蒲生邸事件

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評判

蒲生邸事件の評価:

4.13/5点 レビュー 134件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.13pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全307件 141〜160 8/16ページ
No.167
(4pt)

星4つ

よく練られている。
自分達だけが時間旅行者と思っていたら、実はもう1人いて、さらに被害者がそれに連れられる形で未来へ旅行しており、、、という構造は重層的。戦前の軍人が戦後を見て日本の未来を憂うが現実は厳しく、、、というあたりに社会性が織りこまれている。ヒロインや葛城医師の人物造形も重厚だ。あと時間旅行に対する独自の視点も織りこまれている。
欠点は、とにかく長いこと。とくに現代からの時間旅行者(しかも学生)を視点者に据える構成のため、世相描写が表面的なものに留まり、長さの割に濃度がうすく感じられる。辛党なら冗長と言うかもしれない。宮部氏なら資料調べは完璧のはずだから、これだけの枚数を使うなら、昭和初期の世相をもっとガンガン書きこんで欲しかった。時間旅行という架空要素と引き替えに、昭和初期という魅力的な設定を導入した訳だから、屋外描写が散歩程度に留まっているのはもったいないと感じさせる。
それを差しひいて星4つ。とはいえタイムトラベル物としては上質作品に仕上がっている。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.166
(5pt)

改心の一撃

宮部みゆきさんの本との相性は50パーセントみたいです。二冊あったら、一冊は夢中になり、一冊は途中でやめてしまいます。レビューを書いているこの作品は大当たりでした。歴史物は苦手で読まないのですが、タイムトラベルする歴史物は別です。受験生が主人公で戦前の日本にタイムトラベルしてしまいます。最初は未来人な私は優越感を持って読んでました。主人公と同じ気持ちになってました。読んで行くうちに、傲慢な私が説かれて恐縮させられてしまいました。未来人は過去の戦争は違っていたとか思い上がってなんとでも言えるんですよね。主人公くんも反省しておりました。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.165
(5pt)

改心の一撃

宮部みゆきさんの本との相性は50パーセントみたいです。二冊あったら、一冊は夢中になり、一冊は途中でやめてしまいます。レビューを書いているこの作品は大当たりでした。歴史物は苦手で読まないのですが、タイムトラベルする歴史物は別です。受験生が主人公で戦前の日本にタイムトラベルしてしまいます。最初は未来人な私は優越感を持って読んでました。主人公と同じ気持ちになってました。読んで行くうちに、傲慢な私が説かれて恐縮させられてしまいました。未来人は過去の戦争は違っていたとか思い上がってなんとでも言えるんですよね。主人公くんも反省しておりました。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)より
4334073247
No.164
(5pt)

改心の一撃

宮部みゆきさんの本との相性は50パーセントみたいです。二冊あったら、一冊は夢中になり、一冊は途中でやめてしまいます。レビューを書いているこの作品は大当たりでした。歴史物は苦手で読まないのですが、タイムトラベルする歴史物は別です。受験生が主人公で戦前の日本にタイムトラベルしてしまいます。最初は未来人な私は優越感を持って読んでました。主人公と同じ気持ちになってました。読んで行くうちに、傲慢な私が説かれて恐縮させられてしまいました。未来人は過去の戦争は違っていたとか思い上がってなんとでも言えるんですよね。主人公くんも反省しておりました。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.163
(4pt)

