時間のないホテル



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    初公開日(参考)2017年03月
    分類

    長編小説

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    時間のないホテル (創元海外SF叢書)

    2017年03月21日 時間のないホテル (創元海外SF叢書)

    ホテル“ウェイ・イン”は快適だ。広大な空間と最新の設備をもち、完璧なサービスを提供する。ビジネスマンのぼくは、大規模見本市でやや後ろめたい仕事をこなしながら、客室と会場を行き来する充実した三日間を過ごすはずだった。赤毛の女から、このホテルにまつわる奇妙な秘密を囁かれるまでは…。本邦初紹介の鬼才が、巨大建築物に潜む“魔”をかつてない筆致で描き上げた最新作。(「BOOK」データベースより)




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    No.6:
    (3pt)

    面白かったといえば面白かったけど、なんか底が浅いな

    クリストファー・プリースト推薦、ということで買いました。まあ、そこは何となくわかる。
     舞台はホテル〈ウェイ・イン〉、世界中にあるチェーンホテル。主人公のニールは、大規模な展示会を視察し、そのレポートを契約した会社に届けるという仕事をしている。海外の展示会って、参加が有料だし、交通費も時間もかかるので、だれかがかわりに行ってくれると助かる、とか。まあそれだと、展示会を取材する会社にとっては迷惑なわけですが。
     で、展示会に行かなきゃいけないニールは、なぜか行けなくなってしまう。展示会参加のパスは無効になっており、シャトルバスに乗れず、歩いて行こうにも道はなく、タクシーが来たら、謎の女性と出会い、ナンパしているうちにタクシーはいなくなってしまう。この不条理さとこだわりのまぬけさが、バラードですか。
    まあ、展示会ビジネスの説明のあたりを読むと、ビジネス書みたいだし、何となく、IBMのカンファレンスでラスベガスに行ったときのことを思い出したけど、まあ、そうだな、と。
    後半は一転して、ホテルの秘密とそれをめぐる冒険というか。ホテルにはちょっとびっくりの秘密があり、意思があり、とりつかれた人間がいる、という。どんな秘密かは、書かないけれど。そして、このホテルを舞台に、さっきの謎の美女とともに、とりつかれた人間と戦う、という展開。このあたりが、異世界というかラブクラフトなのでしょうか。
     面白かったといえばまあ、面白かったです。でも、バラードというのは、底が浅いかもしれません。
    時間のないホテル (創元海外SF叢書)Amazon書評・レビュー:時間のないホテル (創元海外SF叢書)より
    4488014623
    No.5:
    (3pt)

    迷宮小説を期待したのですが、後半ホラー映画的でした

    最初の導入は、多忙で疲れたビジネスマンの面白くもない心象小説風で退屈で挫折しそうになりました。最初の50頁くらいまでで数日がかりでした。1/4あたりから、カフカ的不条理文学/バラード的シュールさが出てきてようやくスピーディに読めるようになりました。中間あたりで謎めいた状況が若干ネタバレしてきてしまい、それでもネタが少しづつ暴かれつつ展開する間は目が離せなくなり、3/4まで一気読みできました。このあたりの無限に続くホテルの迷宮感は悪くはありませんでした。しかし後半は、ありがちなアメリカンアクションホラーな展開となってしまい、映画『ターミネーター(初代)』のクライマックスの場面が思い浮かぶ程映像的な展開で、映画化を意識したような印象さえ受けました。文章自体はスピーディーで映像的なので、1/4を過ぎて以降は最後までするすると読めてしまいましたが、謎めいた展開が面白いと思って読めたのは1/4から3/4の間の、全体の半分くらいの部分でした。前半は、ヨーロッパ的テイスト、後半はアメリカテイスト、という感じです。作者もこの辺の事情はよく心得ているようで、主人公は米国出身ではあるものの、ロンドン在住(で米国出張)という設定です。

    不条理文学的SFや迷宮小説を期待して読むと、若干その雰囲気を味わえる部分もあるものの、基本アメリカンパルプ小説である、ということがわかってがっかりする人もいるかも知れないため、ニーズのミスマッチが起こらないように、上記留意点を記載してみました(『ハイライズ』+『シャイニング』というのは確かにそんな感じですがもう少し東欧的幻想小説風味を期待していましたのでそこが私の場合ミスマッチでした)。

    一方で、本作の特徴の一つは、巨大業界エキスポ/カンファレンスや、郊外型の巨大チェーンホテルの雰囲気がよく出ている、という点にもあるのではないかと思います。郊外型のホテルや、ホテル街と隣接する超近代的巨大コンベンションセンターで行われる業界エキスポに参加するビジネスマンの高揚感と疲労感が良く出てました。極度に機能化効率化されたエキスポとホテル運営、目ぼしい出展を日程内で全部回るために効率的に予定を組み、広大なホールの各所をもれなく廻って日程通り予定消化する体力と集中力、参加者が集中的に宿泊するホテルであるがゆえ、夜もレストランやバーで同宿の同業界人との情報交換や情報収集の機会を無駄にしないことで睡眠時間まで削られるせわしさ、イベント参加経験値の高いホテルやイベント会場オタクとなった訳知り顔の同業者との気ぜわしい会話、、、、こんな大変な思いをするくらいならイベント報告代行業者に頼んだ方が費用対効果的にも効率的、と考えるに至る多くのビジネスマンの心情がよく出ていて、このあたりは大変味わい深いものがありましたが、迫真性があり過ぎて疲れた記憶がよみがえって来てしまい、読んでいて気疲れしました。とはいえ、将来読み直すことがあるとしたら、共感できるこのあたりの業界エキスポあるあるのところなのではないかという気もしたりしてます。

