凍樹の森



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    初公開日(参考)1994年09月
    分類

    長編小説

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    凍樹の森 (徳間文庫)

    1998年01月31日 凍樹の森 (徳間文庫)

    日露戦争を戦い抜き郷里に戻った美川梗次郎は、マタギの間で長年神聖視されてきた、ミナシロと呼ばれる巨大なクマに遭遇する。美川は老マタギ佐七と協力し、見事ミナシロを仕留める。その後、軍隊時代の上官岩沼に誘われ、再び「大陸」に渡るが、ミナシロの一件で美川を逆恨みする佐七の孫庄蔵の追跡や、日本軍部らの謀略の手が迫る。今、酷寒の中国・ロシア国境地帯を舞台に、壮絶な逃飛行が開始された。 (「BOOK」データベースより)




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    凍樹の森の総合評価:7.00/10点レビュー 1件。-ランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    力作なのだが、意外にも残らない

    山岳小説、そしてSF小説を得意とする谷氏が書いた歴史小説。
    扱われる時代は日露戦争終了間もない頃。日本が軍事色を色濃く出していた頃の3人の元軍人らが満州、ロシアを股にかけて時代の荒波に揉まれていく姿を描く。

    雪山での熊の格闘から日本軍人がロシア討伐の予備工作としてロシアに潜入し、叛乱分子を煽動させようとするスパイ活動、極寒の中の逃亡劇に、狂気を湛えた男の追走劇、これらの要素を約600ページの本書にぎっしり詰め込んだ本書は、その内容についても仔細を極め、濃い味付けが成されている。
    しかし、坂東眞砂子氏の『山妣』を読んでいなかったら、冒頭に展開する美川とマタギの佐七による熊ミナシロの狩猟劇はかなり楽しめたものだろう。またマタギの佐七が狩猟中に美川に教えるマタギの流儀も『山妣』より詳しく、しかもかなり興味深い話ばかりだった。
    しかし、物語の熱量としては『山妣』の方が上。そしてプロローグで登場する日露戦争のワンシーンに登場する各登場人物が運命の糸に絡められるかの如く、彼の地満州で邂逅するのも面白いのだが、こういった人間関係の皮肉な繋がりでさえも業の深さを感じさせる坂東作品の方が印象強く残っており、足枷になった。

    とはいえ、これはかなりの力作であるのは間違いない。極寒の山中での狩り、列車襲撃シーン、逃亡劇などはこの作者の十八番で、その寒さを肌身に感じさせられるものがある。

    しかし、なぜか煮え切らない。

    それは恐らく、美川の宿敵と想定された庄蔵の役割があまり物語に寄与していないからだ。武藤を中心に語られる本書では、むしろ美川と庄蔵との因縁対決はエピソードの1つという地位にまで落ちてしまっている。
    その自己中心的で傲岸不遜、自己顕示欲の強い庄蔵というキャラクターを本作では十分に活かしきれていない。それは最後の決着のつけ方があまりに一方的に終わっている事からして明らかだし、作中時折挟まれる庄蔵の追跡行は笑劇の体すら漂わせている。
    恐らく作者は美川と庄蔵の対決よりも書いていくうちに武藤の話の方に興味が移ってしまったのではないだろうか。『遥かなり神々の座』で息詰まるほどの、身が凍えるほどの緊張感を湛えた追走劇を提供してくれた谷氏だけにちょっと興趣が削がれた思いがした。

    上にも述べているように、色々な趣向が凝らされた本書が力作である事を重ねて断言しよう。
    しかしなぜか意外にも残る物がないのだ。まあ、こんな時もあるのだろう、不思議な事だが。

    Tetchy
    WHOKS60S
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