宮部みゆきの多彩な才能を知った作品

推理小説においても時代小説においても優れた作品を残している宮部みゆきによって生み出された600ページをこえるタイムスリップものの日本SF大賞受賞作品でしたが、先が気になり一気に読みました。人物描写の巧みさと戦前の時代考証の確かさ、少し推理小説仕立ての展開が飽きさせません。暖房用の炭火による一酸化炭素の中毒、メリヤス製の衣類、革製の旅行鞄など戦前の日本の生活が見えてきます。
皇道派と統制派がせめぎ合う中、退役したとはいえ、渦中の人物の1人ともいえる蒲生大将(昭和10年のA事件にも関わりを持とうとした人物ゆえ)の邸宅に氏素性のはっきりしない主人公・孝史が留まれたという蒲生邸での存在理由には無理があるように感じましたが、それを言い出すとこの小説が成り立ちませんのでそこは受けとめて読み進めました。
二・二六事件によって戒厳令がひかれている帝都・東京も映像を見るように鮮やかに描写してあります。架空の蒲生邸ですが、その位置関係も現代の地図と照らし合わせてみれば位置関係が見えてくるでしょう。反乱軍の占領していた領域も史実に合致する内容でしたから、よく考証されていると思います。
タイムスリップの描写、時間の進み具合の辻褄など違和感はありませんでした。大きな歴史の流れを変えることができないという設定も頷けるものがありました。
終章孝史での鮮やかな大団円がこの小説を引き締めていますし、なんとも心温まるまとめは作者の思いが感じられる展開でした。「なるほどそうしめるか」というラストは作者のストーリー・テラーとしての巧さを感じました。甘酸っぱい余韻が残る締めだからこそ皆に支持され読み継がれているのでしょう。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.162
(4pt)

宮部みゆきの多彩な才能を知った作品

推理小説においても時代小説においても優れた作品を残している宮部みゆきによって生み出された600ページをこえるタイムスリップものの日本SF大賞受賞作品でしたが、先が気になり一気に読みました。人物描写の巧みさと戦前の時代考証の確かさ、少し推理小説仕立ての展開が飽きさせません。暖房用の炭火による一酸化炭素の中毒、メリヤス製の衣類、革製の旅行鞄など戦前の日本の生活が見えてきます。
皇道派と統制派がせめぎ合う中、退役したとはいえ、渦中の人物の1人ともいえる蒲生大将(昭和10年のA事件にも関わりを持とうとした人物ゆえ)の邸宅に氏素性のはっきりしない主人公・孝史が留まれたという蒲生邸での存在理由には無理があるように感じましたが、それを言い出すとこの小説が成り立ちませんのでそこは受けとめて読み進めました。
二・二六事件によって戒厳令がひかれている帝都・東京も映像を見るように鮮やかに描写してあります。架空の蒲生邸ですが、その位置関係も現代の地図と照らし合わせてみれば位置関係が見えてくるでしょう。反乱軍の占領していた領域も史実に合致する内容でしたから、よく考証されていると思います。
タイムスリップの描写、時間の進み具合の辻褄など違和感はありませんでした。大きな歴史の流れを変えることができないという設定も頷けるものがありました。
終章孝史での鮮やかな大団円がこの小説を引き締めていますし、なんとも心温まるまとめは作者の思いが感じられる展開でした。「なるほどそうしめるか」というラストは作者のストーリー・テラーとしての巧さを感じました。甘酸っぱい余韻が残る締めだからこそ皆に支持され読み継がれているのでしょう。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.161
(4pt)

お勧めの一冊

2・26事件の当日にタイムスリップして、かつ殺人事件が重なって、最後までストーリーに釘付けでした。タイムトラベラーが二人も登場していて、タイムスリップする話ではよくあることですが、現在過去未来に時間旅行して、ぐちゃぐちゃ。でも、よく辻褄合わせているなぁって関心しました。印象的だったのは、ある人の歴史を書き換えても、社会全体の歴史は全く代わらないという考え方が目からウロコでした。
たとえば、どういうことかというと、ヒトラーが独裁者になる前に未然に殺したとしても、同じ時代に別の同じような人が同じように独裁者になりうるということです。ちなみに、このたとえは、本には出てこないけど、そういう考え方がすごく納得しました。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.160
(4pt)

お勧めの一冊

2・26事件の当日にタイムスリップして、かつ殺人事件が重なって、最後までストーリーに釘付けでした。タイムトラベラーが二人も登場していて、タイムスリップする話ではよくあることですが、現在過去未来に時間旅行して、ぐちゃぐちゃ。でも、よく辻褄合わせているなぁって関心しました。印象的だったのは、ある人の歴史を書き換えても、社会全体の歴史は全く代わらないという考え方が目からウロコでした。
たとえば、どういうことかというと、ヒトラーが独裁者になる前に未然に殺したとしても、同じ時代に別の同じような人が同じように独裁者になりうるということです。ちなみに、このたとえは、本には出てこないけど、そういう考え方がすごく納得しました。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.159
(5pt)

