(短編集)

背筋が冷たくなる話



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背筋が冷たくなる話 (集英社文庫)

2000年05月01日 背筋が冷たくなる話 (集英社文庫)

雪洞でビバークしていたら、天井にアイゼンが見えた。それをネタに怪談を始めたふたりの上に降ってきたものは?表題作をはじめ、ネパールの饐えた熱風から記憶の深奥の冷気まで。雪のまっ白な闇の孤独から、遠い過去に祖先が流した血の歴史まで。心を壊し、血を凍らせ、人を狂わせる短編小説を11編。文庫オリジナル作品集。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

背筋が冷たくなる話の総合評価:6.50/10点レビュー 2件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

こういう路線も行けるんだなぁ!

山岳冒険小説、SF小説の旗手、谷甲州が手がけたホラー短編集。山岳小説をモチーフにしたもの、SFをモチーフにしたものもあるが、この作者には珍しく、日常を舞台にしたものが多かった。

まず作者お得意の山岳やネパールを舞台にしたのが「背筋の冷たくなる話」と「猿神(ハヌマン)」。前者は雪山登山中に雪洞で一夜を過ごす事になった2人の男が怪異譚を語るうちにある物が現れてくる話で、後者はネパールの辺境の村を訪れた男が遭遇する奇妙な風習に男自身が狂気に囚われてしまう話。後者はネパールに伝わる猿神伝説も織り込まれて宗教を題材する作者ならではの短編。

その他はいわゆる純然たるホラー。妊娠や恋愛、または家庭や親族のしきたりなど家族をモチーフにしたものが多い。それらに土俗的な風習や呪いを絡ませてホラーに仕上げているのが目立つ。

特に「武子」は、「武子」と書いて「たけし」と読む名前を与えられた男の日常で困った事の話から、意外な方向へと進む構成は思いもよらない展開だった。

収録作の中では「鏡像」と「三人の小人と四番目の針」が個人的には評価が高い。
まず「鏡像」は恐らく誰もが子供の頃に抱いた鏡の向こうには鏡の世界があるといった原初体験を扱っているのが面白い。
「三人の小人と四番目の針」はよくもまあ、こういうことを考えたものだと感心した。時計の針をそれぞれ家族構成に当て嵌め、語る様は非常にしっくり来ていて面白かった。大人の夜の営みさえも時計の針の動きに擬えるのには笑ったが、そこから最後にぞくりと来るオチに持ってくるのがなかなか上手いと思った。

その他短編というよりはショートショートになる「おとぎ話」、タダ電話を掛ける男に降りかかる都市伝説のような出来事「制裁」―しかしこの中で堂々とNTTという実在の会社名を出しているのにびっくりしたが―が面白かった。

この前に読んだ井上氏の短編集『あくむ』がどこか歪に物語を閉じるのとは違い、谷氏の短編はどれもきちんと閉じられる。
しかしそれ以上に谷氏が山岳冒険小説やSF小説だけじゃなく、こんなのも書けるぞ!と高らかに唱え、証明した事が本短編集における収穫だろう。特に子供を主人公に書かせるとこんなに面白い物が出来るのかと驚いた。この路線の作品ももっと読みたいと思った次第だ。


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Tetchy
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No.1:
(3pt)

いろんな種類の恐怖を描いています

実は谷甲州氏の作品は初読です。山岳小説やSFを書いておられるということは漠然と知っていたのですが、ホラーも書いていらっしゃるとは知りませんでした。

本のタイトルにもなっている「背筋が冷たくなる話」は、いかにも氏らしい雪山が舞台の作品です。自分は、雪山をふもとから見上げたり、登山の関連番組を見たりするのは好きですが、山登りなどとてもできないというヘタレです。が、この作品はまるで自分が吹雪の山で遭難したような臨場感があり、また、恐怖の部分もありえない話ではなく、なかなかよかったです。次の「猿神」は一番気に入った話で、最初の作品とは逆に舞台となる低地ネパールの熱気がじっとりと感じられます。人里から遠く離れてさびれた村落の土着的な不気味さが迫ってきます。
他、「おとぎ話」は、昔、読んだフレデリック・ブラウンの人形の家の話を思い出しました。世界の外に何者かがいて、自分たちはそれに見下ろされて繰られているだけなのだという感覚。しかも、その者の気まぐれで運命が決まってしまうという理不尽さ。それから、最後の「雨夜子」は闇にひそんでいる魔の気味悪さが際立っていました。

あとは結構神経症的ともいえるような話が多く、よくできているのですが後味がいいとは言えず、精神状態があまりよくない時に読むと落ち込んでしまうかもしれません。けれど、それだけ作品が真に迫っているということなのだと思います。ホラー小説全般の好きな方にはおすすめです。
背筋が冷たくなる話 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:背筋が冷たくなる話 (集英社文庫)より
4087471977



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