銃・病原菌・鉄
評判
銃・病原菌・鉄の評価:
4.07/5点 レビュー 476件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全717件 261〜280 14/36ページ
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銃・病原菌・鉄の評価:
4.07/5点 レビュー 476件。 B ランク
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本書は、1997年に原書が出版され、1998年の ピューリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)を受賞し、著者の名前を一躍世界的に有名にした。日本でも、2000年に出版され(2012年文庫化)、朝日新聞「ゼロ年代の50冊」1位に選ばれるなどした。
本書は、著者が33年間に亘りフィールドワークを行ってきたニューギニアで、1970年代のある夏に現地の有力者から「なぜヨーロッパ人がニューギニア人を征服し、ニューギニア人がヨーロッパ人を征服することにならなかったのか?」と尋ねられ(そのときには答えられなかった)、その後30年の研究に基づく1つの答えとして書かれたものである。
そして、著者による結論は次のようになる。「歴史は、異なる人びとによって異なる経緯をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」
【以下、下巻について】
論旨は概ね以下である。
◆文字については、それを独自に作り出した社会も、早いうちに取り入れた社会も、納税の記録や国王の布告を表す必要性がある複雑で集権化された社会であり、また、文字の読み書きを専門とする官吏を養う余剰食糧を持ち得る社会であった。
◆技術を発達させた社会も、農耕による食糧生産が可能になり、余剰食糧の蓄積が非生産者階級の専門職を養うゆとりを生み出した社会である。基本的には、人口が多く、競合する社会の多い地域において、技術は最も早く発達する。
◆農業生産性が高い集団のみが、多数の市民を支えることができ、ひいては国家を形成することができた。
◆考察すべき今後の課題としては、同じユーラシア大陸の中で、なぜ、肥沃三日月地帯や中国ではなく、ヨーロッパが主導権を握るようになったのか、がある。最初の一歩を最も早く踏み出した肥沃三日月地帯がその圧倒的なリードを失った理由は、古代において森林に覆われていた同地域が、その後の気候変動により砂漠地帯や灌木地帯に変わってしまったことである。中国については、地理的障壁が少ないという特性から古代から政治的統一性が高く、当時の絶対的支配者が(たまたま)海外への大航海を禁じ、それが徹底されたことが原因である。それに対し、ヨーロッパは地理的障壁が多く、政治的に分裂していたために、小国家が競い合い、その延長で大航海を行ったことが、結果的に覇権を握る要因となった。
◆歴史研究は、実験的に操作して再現試験を行うことができず、構成要素が非常に多岐にわたる複雑な分野であり、個々がユニークであるために、普遍的な法則を導くことが困難な分野である。それでも、人間科学としての歴史研究が、今後さらに科学的行われるであろうし、何が現代社会を形作り、何が未来を形作るかを教えてくれるという有益な成果をもたらしてくれるだろう。
本作品における主たる研究・分析の結果は、上巻を読めば概ね把握することができるが、元来の生物学者である著者がなぜ歴史研究に傾倒し、それによって何を明らかにしようとしているのかはエピローグで語られている。
出版から20余年を経て、主な主張は既に何らかの形で耳にしているとはいえ、一度は直に触れておきたい大著である。
(2020年2月了)