わたしにも、スターが殺せる
- コロナ禍 (64)
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「「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」かつて山本七平は名著『「空気」の研究』にこう書いた。本作はその妖怪の正体をつきとめるべく、果敢に挑んだ意欲的なサスペンス長編だ。 主人公の「真生」(まい)はフリーのライターで29歳。無署名、1文字あたり1円のバイト料でネット記事を量産する仕事をして三年が経つ。テレビを見ながら、机上にペンを立て、右に倒れれば「アゲる」、すなわち褒める。左に倒れれば「サゲる」、つまり批判する。意見なんて端からないし、求められてもいない。書く方が〝こたつライター〟なら、読む方は「滑り台読者」。まさに暇つぶしで、さらっと読めれば、それでいい。 ところが、そんな法則があてはまらない読者が一部にいる。「アゲる」への賛同は、書き手にとって強力な援軍になる一方で、「サゲる」への過剰反応は取り返しのつかない炎上を招く。地雷を踏む、というやつだ。 真生は三年前、まだ駆け出し時代に、ただ一度だけ、【M】の署名入りで独自の意見を書いたことがあった。大ヒット漫画を原作にした新作舞台の主役が公開でオーディションされ、下馬評を覆して選ばれた素人同然の鈴木翔馬(当時17歳)が原作のファンから袋叩きにあって炎上した際、真生は演劇の知識なんてありもしないのに、翔馬を擁護し、将来の飛躍を予見したのだ。その後、翔馬が活躍し、2・5次元界の新星に一気に躍り出たことで、【M】の記事は「予言の書」として今なお、ファンたちの語り草になるほど。そこにはある秘密があったのだが、真生は半同棲中の恋人・春希に背中を押され、再び翔馬をアゲると決意し、【M】の名で活動を始める。 中盤、物語は2020年の2月からのコロナ禍へ突入し、大きなうねりを見せる。政府による自粛の呼びかけの下、翔馬が出演予定の舞台は延期、真生も書くネタがなくなり、休業同然。さらに二人は世間の荒波に翻弄されてゆく。読者の誰もが、マスクさえ手に入らず、息をひそめるしかなかったあの頃を、あの時の気分を、切実になぞり返すにちがいない。この仕掛けが決定的な鍵を握っている。 作家は自身、演劇関係者の一人として、当時の苦境を生き延び、舞台に「齧りついて」今があるのだと察する。そう、エンタメは必要ないのか、休業の補償は誰かしてくれるのか、という作中の翔馬の痛切な叫びは、作家の自問自答だったのではないか、と想像する。それを敢えて、批判する側の視点から描いてみせたのだ。 終盤、気分は、「正しさ」と言い換えられる。妖怪は超能力を使うから恐ろしいんじゃない。まさに〝鵺〟(ぬえ)、ころころと姿を変えつづけるから怖いのだ。 | ||||
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テーマに興味があり楽しみに読みましたが、序盤で黒幕に気付いてしまったのと、キャラクターたちの心の動き・言動に必然性がなく、突飛さの連続で話の筋に都合よく動かされるコマのように感じられてしまいました。ごめんなさい 芸能の現場を知る現役の脚本家の先生が書いた作品を読んでみたい方にはいいと思います。 | ||||
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