ディオダティ館の夜
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先日、エル・ファニング主演「メアリーの総て」という映画を見ました。あの有名な「フランケンシュタイン」を書いたメアリー・シェリーの半生を描いたものです。この作品の中では、ある有名なエピソードが描かれています。1816年のある夜、スイス、レマン湖畔にある詩人バイロンの別荘で、バイロン、その主治医ポリドリ、バイロンの愛人クレア、その異母姉メアリーと、当時は駆け落ちの相手で後に結婚した詩人シェリーの5人が滞在していました。長雨が続く暗く陰鬱な日々に、それぞれが怖い話を考えてみんなで聞かせあおうということになり、そこから「フランシュタイン」と、怪奇小説史上、公には最初の吸血鬼小説と言われているポリドリ作「吸血鬼」が生まれたのは、ホラー小説が好きな人たちの間では有名です。そしてその別荘の名前が、ディオダティ荘というのです。この名前が出てきたら、ホラー小説ファンとしては読まないわけにはいきません(笑)。 この作品が書かれた1992年といえば、まだ華やかなバブル時代の末期あたり。このディオダティ荘が日本企業シェリー・コーポレーションの手で、スイスから日本の美晴沢という高原に移築されたという設定で、そこが舞台になっています。 井上氏の最初の短編集「異形博覧会」が出版されたのが1994年、あの「異形コレクション」シリーズが始まったのが1997年なので、それ以前の初期の長編作品です。作者ご自身のあとがきによると、当時は「ホラーは売れない」と言われていて、自分が本当に書きたい怪奇・幻想・異形もの以外に、ミステリやサスペンスを要求され、仕方なく伝奇小説やファンタジーにホラー要素をぶちこんで書いていたということ。こういうジャンルはなぜか”ヤングアダルト”ものと呼ばれていたそうです。ご本人曰く”ミステリ、ホラー、アダルト、ジュブナイル”のどれともつかない”チープでキッチュでポップ”な”珍品”ということ。読んでみて、確かにその通りでした。 個人的には正直いまひとつで、やはりごた混ぜの感は否めずです。物語の始まりで、美しいヒロインと怪しくも洗練された大学教授が登場し、ヒロインが交通事故を起こして時代に取り残されたような精神病院に閉じ込められる、記憶喪失になったヒロインは、不安なままに教授と共に霧深い湖を渡って、ディオダティ荘につれこまれ・・・というあたりまでは、ヨーロッパのゴシック小説を思わせる妖しくロマン色強い雰囲気でうっとりしました。不気味な自動人形がいっぱい収められている部屋の恐怖感もよかったです。 しかしその後の展開が・・・。なんだかチープなファンタジー・アクション映画みたいになってしまいまして(苦笑)まあこのあたりはスピーディでいいという方もいらっしゃると思うので、個人の好みだと思います。 舞台として創造された美晴沢は、他にも「竹馬男の犯罪」や「魔法みたいにキャンディナイト」(!とても現在から見て井上氏作品とは思えないタイトルです)、「信長の野望・妖魔編」などにも使われているそうです。 荒削りではありますが、井上雅彦氏ファンにとっては、初期の作品として興味深いと思います。 | ||||
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