磐音は、関前藩留守居役の中居半蔵から、実父正睦が藩物産取引で不正を働いた疑いありと告げられる。

豊後関前藩から密かに上府した、坂崎磐音の父で国家老の正睦。

三年余にわたる流浪の旅の果て、坂崎磐音とおこんが、江戸に戻ってきた。

参勤交代で江戸入りした関前藩主・福坂実高を出迎えた磐音は、次期藩主の俊次に剣術の弟子入りを志願された。

旅の空にある磐音らの無事を祈りながら暮らす江戸の面々。

一面銀世界の紀州姥捨の郷で、磐音とおこんは生まれたばかりの空也を抱き、束の間の安息を得た。

豊後関前藩を後に、商人箱崎屋次郎平の招きで博多を訪れた坂崎磐音とおこん。

連日厳しい残暑に江戸が見舞われる頃、坂崎磐音、おこんらは尾張名古屋城下の長屋で落ち着いた日々を送っていた。

おこんの慰労をという今津屋の心遣いで海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音たち。

坂崎磐音とおこんは危難に満ちた船旅を経て豊後関前藩へと辿り着く。母・照埜と念願の対面を果たすおこん。

田沼一派に襲われた豊後関前藩の跡継ぎ福坂俊次を守って、毒矢に切られた霧子。

薩摩国の国境に近い牛ノ峠に、一人の武者修行の若者が辿り着く。

改築中の尚武館道場に、読売屋の和蔵が訪ねて来た。聞けば、佐野政言が田沼父子を告発する闇読売をばら撒こうとしているらしい。

江戸を離れ逃避行の末、磐音はおこんらと尾張名古屋に身を寄せた。

師走、寒気増す江戸深川・六間堀長屋。

老中田沼意次が頼みとする将軍家治が病に倒れた。権勢に陰りを見せる田沼を葬ろうと、御三家らが動き出す。

寛政七年仲夏、豊後関前藩の湊に降り立った坂崎磐音一家。

田沼との激闘の日々は遠くなった。尚武館道場に入門し、兄弟子と立ち合い稽古に励む空也。

小正月を迎えた江戸。佐々木磐音は鵜飼百助のもとを訪ね、愛刀の備前包平を研ぎに出す。

秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。

小梅村の尚武館道場に現れた老武芸者。

天明四年弥生二十四日。粛然と稽古に打ち込む磐音のもとに、霧子から急報がもたらされる。

尚武館を追われ、小梅村にある今津屋の御寮でひっそりと暮らす佐々木磐音とおこん。

佐々木磐音は、南町奉行所定廻り同心・木下一郎太の相談を受ける。

年の瀬、門弟の餅搗きで賑わう尚武館を武芸者が訪れる。

出羽山形からの帰路、俄雨の宿場で磐音は、追手に襲われた若い侍を助ける。

千鳥ヶ淵一番町にある高家の屋敷に、おこんらと冬桜見物へと出かけた佐々木磐音。

かつての許婚・奈緒が身請けされた紅花問屋前田屋が、取り潰しの危機に瀕しているー。

天明八年、小梅村の尚武館坂崎道場。庭では九歳になった空也が独り稽古に励んでいた。

佐野政言が城中で起こした刃傷騒ぎに起因し、田沼意次の嫡男・意知が落命する。

八代の湊を出た空也は、五島列島の福江島へと辿り着く。

駿太郎が夏風邪をひいた。幸い大事には至らなかったが、そんな折、小籐次は公儀の筋から相談を持ちかけられる。

文政三年冬。小藤次とおりょうは、うづと太郎吉の仲人を務め終えると、水戸藩に新たな竹細工を伝授するため旅立った。

かつて仕えた森藩の呼び出しに応じ、旧主・久留島通嘉と面会した小籐次は、思いがけず若き日の悪さ仲間だった松野藩藩主・松平保雅の窮地を救うよう依頼された。

眉月に縁がある高麗の陸影を望む対馬へと辿り着いた空也。

深川惣名主・三河蔦屋染左衛門の信を得た小籐次は、染左衛門の成田山新勝寺詣でに急遽同行することに。

薩摩を発った空也は肥後国人吉城下へ戻り、タイ捨流丸目道場の門弟として同世代の若者と稽古に励んでいた。

秋雨が十日も続き、仕事にあぶれた住民たちが食べ物にも事欠くようになった新兵衛長屋で、炊き出しが行われることになった。

年の瀬が迫り、次々と舞い込む研ぎ仕事を片付ける傍ら、小藤次は想いを交わすおりょうのため、芽柳一派旗揚げ新春歌会の設えに奔走する。

小金井橋の死闘で小城藩の刺客を斃した小籐次だったが、己が生涯追われる身になったと悟り、怪我を押して甲斐国へと向かった。

平戸を発ち、長崎へと辿り着いた空也は、島巡りの途中で出会った長崎会所の高木麻衣、奉行所の鵜飼寅吉と再会する。

小籐次の想い人おりょうに持ち上がった、二千四百石の高家・畠山頼近との縁談。おりょうは不安と不審を小籐次に吐露する。

正月を迎えた江戸。

豊後関前藩の若き武士３人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。

安永七年正月。白梅の香り漂う新年早々、尚武館佐々木道場に朱塗りの大薙刀を引っ提げた道場破りが現れる。

江戸に炎熱舞い落ちる頃、稼ぎが減って干上がる間際の坂崎磐音。

「密命も今回かぎりに御免被りとうございます」と、大岡越前の密偵役を辞退して半年。

尚武館佐々木道場で朝稽古に励む磐音を、元師範の依田鐘四郎が訪ねてくる。

改築中の佐々木道場の地中から古甕が見つかった。

坂崎磐音の父で豊後関前藩家老の正睦は、日光社参の無事を祝って城中で催された猿楽に異例の招きを受ける。

足掛け５年の修行の日々は、すべてこの日のため――。国中から豪腕辣腕の武芸者が集結した上覧剣術大試合。

惣三郎の次女結衣が姿を消した。昇平によれば、結衣が宮地芝居の小屋から出てくるところを見かけたという。