未来を探す過去の旅へ

有名なクーデター、二・二六事件をテーマにした宮部みゆきのSF大作。
人は自分の思い通りに生きる事は出来ない。
他人と繋がりあって、思い出ができ、過去を共有する限り。
誰もが何かを求めて、その代償として違う何かに苦しんでいる。
庶民の主人公・時間旅行者の平田・裕福な蒲生家の人々・・・
すべての登場人物が感じる「無力」。
これこそが本作における最大のテーマである。
物語は二・二六事件が起きているすぐ近くにある蒲生邸の内部で展開する。
時間旅行者の平田と共に昭和の終了間際の時代からその時代に降り立った主人公・孝史は
蒲生邸の人々を取り巻く様々な軋轢に飲み込まれていく。
登場するすべての人々が実際に存在していたかのように思わせる人物描写が秀逸。
ビジョンすら浮かんでくる情景描写もさすが宮部みゆきといったところだ。
読み終える頃にはなんとも言えない気持ちにさせてくれる。
存在しないはずの人々に、なぜ私たちは涙して、恋をするのだろう。
練りこまれた仕掛けが、何度でも蒲生邸に誘ってくれるだろう。
ページは多いがそれだけの価値もある名作。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)より
4334073247
No.158
(5pt)

未来を探す過去の旅へ

有名なクーデター、二・二六事件をテーマにした宮部みゆきのSF大作。
人は自分の思い通りに生きる事は出来ない。
他人と繋がりあって、思い出ができ、過去を共有する限り。
誰もが何かを求めて、その代償として違う何かに苦しんでいる。
庶民の主人公・時間旅行者の平田・裕福な蒲生家の人々・・・
すべての登場人物が感じる「無力」。
これこそが本作における最大のテーマである。
物語は二・二六事件が起きているすぐ近くにある蒲生邸の内部で展開する。
時間旅行者の平田と共に昭和の終了間際の時代からその時代に降り立った主人公・孝史は
蒲生邸の人々を取り巻く様々な軋轢に飲み込まれていく。
登場するすべての人々が実際に存在していたかのように思わせる人物描写が秀逸。
ビジョンすら浮かんでくる情景描写もさすが宮部みゆきといったところだ。
読み終える頃にはなんとも言えない気持ちにさせてくれる。
存在しないはずの人々に、なぜ私たちは涙して、恋をするのだろう。
練りこまれた仕掛けが、何度でも蒲生邸に誘ってくれるだろう。
ページは多いがそれだけの価値もある名作。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.157
(5pt)

未来を探す過去の旅へ

有名なクーデター、二・二六事件をテーマにした宮部みゆきのSF大作。
人は自分の思い通りに生きる事は出来ない。
他人と繋がりあって、思い出ができ、過去を共有する限り。
誰もが何かを求めて、その代償として違う何かに苦しんでいる。
庶民の主人公・時間旅行者の平田・裕福な蒲生家の人々・・・
すべての登場人物が感じる「無力」。
これこそが本作における最大のテーマである。
物語は二・二六事件が起きているすぐ近くにある蒲生邸の内部で展開する。
時間旅行者の平田と共に昭和の終了間際の時代からその時代に降り立った主人公・孝史は
蒲生邸の人々を取り巻く様々な軋轢に飲み込まれていく。
登場するすべての人々が実際に存在していたかのように思わせる人物描写が秀逸。
ビジョンすら浮かんでくる情景描写もさすが宮部みゆきといったところだ。
読み終える頃にはなんとも言えない気持ちにさせてくれる。
存在しないはずの人々に、なぜ私たちは涙して、恋をするのだろう。
練りこまれた仕掛けが、何度でも蒲生邸に誘ってくれるだろう。
ページは多いがそれだけの価値もある名作。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.156
(5pt)

長いが、一気に読める作品

宮部みゆきの作品は今までたくさん読んできましたが、この本が一番好きです。
もともと“タイムスリップもの”が好きっていうのもあるけど…1冊の本で、笑って、ハラハラして、意外な事実に驚いて、そして涙して…と、数ある本の中でこれだけ「エンターテインメント」が凝縮されたものには、なかなか出会えません。実際にあった「ニ・ニ六事件」を絡ませているっていうのも巧いですよね。そして何より、ラストシーンが大好きです。何度読み返しても胸が詰まりそうな…。
結構分厚い本だけど、一気に読めること間違いなしですよ。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)より
4334073247
No.155
(5pt)

