ようこそ、わが家へ
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ようこそ、わが家への評価:
4.03/5点 レビュー 199件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全31件 1〜20 1/2ページ
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
銀行からの出向社員の倉田が、ひょんなことから、ストーカー被害を受ける。
家に、いやがらせがはじまったのである。
時を同じくして、倉田の勤めるナカノ電子部品で、真瀬営業部長がらみの、帳簿とのつじつまがあわない、不可解なできごとがおこる。
社長の持川は、出向社員の倉田のアドバイスも従おうとしない。
ますますはげしくなるいやがらせ。
はたして、倉田はどうなるのか?
というような話でした。
ストーカーの犯人は誰?とか、真瀬営業部長の不可解な動きだとか、
謎があって、それで物語を引っぱっていく感じです。
ただ、真瀬の話は、ありがちな話と言えば話で、ストーカー犯人も、捕まったかと思いきや、実は複数いたという二段オチで、なかなか一筋縄ではいかないかな、という気がします。
「ゲーム感覚で悪いことをする」ということに対して、
この物語では、倉田の息子の健太の言葉で、以下のように語っています。
「いまはもう、ムラ社会の常識は通用しないんだよ。それが通用したのはせいぜい昭和までだ」
健太の言葉は、倉田の価値観に罅を入れた。「ムラでは、お互いに顔を知っていて、それがどこの誰で、父親が誰で、仕事は何で――みんなが知ってるだろ。だから本当に悪い奴だって、簡単には悪いことができないわけだ。すぐに捕まるからね。つまり、素性がわかっていることが、抑止力になってたわけ。だけど、満員電車で背中をくっつけたって、相手はどこの誰だかわからないこの世の中で、そんな抑止力なんて期待できるわけがない。名前も住所もわからなきゃ、ましてや性格なんて知りようがない。つまりは匿名の世の中なんだ。コノヤローと思ったとき、ムラ社会なら世間体が先に立つから遠慮する。すみませんと謝罪するかも知れない。だけど、匿名が前提の世界では、たとえ顔を見られていたって、こっちの素性さえわからなければ仕返しできるんだ。徹底的に、ときにはゲーム感覚で。そして忙しい警察も、ある程度のところまでは見逃してくれる」(165~166㌻)
ストーカーが、ゲーム感覚でやってる、ということなんですが、
とはいえ、この健太も、実は同じ穴の貉、ミイラ取りがミイラ、というオチなんですけどね。
倉田の生き方というのが、「正しい」というあり方なんですが、
そういう生き方について、次のように語られているのが印象的でした。
「必要かどうかは会社の事情によるだろう。だけどな、倉田。自信、持てよ。お前、正しいことしてるじゃないか」
「正しいことがいつも正しいとは限らないんだよ。だから世の中は難しいんじゃないか」(359㌻)
倉田の出向先から、倉田がお払い箱になるわけですが、会社の不正を糺して、それが原因だったりするわけで、どうして正しいことをしているのに報われないのか、ということが語られています。
そうですよね。僕も不正を糺しまくってきましたが、
清濁併せ呑むとかいうわけのわからん理屈によって、排撃されまして、
只今、絶賛左遷中でございますからね。
この倉田の言葉は、とても重かったりするわけです。
とはいえ、最後のほうに、
愚直で不器用だが、至極真っ当な人生を歩んできたとの自負だけはある。そのどこが悪い。(436㌻)
と語られているのが、少し救いではあります。
でも、いささかテンプレなところもあって、
倉田の味方をしてくれる摂子が、「茶髪でシングルマザー。だけど、経理は凄腕」(436㌻)など、
悪そうに見えるけど、良いヤツだぜ、というような、
いささかテンプレっぽいところが、多少の難点ではあります。
やっぱり、正しい人間は、茶髪じゃあかんやろ、と思うのです。せめて、金髪だろ、と。(笑)
とりあえず、正しいものが指弾されてしまうという、
そんな現代の矛盾を描いている、なかなか面白い小説でした。