殺される話を盗み聞いて逃げるストーリーなど、俄かには信じがたく、薄っぺらなスパイ小説を読んでいるようである。

構成的にも不満だ。やはり白眉は捜査の過程なので、ここに重心を置き、そして、下山・三鷹・松川事件は一体と考えるべきなのに、他の二事件が余りにもさらりと流しているので、その辺りも掘り下げてほしかった。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.15
(3pt)

菱子のその後を語る小説手法はなかったのか。

「下山事件」に関する本は多少読んできたが、ノンフィクションの類が殆どで、このようなフィクションはあまりなかった。随分、分厚い本なので、当時の世相が実感でき、知らぬ間に戦後直ぐの日本に導かれ、自分が歴史の中に居るような錯覚を覚えた。

そういう意味では悪くないが、小説としての完成度としては、どうだろうか。菱子という少女が読み始めて直ぐに登場するのでどうなるか期待したが、その後尻すぼみになってしまう。年齢的に現在まで生存していてもおかしくないが、その後を語る小説手法はなかったのか。

また、ライカビルにある亜細亜産業内での謀議が、たまたまドアの外にいた李中煥に盗み聞きされたり、金正甲が下山の遺体を運ぶ段になって、自分が殺される話を盗み聞いて逃げるストーリーなど、俄かには信じがたく、薄っぺらなスパイ小説を読んでいるようである。

構成的にも不満だ。やはり白眉は捜査の過程なので、ここに重心を置き、そして、下山・三鷹・松川事件は一体と考えるべきなのに、他の二事件が余りにもさらりと流しているので、その辺りも掘り下げてほしかった。
下山事件 暗殺者たちの夏 (祥伝社文庫) Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏 (祥伝社文庫)より
4396343175
No.14
(2pt)

あくまでも小説

小説としては一応おもしろい。だが、下山事件はもう自殺として決着している。
138P、上野23時発、札幌8時着とはなんだ、これは。青函トンネルもまだできてないときに、着くわけないだろ。青森8時着、それから函館まで青函連絡船で4時間、函館からさらに5時間だ。
それから、内閣官房長官は昭和30年からだ、この時はまだ書記官長だ。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.13
(5pt)

迫真の推論だと思います

下山事件平成三部作を通読した後に残っていたモヤモヤ感を、数年振りに晴らしてくれる作品です。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.12
(5pt)

前著『下山事件 最後の証言』で残された穴をフィクションで埋め、説得力が高まった

著者は、すでに『下山事件 最後の証言』(祥伝社、2005年刊)において、自らが収集した新たな情報を含めて、戦後日本の方向付けを決めたほどのこの重大事件の見取り図を描いた。ジグソーパズルに例えれば、いくつかの穴はあるものの、誰がなぜどのようにしてこの事件を起こしたかの基本骨格が浮かび上がった。本書は、残されたいくつかの穴をフィクションというピースで埋め、全体像の精度を高めたものである。一見矛盾する多くの目撃証言などの裏に、事件を操った組織の動きを当てはめることで、前著以上に説得力が高まった。もちろん、本書はあくまでフィクションであるので一つの仮説と受け取るべきであり、事件の更なる解明の必要性は今後も続く。

戦後間もない1949年(昭和24年)7月5日、国鉄総裁下山定則が出勤途中に失踪し、翌7月6日未明に常磐線の線路上に死体となって発見された。日本を震撼させたこの下山事件については従来から、自殺説対他殺説、GHQ主謀説対共産党主謀説、戦前の特務機関人脈暗躍説(731部隊を含む)、その他諸説が入り乱れてきた。本書の著者の祖父・柴田宏は、かつて特務機関員であり、戦中から陸軍関連の軍需会社「亜細亜産業」の幹部社員だった。戦後復員してからその亜細亜産業の総帥・矢板玄に誘われ、再び幹部として活躍する。前著『下山事件 最後の証言』で既に明らかにしたように、本書では下山殺害の首謀者は亜細亜産業グループという見立てに基づき、全五章(再会、謀略、事件、捜査、迷宮)が展開される。下山総裁以外は実名が多少変えられた名前が用いられているが、『下山事件 最後の証言』を読んでいれば、主要人物やビル名は容易に推察できる。

下山事件に関連した人・金・物・情報などがすべて亜細亜産業絡みであることが、本書の随所から確認できる。戦時中に国内や国外で強制的に回収された貴金属(少なくともかなりの部分)が亜細亜産業に保管され、拠点であるライカビルの一室には金の延べ棒が隠されていたという。この金を目当てに、保守・共産を問わず政治家、GHQ関係者、旧軍関係者(特に旧工作員)、情報屋などを含む魑魅魍魎がこのビルに出入りしていた。また、旧軍関連の利権で得た資金により、亜細亜産業は多くの子会社・工場を北区などに有し、中国での謀略に暗躍した鉄道専門家や731部隊関係者にも人脈を持っていた。これらがすべて下山総裁謀殺のために駆り出される。

