(短編集)
失踪計画
- 犯人当て (60)
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1998年、角川文庫より刊行の西村氏の短編7話を収録したもの。 西村氏の作風が初期の頃から多彩であったのは周知のことであるが、 この短篇集もヴァラエティに富んだ内容となっている。 タイトル作「失踪計画」は、職場の金庫の金を横領し、その罪を同僚の男にかぶせてしまおうという、 大胆な計画を練る主人公の視点から描かれる。 いわゆる、倒叙推理ものと言える。 角川文庫の裏表紙の紹介文には、「本格倒叙推理」と書かれているのだが、これは言葉が矛盾している。 犯人探しに重きが置かれる「本格推理」と、犯人の側からいかに犯罪が暴かれるかを描く「倒叙推理」はそもそも真逆に位置しているわけで、 「本格倒叙推理」などというジャンルは存在しないはずだ。 それはさておき、犯人の見落としがどこにあったのかはこの作品の焦点であるが、 偶然の要素もありつつなかなかに考え抜かれている。 ②「くたばれ草加次郎」は、1962年頃に実在した爆弾魔を利用した金庫破りを描く、これも倒叙推理。 オチがブラックで、面白い。 ③「裏切りの果て」は、出世を望むあまりに同僚を罠にかけるという、裏切り行為に走る主人公の顛末を描くサスペンス。 主人公の設定が「失踪計画」とかなり似通っているので既視感を感じてしまい、 オチはやっぱそうなるかという印象もある。 ④「うらなり出世譚」は、戦前から戦後を舞台に生まれつき病弱で気弱に育った主人公=多賀根晋吉が、 不運に見える出来事を流れに身を任せることで幸運に変えていくというサクセス・ストーリー。 解説の山前譲氏が「西村作品のなかでもとくに異色作」と断じているが、 西村氏の変幻自在な作風と豊かな才能の一端を表す一編と言えよう。 昔話「わらしべ長者」などに通じる爽快感がある。 ⑤「夜にうごめく」は、恐らく乱歩の長編『闇に蠢く』からタイトルを拝借したものだろう。 終戦直後、国有地に勝手に建てられたバラックの集まり、通称「どぶ鼠横丁」に主人公=青木が足を踏み入れる。 そこで青木が目にしたのは、奇妙でいて怖ろしい住人たちの生態であった。 これはサスペンスというよりも、ホラー=恐怖譚に近しいものがある。 もし、角川ホラー文庫やホラー・アンソロジーに西村京太郎を取り上げるならば、間違いなく収録されるであろう作品。 ⑥「第六太平丸の殺人」は、漁船の中に殺人犯が紛れ込んでしまい、案の定殺人が起きてしまうという、 いわゆるクローズド・サークルものと言っていい。 読者への挑戦こそ挿入されていないが、王道の犯人当てミステリーとなっている。 論理的に犯人を推理できるかどうかは、読者の推理力あるいは読書歴が試されるものだろう。 ⑦「死刑囚」は、刑事弁護士・田中の妻の不貞への疑惑と死刑囚・荒井の妻の貞淑ぶりが最初は対比的に描かれる。 田中がどこまで計算をしたのかは明らかにされないまま、望み通りの結末を得ることになるのだが、 後味は非常に悪い。 男女の愛とはもろくはかないもので、常に確認する必要があるのだという教訓を秘めている。 作品の紹介は以上となる。 昭和40年(1965)頃の作品が多く、十津川警部が登場する前の西村氏を知る絶好の短篇集。 | ||||
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短編7話 標題(収蔵単行本名) 失踪計画(誘拐の季節) くたばれ草加次郎(夜の狙撃) 裏切りの果て(三年目の真実) うらなり出世譚(夜の狙撃) 夜にうごめく 第六太平丸の殺人 死刑囚(危険な遊び) 「夜にうごめく」は,都市開発の狭間での事件。 「第六太平丸の殺人」は,遠洋漁業の船での話し。シャーロックホームズか,ポアロでも読んでいるかのようだった。最後の回答部分が面白い。 「くたばれ草加次郎」は黒笑(black joke)かも。 | ||||
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