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壁が囁く
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壁が囁くの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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この小説は、昭和41年に発表された。 当時は、新しい感覚のミステリとして受け入れられたのかもしれないが、今日の水準から言えば、典型的な2時間サスペンスドラマの筋立てに過ぎない。 というか、こうした佐野洋の作品をお手本に、2時間サスペンスドラマの典型的なフォーマットが形作られたと見るべきなのだろう。 しかし、それゆえに、今の読者の目で読めば、結末に至る何章も前から、もう真犯人が見え見え。 この状況から、どんでん返しを演出するとすれば、「意外な動機」しかありえない。 最終章の1つ前の章で、副主人公が推測として語る、真犯人の動機の説明を、主人公は否定する。 そんな動機で、連続殺人など起こすのだろうか? 当然、読者は最終章で、別の、もっと意外な動機があったことを「真相」として提示されるものと期待する。 ところが、そうはならない。 真犯人は、そんな動機で連続殺人をしでかすような、極めて独善的で異常な性格でした、と語られる。 そんなアホな。 期待を決定的に裏切られるという意味では、意外な展開(苦笑)である。 こうした動機の設定は、発表当時であれば好意的に評価されたかもしれない。 敗戦後の貧しく混乱した世相を乗り切り、昭和40年代に入って社会的な地位を得て、安定した幸福な暮らしをしているはずの者たちも、その内面を覗き込めば、単なる成り上がり者に過ぎず、敗戦直後の廃墟のような荒廃を抱いたままなのだ、という一種の文明批評としても、読み得るからだ。 だが、そんな文明批評は純文学に任せておけば良い。 ミステリならばミステリとして、きちんと割り切れなければならない。 そのことを、誰よりも作者自身が、自ら表明していたはずではなかったか? これが江戸川乱歩や横溝正史なら、最後の最後で異常性をむき出しにした真犯人自身の口から、異常者ならではの歪んだ心理状態から来る、ねじくれた人間観が語られ、タイトル通り 「あいつを殺せと壁が囁く・・・壁が!」 と真犯人が絶叫し、哄笑するような、読者の心肝を寒からしむる展開 (その後、さらに断崖から身を投げれば、典型的2時間サスペンスの完成) となるのだが、佐野洋作品では、そうはならない。 だからと言って、酒でも飲んでなきゃやってられませんぜ、この世の中、みたいな諦観を示されても、ねぇ。 | ||||
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他の推理小説とは一味違う、 大人のミステリーです。 なので、本格推理とは少し色が異なりますので、 重厚なトリックを求める人は この本はやめておいたほうがよいでしょう。 生ぬるいと感じるだけでしょうから。 全体的に人間の欲がとかく渦巻きます。 そう、そちら方面のほうです。 そしてそれによる「嫉妬」 これは男性のほうに非がありますね。 残念なことに。 最後は完全には解決を見ません。 それが「佐野洋」の作品なのですから。 | ||||
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