チベットの薔薇
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冒険小説なんだろうなあ、と思って読み始めたら、独特な文体で語る作家で、いわゆる普通の「エンタテイメント」の文章と、すこし違っていました。でも「純文学」の文章とも、なんだか違うような感じです。 解説には、「どこか関節のはずれたような作風」と表現されていて、そういわれると確かにそんな感じがします。(文章自体は変じゃないのですが、説明をわざと少しずつ省いているような、印象があります。) 「物欲に弱い主人公が、自分の身の回りにしか関心のないままに、事件にまきこまれ、陰謀の全体像はついに分からないまま、颯爽とは言いがたい不恰好な活躍で、窮地を脱する」という形にすることで、「定型をはずしている」とも書かれています。(確かに、中国のチベット侵攻にまきこまれてるんだろうなあ、ということは漠然とわかるのですが、)「当事者にはそんな全体のことなんてわかんないよとでも言いたげな様子があります。」(小森 収 解説文より) 「全体を通じているシニカルなユーモア」「異文化の衝突が起こす混乱」「卑俗で即物的な、ディテイルの描写の重要視」「西欧人の目から見る都合のいいエキゾチズム、を回避するための、さまざまな工夫」。 解説の、こうした言葉をあわせていくと、「やっぱり一筋縄ではいかない小説なのだ」、とおぼろげに分かってきます。 でも、「チベット登山(あるいは下山)」のくだりとか、自然の猛威や外敵の恐ろしさがひりひりと伝わって、作品につねにユーモアはあるのですが、描かれている「窮地」は、物凄い、と私は感じました。 解説者はこの作家のことを、「大ぼら吹きデヴィッドスン」と、愛情をこめて呼んでいますが、確かにホラ話を聞かされてるような安心感もあり、けれど同時に同じだけリアルさもあって、面白いのですが、私の読解力では、正直かなり読むのに苦労しました。 終盤のクライマックスのところまでたどりついたときに、ふいに突然「それまでの読書の苦労がむくわれた」と感じました。 この本の中身を忘れてしまっても、そのクライマックスシーンだけは、たぶん忘れないと思います。 | ||||
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数少ない既読作品からだけの判断ですが、ライオネル・デヴィッドスンは好きな作家です。 ハッタリもケレン味もたっぷりのロマンあふれる冒険小説、というと20世紀よりむしろ19世紀後半の作品にふさわしい冠のようですが、そこはさすがにもっと現実味があります。むしろ、今でも我々が持っているアジア深奥地域へのエキゾチックな憧憬をかき立ててくれ、歴史に対するペダンチックな興味も満足させてくれるような小説は現代において稀少で価値が高いのではないでしょうか。 ハリウッド的な大雑把で教条的なお約束の冒険じゃなくて、もっと湿度と陰影のあるワクワク感をほしい方にお薦めです。個人的にはもっと好きな作品もあるので、絶版の作品も再版してほしいと思います。 | ||||
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この名作の原作は 1962年に出た.日本語になるのに半世紀近くかかったことになる.まず著者自身が出版社の編集者として現れる.次にこの物語の主人公の親友と称する老人が現れる.この老人が昔一回だけ詳しく話を聞いてそれをそのまま書き移したと言うノートの内容を何とか本に出来ないか,と著者達が悩む.結局このノートの内容を著者がなぞってみたのがこの不思議な物語なのだ.このような次第で,詳しくはあるがいつも他人事のような,漂白されたような調子で決して熱っぽくならない.それでいて行方不明の弟を尋ねてチベットに密入国し,人民解放軍の侵攻に際して逃亡を企てて遂に力尽き,右腕を失って London に帰って来るまでの波乱万丈が語られる.なにか影絵のようで変な感じだが,そのために却って読者の空想力が刺激される仕掛けになっているように思われる. | ||||
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ほのかに漂うユーモアと、読者をはぐらかすような語り口に満ちた作品です。 失踪した弟の行方を捜すため、中国侵攻前夜のチベットに侵入する男の物語ですが、危険に満ちたスリルとアクション満点の物語を期待すると、肩透かしをくらいます。 密入国もベルリンの壁を越えるのとは違って、いたってのんびりと、自転車をこいでの国境越えです。 つまらないかというと決してそんなことは無く、微妙にはぐらかされた文章から、語られない事実に想像を巡らせつつ楽しんで読むことが出来ました。 ありきたりのスリラーに飽きた人にお勧めです。 | ||||
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