破裂
評判
破裂の評価:
3.93/5点 レビュー 71件。 C ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 21〜40 2/3ページ
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破裂の評価:
3.93/5点 レビュー 71件。 C ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
作者は現役ばりばりの医者らしい。
それが読みようによっては暴露的な『廃用身』で衝撃デビューした。
役に立たない身体の部分を切り取って捨てる、
という「医療」を開発した医者をめぐる生々しい話である。
老人医療が主に絡むし、タブーともいえる重い話題だから、
一度読み出したものの息苦しくなって中断した。
内容もさることながら、
本気でそれが正しいと考えている「良心的な」医者の報告書、という
現実と虚構の区別のつかない方法が強烈で、それも辛かった。
つまりフィクションの体裁をとってはいるが、
真っ向から現実の問題を扱っているのである。
本書を読むに際して、
宣伝のどんな殺し文句に惹かれたのかはもう記憶にない。
ただ漠然と、より娯楽性が高いような印象はあったかもしれない。
とはいえ、この作家だ。
読んでいても恐ろしいのではないか、と恐る恐るだったが、
いったん読み出すとやめられなくなって、ほとんど一気に読了した。
この段階ではまだ経験の少ない作家ということなのか、
ぎこちさを感じないでもなかった。
視点の移動のバランスの悪さや、エピソードのつなぎ方、
終わりの方のあっけなさなど。
医学的知識なども、現場の知識経験に裏付けられた迫力があるにしても、
ちょっとくどすぎはしないか。
しかし構想力、筆力には恐るべきものがある。
素材は、今回も医療ミスであり、
また超高齢化社会と安楽死、というふうに重く生々しい問題なのだが、
この両者を、エリートだが手術ミスの多い医者
(つまり医療ミスの問題が出てくる)が、
老人に活力を与えるものの危険な副作用を持つ新薬を開発する
(だから老人問題が出てくる)、という設定でつないで、
さらに裁判の戦いの魅力なども盛り込み、
娯楽性豊かな物語をつむいでいく離れ業には驚かざるを得ない。
読み終わるのが深夜に及んだので、
恐ろしい終わりが待っていると嫌な気もしたのだが、
とりあえずその点はほっとした。
そこにはある種の再生のドラマもある。
恐れたようなどろどろしたことにならないのもよかった。
娯楽性の高いのはむしろ救いだ。
だが、娯楽性を加味し、
かつ一種のカタルシスを作り出してより読みやすく、
つまりより売れるようになった分、
問題の扱いが軽くなった感も否めないのではないか。
確かに、一方では、主人公らしき人物があったとしても、
単純な善悪ではもちろんないわけで、
だから主人公も苦しんだり、いろいろ無様な姿をさらしてもいるし、
ジャーナリストのエゴも描かれている。
いろんな立場、考え方が、それぞれ相対化されて、
何が正しいかが決して単純な問題ではないことが示されているのはいいと思う。
また、モンスター的な登場させる方法を責めるのは簡単で、
それをどうするのだという問題は残るものの、
この人物の考えに同調する人間は、
老人のなかにもそれ以外の人間でも少なくないはずだ。
いったいどう考えるべきなのか。
しかしこういう問題提起が残るにもかかわらず、
やはりどこか問題が置き去りにされた感じは残る。
ひとつには、それはプロットの問題で、
読者としては、最初問題だったはずの医療ミスの問題が、
それ自体はなんら深められずに安楽死の問題にすり換えられてしまった、
という印象があるのではないかと思う。
というわけで野心的な分、問題もあるように感じられるが、
ドストエフスキーを愛読し、若いころは純文学を目指した、という作者、
その後も旺盛に執筆しているようだし、今後も期待したいと思う。