本書は、下山総裁が国鉄電化のための資金(「M資金」)導入に反対したり、国鉄内の不透明な資金の動きを告発する構えを見せていたことから、亜細亜産業に巣食う一味にとって自らの利権を奪うものとして脅威と見なされ、謀殺されたとする。前著では下山総裁謀殺につながりうる様々な要因が錯綜していたが、本書では、この亜細亜産業絡みの要因に絞られて物語が展開される。この他、事件捜査を混乱させるための様々な謀略・目撃証言も旧軍の謀略専門家の仕業とされ、従来のおおくの「謎」への謎解きがちりばめられている。

下山事件は、一部の暗黒勢力が、アメリカの権力を巧妙に利用して利権を確保するとともに、日本の政治家や官僚、それにつながる財界や右翼がおこぼれを与えられる、という今も続く日本の戦後レジームの原型とも言える事件である。本書および前著『下山事件 最後の証言』は、この下山事件の解明に重要な一石を投じたといえる。この事件の更なる究明がまたれる。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.11
(4pt)

下山事件に新たな視点から迫った秀逸な作品

昭和24年夏に起きた所謂国鉄3大事件の最初に惹起したのがこの下山事件である。
続く三鷹事件、松川事件では、「犯人」が逮捕、起訴され、死刑判決を含む重罪が課せられたが、後に最高裁で全員が無罪となり、この下山事件を含めて真相は未だに明らかになっていない。
これら3事件に関する刊行物は実に多く、特に下山事件に関しては、既刊物が突出している感がなくもない。

ノンフィクションでは書けないことも、小説だからこそ書けることもあると著者自身が言うように、事件全体の細部にわたるディテールは、創作が入るからこそ描写が可能だったに違いない。ただ、その創作も、奇想天外な、根拠も薄弱な創作なら、その魅力も半減したものだろうが、著者自身の綿密な取材に基づく、事実の裏付けが確かと思われる創作故にこそ、迫真に迫る描写となったのだろう。
その中で、下山総裁が殺害される場所が、千葉県勝浦の漁港の一角という設定は、自分の知る限り、これまでの文献では出てこない場所であり、著者が、どのような根拠に基づいて、この場所を殺害の現場としたのか、もう少し詳しい説明がほしいところであった。

文中には、旧731部隊の残党の暗躍も見え隠れする。
また、GHQ内部の熾烈な権力闘争と、その下に群がる日本の利権集団の暗闘も描写されているが、事件のどの部分に、どのような組織がどの程度関与したのか、掘り下げ方に、物足りなさを感じざるを得ないのは残念だった。

事件から66年という歳月が過ぎ、何故、また下山事件なのかという素朴な疑問も、本書の書かれた特殊な時代背景を抜きにしては説明できない。
GHQ施政下の戦後の日本の混沌とした時代に起きたこれらの怪事件は、まだ、その全貌が解明されざる戦後史の闇の中で、新たな歴史探求という知的興味を呼び起こすに足る魔力のようなものが事件全体を覆いつくしているからであろう。
そして、真相に迫りつつあるように見えて、迫り切れないもどかしさが、これら未解決事件にあるからである。

フィクションを交えているとはいえ、下山事件に新たなスポットを当てた読み応えのあるミステリーであった。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.10
(1pt)

フィクション部分に重大な齟齬がある

小説として致命的な欠陥がある。
下山総裁を待ち続けていた運転手が、犯人グループに脅されて車の中に残されていた総裁の鞄を奪われ、一定の時間まで警察に口外しないように脅されていた、と柴田氏は書く。これは全くのフィクション部分である。
しかしこんなことがあったと運転手が証言していれば、「自殺説」は最初から成り立たないではないか。
「自殺説」に収束させようとしている犯人グループも、この段階でこんな粗雑な、関係者の前に姿を現して言葉を交わす様な真似をする筈がない。(実際してない訳だし)
この運転手の証言は、最後まで物語の中で収束せず、他殺説を取る捜査二課もそのことは忘れたように振る舞う。
作者も編集者もこの伏線を回収することを忘れて、あとは事実をなぞるだけの小説を、なぜこのまま出してしまったのだろうか。
下山事件に関するほとんどの「ノンフィクション」を読んできた身としては、この粗雑さが実に哀しい。
もとより森達也の本から派生してきた様な柴田版には、今ひとつ乗れなかったが、この「小説」がその限界を示したか、と思う。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.9
(3pt)

あくまでもフィクション

文庫本の「~最後の証言」を読んでいたので、つい買って読んでしまいました。
面白さはやっぱり「~最後の証言」のが上かなぁ。わざわざフィクションと強調してまで小説に仕立てる意味があったかどうか。個人的には佐藤一氏の「~全研究」が正しいだろうと思っています。ぜひ本書と比べてお読み下さい。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.8
(5pt)

おもしろい!下山事件の全体像がうかびあがる

面白かった!