    特に北米の、徒歩の移動を一切想定していない郊外型巨大コンベンションセンターとホテル区画の間を、無謀にも徒歩で往復するとどうなるのか。ここの描写は非常に迫力がありました。私もこれをやって酷い目にあったことがあります。恐らく著者かこの著作の関係者の方は類似の経験をしているのではないかと思われるほど迫真性がありました。

    ビジネス小説ではこうした話はありきたりなのかも知れませんが、私はあまりビジネス小説は読まないため、あるあるがいろいろ面白く読めた小説でした。気疲れしましたが。著者は建築・デザインのライター・編集者の経歴があるそうで、建築や内装のディティールの描写もホテルとカンファのリアルな雰囲気をうまく醸し出していました。

    というように、読後印象に残った部分は不条理小説とはまったく関係ないところだったりするのですが、本書で一番の収穫は、実は表紙の香港の益発大廈の写真でした。当初SF画だと思っていたところ、内扉に写真とあって驚き検索したところ、実在の場所で驚きました。今度香港に行ったときは見に行きたいと思います。
    時間のないホテル (創元海外SF叢書)Amazon書評・レビュー:時間のないホテル (創元海外SF叢書)より
    4488014623
    No.4:
    (5pt)

    ニューウェーブ調かと想いきや、実はホラー。

    コンベンションセンターに直結しているチェーン系ホテルに泊まった今ひとつ頭の回転が良くないイベント参加代理業の男の奇妙な体験。
    主人公の泊まったホテルは世界各地で見かける巨大なチェーン系のホテル。だがチェーン全てはホテルの奥の空間で結ばれた一つの建物だったのだ。そしてホテルは意思を持っており、ホテルと繋がる事の出来る人間はホテルの持つ力、時空を操る力などを自ら行使し、空間で一つに繋がるチェーン系ホテル内に居る限り不死身かつ超常的な力を発揮出来るのだ。その力を奮うホテルマンと主人公は対決する事に成る・・・。
    読み始めは主流文学に近い感じで、作者がSFプロパーの人でない事から最近良く見かける超現実的な要素を持った文学なのかな、と想っていたらとんでもない、最後は不条理ホラーに化けた?
    時間のないホテル (創元海外SF叢書)Amazon書評・レビュー:時間のないホテル (創元海外SF叢書)より
    4488014623
    No.3:
    (5pt)

    面白い

    評判の通り面白い内容でした。カフカ的な不条理感とキング的なホラー感が味わえると思います。映像化されるのかな。
    時間のないホテル (創元海外SF叢書)Amazon書評・レビュー:時間のないホテル (創元海外SF叢書)より
    4488014623
    No.2:
    (5pt)

    内なるホテル

    原タイトルは、THE WAY INN

    直訳すれば「ホテル・ウェイ・イン」でしょう。
    なぜ『時間のないホテル』と訳されたのか、不思議でした。

    「第三部」の標題の訳も、不思議でした。
    第三部 終わりなきホテル(原題はTHE INNER HOTEL)
    直訳すれば「内なるホテル」でしょう。
    「内なる」が、なぜ無限の夢幻の「終わりなき」という訳に変わったのか?

    本書を読み終わった後で、しばし考えてみました。

    本書では「時間」と「空間」の感覚が異常と感じられました。
    このホテルの219号室では、クロックラジオが壊れたため、時間が無くなっているのです。
    このホテルの部屋や廊下の空間も、時間が無いためか始まりも終りも無くなってしまい、
    ゆがんだまま直交する「ヒルバート空間」になっています。

    そして、エレベータの中は「合わせ鏡」になっていて無限の仮想空間が現れています。

    主人公の「ぼく」がエレベータの中であわててふり返ると、反対側の鏡に映っていたのは
    「ぼく」ではなく、無数の「ヒルバート」たちでした。
    「ヒルバート」とは、この不思議なホテルに棲みついた幽霊です。

    背中を見せていたヒルバートたちが、一斉にこちらを向き、凍りつくような笑顔で、
    「ぼく」をじっと見つめた(291頁)ときは、怖くて絶句しました。

    このホテルでは、表が裏で、裏が表の空間、内側が外側であり、外側が内側の空間なのです。
    外も内もない、閉じていながら開いているような、戸締りしようがない、門限の無いホテル
    のような空間なのです。出入り「自由」な空間。

    それなのにホテルから出られなくなっている主人公と「ディー」という彼女。

    この幽霊のようなヒルバートが、主人公「ぼく」に提供を申し出ているのは、
    「いつまでもつづく時間であり、終わりのない生命なのです。この内なるホテルでは、
    時間は過ぎていきません。止まっているも同然です。
    病気と老いに苦しめられることはなく、死ぬこともない」(298頁)

    なんと、この「内なるホテル」には、「止まっているも同然」ですが、
    時間はあることはある、存在する、ではありませんか。

    過ぎていかないので、止まっているも同然なだけの時間?

    そのせいか、この「内なるホテル」から聞こえてくる音楽は、1970年前後の
    ローリング・ストーンズの『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』(10頁)や
    『ブラウン・シュガー』(30頁)や『悪魔を憐れむ歌』(290頁)という
    古い昔の曲ばかりです。「四十歳以下の」若い著者が、赤ん坊の時に流行した曲です。

    この「219号室」の小説を読んでいて思い出しました。
    昔読んだ小説の中で、「ドルフィン・ホテル」の不思議な廊下と謎の406号室を
    懐かしく思い出しました。
    時間のないホテル (創元海外SF叢書)Amazon書評・レビュー:時間のないホテル (創元海外SF叢書)より
    4488014623



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