長いが、一気に読める作品

宮部みゆきの作品は今までたくさん読んできましたが、この本が一番好きです。
もともと“タイムスリップもの”が好きっていうのもあるけど…1冊の本で、笑って、ハラハラして、意外な事実に驚いて、そして涙して…と、数ある本の中でこれだけ「エンターテインメント」が凝縮されたものには、なかなか出会えません。実際にあった「ニ・ニ六事件」を絡ませているっていうのも巧いですよね。そして何より、ラストシーンが大好きです。何度読み返しても胸が詰まりそうな…。
結構分厚い本だけど、一気に読めること間違いなしですよ。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.154
(5pt)

長いが、一気に読める作品

宮部みゆきの作品は今までたくさん読んできましたが、この本が一番好きです。
もともと“タイムスリップもの”が好きっていうのもあるけど…1冊の本で、笑って、ハラハラして、意外な事実に驚いて、そして涙して…と、数ある本の中でこれだけ「エンターテインメント」が凝縮されたものには、なかなか出会えません。実際にあった「ニ・ニ六事件」を絡ませているっていうのも巧いですよね。そして何より、ラストシーンが大好きです。何度読み返しても胸が詰まりそうな…。
結構分厚い本だけど、一気に読めること間違いなしですよ。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.153
(4pt)

少年(青年?)の成長

トリックとかいまいちですが、青春小説とはして読むとすがすがしい気持ちになれます。
この作者は、人(特に若い男や少年)の心の成長を描くのがとても上手です。
青春ミステリーの傑作のひとつではないでしょうか。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)より
4334073247
No.152
(4pt)

少年(青年?)の成長

トリックとかいまいちですが、青春小説とはして読むとすがすがしい気持ちになれます。
この作者は、人(特に若い男や少年)の心の成長を描くのがとても上手です。
青春ミステリーの傑作のひとつではないでしょうか。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.151
(4pt)

少年(青年?)の成長

トリックとかいまいちですが、青春小説とはして読むとすがすがしい気持ちになれます。
この作者は、人(特に若い男や少年)の心の成長を描くのがとても上手です。
青春ミステリーの傑作のひとつではないでしょうか。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034
No.150
(5pt)

宮部みゆきの真骨頂

フィクション(それもSFというとりわけ超現実的なジャンル)にもかかわらず、戦争資料から史実を読みとくかのごとく、生きた歴史の断片を垣間見ながら、その虚構の世界の住人になりきれる。これは、宮部みゆき渾身の、そして稀代のサーガだ。 平成の世の一受験生が、ホテル火災から九死に一生を得る…が、助けてくれた男は時間旅行者、助け出された先は何と2・26事件真っ只中の昭和初期!トラベルミステリーならぬ、タイムトラベルミステリー。それも、舞台が太平洋戦争へと日本が舵をきる歴史の転換点というこの設定が、著者の慧眼を如実に浮き彫りにしている。 タイムトラベルなどといえども、単なるエンタメでは決してない。軍部による暗黒時代への序章の中で紡がれる物語は、そんな一語で切り捨てるには余りにも壮観過ぎるのだ。そこには、蒲生邸で生きる一家が、そしてその他の名もなき大衆が、歴史に刻み込んだ軌跡がある。 普通の人間とは異なる能力を持つゆえに、その人生に翻弄される時間旅行者。その目に映る歴史の重みは、我々のそれとは微妙に違うのだろう。しかし、歴史は修正できても変えることはできないと知りつつも、それでも己の信ずるものの為にタイムトリップを繰り返す彼らの姿を、我々は同じ現代人として謙虚に見つめなければならないと思う。 この作品は実に複合的なテーマが絡み合っているのだが、その一つに現代人と戦前の人々との間の絆がある。それは、絶対に有り得ない出逢いであるからこそに輝き、そして儚いものなのだ。現代に帰還した後の孝史の過去の蒲生邸との邂逅は、さながら遠い昔に海で無くした宝物を浜辺の一握の砂の中から見つけ出したような感慨の音だけを、いつまでも、いつまでも、読後の心へと反響し続ける。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)より
4334073247
No.149
(5pt)