ノンフィクションである前作「下山事件 最後の証言」も面白かったですが、
本作は小説という表現をとることで、
著者は証言では埋められなかった事件のピースを描きました。
前作以上に事件の背景が語られていて、下山事件の全体像が見えます。

戦後の混乱期。
民主化と緊縮財政を進めるGHQ傘下の行政組織GS。
反共を旨とし、日本の旧体制を維持しようとする同じくGHQ傘下の諜報部門G2。
この2局の主導権争い。
G2配下に組織される旧日本軍に由来する日本人諜報グループ。

国鉄発足に伴う大規模な人員整理。
国鉄電化を主軸とする日本の電源開発。
その背後に蠢く利権集団。
さらにM資金。

こんな時代背景に加え、
国鉄のダークな姿も興味深いです。
戦後発足した国鉄は旧満鉄関係者の受け皿であって、
戦前、戦中にダーティーな仕事をした人間がその周辺も含めて多数巣食う一方、
労働運動の中心として日本の共産主義の一大基盤でもある、
左右の過激な人物の跋扈するとても難しい組織だったのです。

下村国鉄初代総裁はこんな混乱の渦中で命を失います。
犯行グループの謀略の全容も驚き。
国鉄にまつわる利権が侵される事態に牙を剥いたわけです。

後半は事件後の様子が描かれます。
自殺か他殺かで、捜査一課と捜査二課が、東大と慶応大の法医学教室が対立します。

最近ノンフィクションノベルをたてつづけて二作読みましたが、
どちらも面白かったです。
ちなみにもう1冊は「殺人鬼ゾディアック」。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.7
(3pt)

小説としては微妙でした

「最後の証言」の伏字部分を伏字でなくして(仮名ですが推測できます)、隙間を想像でつなぐために「小説」としたのだと思うので、「小説としての面白さ」をうんぬんするのは野暮だとは思いつつ、でも小説としては微妙でした。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.6
(5pt)

下山事件ー柴田哲孝 著

とてもリアリティーのある小説で歴史の真実ではないかと思いました。当時の歴史的背景から見ると全てが合致するのではないかと感じました。
また、戦後三代フレームアップと言われた「松川事件」「三鷹事件」「下山事件」はこの小説の「真実」に共通するものではないかと思います。
その意味でこの小説は大きな価値をもった小説だと言えます。犯人の中に筆者の親戚筋の人がいてその証言をも元にしていることに説得力があります。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.5
(1pt)

駄作

小説のかけない人間が事実を小説にしても仕方ない。もしやるなら少年時代の下山という人間の実像から始めて想像力で仕上げていかないと無理だがそういう力もなし。あとがきでやっと、自分の親戚が犯人ではないかという疑念がきっかけと告白されている。ならば、そこから初めて事件を調べていく「過程そのもの」が小説化できたはず。そのような助言のできる編集者もろくにいなかったということ。紙の無駄とはこのこと。かわずに図書館ですませて正解だった。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.4
(5pt)

小説の形

著者の柴田氏は、「自分の祖父が下山事件の実行犯だったのではないか」と考えている
という立場の人で、なので取材対象も祖父のかつての知人や上司であるという点で
他の研究者と異なっている。
この本は完全な小説という形をとっているので、より思い切った推測ができている。
とても詳しいので、下山事件の本を初めて読むのなら、事件の経過を簡記した本を
先に読んでいるといい。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.3
(4pt)

なかなか味わい深い…。

フィクションではあるが、作者の創造力に脱帽です。祖父という血縁に導かれ、またエネルギッシュな取材やその裏付けによって構築された作品だけあって説得力のある作品でした。
下山事件 暗殺者たちの夏 (祥伝社文庫) Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏 (祥伝社文庫)より
4396343175
No.2
(4pt)

なかなか味わい深い…。

フィクションではあるが、作者の創造力に脱帽です。祖父という血縁に導かれ、またエネルギッシュな取材やその裏付けによって構築された作品だけあって説得力のある作品でした。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706
No.1
(5pt)

下山事件の最新の見取り図

下山国鉄総裁が、行方不明となった、日の深夜 わずか1,2時間後に轢死体が発見された、その現場付近で、およそ日本人とは考えられないいくつかの大きな人影が目撃され、またそこにジープの車両の跡と思われる何本かのタイヤのあとがあったと、と言うことだった。
ある本にはそう書いてある。この謎についてもこの小説を読めば大胆な推理があり、矛盾がない。
最初に引用した本は、被告、著者は佐藤一である。
下山事件 暗殺者たちの夏 Amazon書評・レビュー: 下山事件 暗殺者たちの夏より
4396634706