異邦の仔 バイトで行ったイラクで地獄を見た
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異邦の仔 バイトで行ったイラクで地獄を見たの総合評価:
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タイトルに書いた通り、怒涛のストーリー展開と読み手をぐいぐい引き込む語り口で、小説としての完成度も高く、久しぶりに一気読みした。私自身、現役時代の1984年に仕事で何回かバグダットに出張したことがあり、当時のバクダットの様子やイラクの風土、政治状況もある程度知っていることもあり、この小説で描かれている当時のイラクの状況がかなり正確に描かれていることに感心させらたが、あとがきで筆者が書かれている通り、この小説が「二十二歳のときに日雇いのアルバイトでイラクに行き、そこでイラン・イラク戦争に巻き込まれ、一緒に行った仲間二人が戦火の中で非業の死を遂げた」という筆者自身の原体験に基づいて書かれていることに更に驚かされると共に、「成る程」と納得した。もちろん、1980年当時のイラクのことを全く知らない世代の方でも問題なく読め、おすすめです。 | ||||
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私は普段小説を読まないのですが、これは新聞の書評を斜め読みしてノンフィクションだと勘違いして買ってしまいました。でも、読みだしたら一気に最後まで読み切ってしまいました。(ホント、小説読んだのは十年以上ぶりでした。) 構成もしっかりしているので頭に入りやすく途中中断してもまた元に戻りやすく、非常によくできた書き物だと思います。 逆に個人的に気になったのは、アラブや男性の描写の丁寧さの逆で女性がキレイに描けてないことでしょうか。 | ||||
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イスラムに興味があるなら、是非読んでもらいたい小説です。イラクの過酷さが理解できます。私もこんなに酷いとは思わなかったけど。日本に生まれて幸福だったと思います。 | ||||
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砂漠にうち捨てられた廃バスの写真にひかれて、店頭でページをパラパラめくってみた。作者のあとがきに書かれていた「伝えなければならないと思ったすべてのことを詰め込んだ渾身の一作」という言葉が決め手となって購入。 とにかく、すべての感覚が満たされるような圧倒的な読後感がある。 冒頭に衝撃的な事件が起こり、あっという間にぐいぐいと作品世界に引き込まれる。主人公「俺」とは全く関係ないと思われたその事件の真相は、やがて1980年のイラクでの「俺」のアルバイト体験に深く関わっていくことになる。二転三転する先の読めないストーリー展開は見事だ。 イランの描写場面では、砂漠の熱砂や土色に濁ったチグリス川の匂いまでもが、圧巻の迫力と臨場感をもって運ばれてくる。 平和構築、基本的人権の推進、人道支援等を含む開発途上国の開発のためと銘打ったODAの陰で、イラン・イラク戦争勃発時に何が起こっていたのか。3ヶ月で300万円という破格の報酬で雇用されたアルバイトの一青年が、イランの現場で体験した事実に基づいて描かれているというが、何よりも一青年の視点を通して伝わってくる真実の重みが、この作品を単なるサスペンスではなく、実に骨太な人間ドラマに仕上げている。 だが、それだけではない。事件の真相と犯人を巡って交錯する「俺」の現在と過去を縦軸に、親子・姉弟という人間関係を横軸として、謎解きの妙とともに家族の情愛をしみじみと感じさせてくれる。本当に、書かれるべくして書かれた作品だと思う。こういう一冊に出会えることこそ、読書の醍醐味である。 ぜひ、手にとって読んでみて欲しい。 | ||||
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読後の印象はまだ心に残っている。ぴたりと焦点が合っているとの印象だ。ぶれなく何かが見据えられている。1980年前後から始まり、イラクの工事現場を舞台の一つにして作品は展開される。メインの舞台は現代日本である。では日本社会のどこに合焦しているのか。1980年当時は国際金融フローの受け入れ先はまだ途上国であった。イラクに対して数百億円単位の円借款が毎年実施されていた。このような背景があり、イスラム革命を契機とするイ・イ戦争が勃発し、工事現場の近くでも空爆があった。大きく見ると、ここには石油資源の確保に動く大国や巨額の資金が流れるODA市場に集まる商社・建設企業と言った有象無象の世界がある。だがそのような世界の話ではない。戦乱に巻き込まれた臨時雇用の日本人青年の話である。単なるミステリー小説として読んで済ませるのはもったいない。なぜならこの作品はひき臼(ポランニー、1944年)の話でもあるからだ。巨大なひき臼にすり潰される個人はゴマの一粒にも等しい。すり潰された個人は跡形もなくなる。マスメディアが取り上げないと事件は無かったことになる、と言い換えても良い。そのようなひき臼が時として日常の生活に表れることが描かれている。何か鋭利なものに触れたような読後感も残った。小説では触れられることの少ない世界が示されていると思う。 | ||||
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