宮部みゆきの真骨頂

フィクション(それもSFというとりわけ超現実的なジャンル)にもかかわらず、戦争資料から史実を読みとくかのごとく、生きた歴史の断片を垣間見ながら、その虚構の世界の住人になりきれる。これは、宮部みゆき渾身の、そして稀代のサーガだ。 平成の世の一受験生が、ホテル火災から九死に一生を得る…が、助けてくれた男は時間旅行者、助け出された先は何と2・26事件真っ只中の昭和初期!トラベルミステリーならぬ、タイムトラベルミステリー。それも、舞台が太平洋戦争へと日本が舵をきる歴史の転換点というこの設定が、著者の慧眼を如実に浮き彫りにしている。 タイムトラベルなどといえども、単なるエンタメでは決してない。軍部による暗黒時代への序章の中で紡がれる物語は、そんな一語で切り捨てるには余りにも壮観過ぎるのだ。そこには、蒲生邸で生きる一家が、そしてその他の名もなき大衆が、歴史に刻み込んだ軌跡がある。 普通の人間とは異なる能力を持つゆえに、その人生に翻弄される時間旅行者。その目に映る歴史の重みは、我々のそれとは微妙に違うのだろう。しかし、歴史は修正できても変えることはできないと知りつつも、それでも己の信ずるものの為にタイムトリップを繰り返す彼らの姿を、我々は同じ現代人として謙虚に見つめなければならないと思う。 この作品は実に複合的なテーマが絡み合っているのだが、その一つに現代人と戦前の人々との間の絆がある。それは、絶対に有り得ない出逢いであるからこそに輝き、そして儚いものなのだ。現代に帰還した後の孝史の過去の蒲生邸との邂逅は、さながら遠い昔に海で無くした宝物を浜辺の一握の砂の中から見つけ出したような感慨の音だけを、いつまでも、いつまでも、読後の心へと反響し続ける。
蒲生邸事件 Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件より
4620105511
No.148
(5pt)

宮部みゆきの真骨頂

フィクション(それもSFというとりわけ超現実的なジャンル)にもかかわらず、戦争資料から史実を読みとくかのごとく、生きた歴史の断片を垣間見ながら、その虚構の世界の住人になりきれる。これは、宮部みゆき渾身の、そして稀代のサーガだ。 平成の世の一受験生が、ホテル火災から九死に一生を得る…が、助けてくれた男は時間旅行者、助け出された先は何と2・26事件真っ只中の昭和初期!トラベルミステリーならぬ、タイムトラベルミステリー。それも、舞台が太平洋戦争へと日本が舵をきる歴史の転換点というこの設定が、著者の慧眼を如実に浮き彫りにしている。 タイムトラベルなどといえども、単なるエンタメでは決してない。軍部による暗黒時代への序章の中で紡がれる物語は、そんな一語で切り捨てるには余りにも壮観過ぎるのだ。そこには、蒲生邸で生きる一家が、そしてその他の名もなき大衆が、歴史に刻み込んだ軌跡がある。 普通の人間とは異なる能力を持つゆえに、その人生に翻弄される時間旅行者。その目に映る歴史の重みは、我々のそれとは微妙に違うのだろう。しかし、歴史は修正できても変えることはできないと知りつつも、それでも己の信ずるものの為にタイムトリップを繰り返す彼らの姿を、我々は同じ現代人として謙虚に見つめなければならないと思う。 この作品は実に複合的なテーマが絡み合っているのだが、その一つに現代人と戦前の人々との間の絆がある。それは、絶対に有り得ない出逢いであるからこそに輝き、そして儚いものなのだ。現代に帰還した後の孝史の過去の蒲生邸との邂逅は、さながら遠い昔に海で無くした宝物を浜辺の一握の砂の中から見つけ出したような感慨の音だけを、いつまでも、いつまでも、読後の心へと反響し続ける。
蒲生邸事件 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 蒲生邸事件 (文春文庫)より
4167549034