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伊木都木 さんのレビュー一覧
伊木都木さんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.50pt |
レビュー数6件
全6件 1~6 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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門井さんを初めて知ったのは『天才たちの値段』ででした。しっかりとした美術知識を盛り込み、ミステリーに盛り込んだ作品におぉ良い本読んだなぁ~とうっとりした気持ちはまだそんなに昔の事ではありません。その後同シリーズで天才までの距離を読み、違うシリーズですが同じ美術を扱う読み物だと思いワクワクしながらこの本を読みました。
警視庁でたった二人きりの部署美術犯罪捜査班。熱血新米刑事の三田村と美人上司岸のコンビ。相棒以来二人だけの部署って設定増えましたね。ただ読んだかぎりこの二人がお荷物で得体の知れない部署に追いやられたって設定はなさそうです。 三田村は美術知識からっきし。モナリザすらどっかで見た気がするけど名前が思い出せないとか言うレベルです。だったら 何で美術関連の捜査班に回されたんだ…と。新設する部署だから最初は様子見で少数精鋭、ってなら分かるんですよ。でも組織の中で疎まれた邪魔者を追いやる部署でもない、かといって美術に関連する犯罪に精通した者を送るわけでもない、と と意味が分かりません。 いえ、嘘です。分かります。これは完璧に作者の都合なんですね。生徒役の三田村を出して、上司の岸に美術のレクチャーをさせる。これによって読者にも門外漢からすればちんぷんかんぷんな美術の雑学を無理なく読ませる事ができるわけです。あと美人で博識の女性と、熱血男子の取り合わせはお約束ですものね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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民俗学とミステリーの融合は好物なので読んでみました。
読了後の感想としてはこれに民俗学、要ったか?というものです。 そのくらい民俗学要素は薄味です。たぶん民俗学要素を抜かしてもこの話は書けるだろうな、といった印象です。 作家伊勢がとある雑誌社から依頼された原稿を書くに当たって取材を進めるうちに事件に巻き込まれていく、というのが ストーリーの流れです。 正直に言って最初の100pくらいまではとても退屈です。死体が出てくるまで一応民俗学的興味を惹こうとしてか浦島太郎だ羽衣伝説だといった事を調べて作家と編集者が旅をしながら蘊蓄を語るのですが何を引用したのか知りませんがものすごい退屈です。北森鴻さんや高橋克彦さん的なのを期待していると多分本を投げつけたくなるでしょう。 しかし死体が出てくれば別です。流石は大作家松本さんです。一気に話が面白くなります。この話では民俗学的な謎よりもとある「数字」、これがとても重要な関わりを持ちます。 ある「数字」の条件に合う場所で次々に起こる不可解な出来事、それには一体どんな意図が働いているのか誰が黒幕なのか…。 黒幕自体は登場人物が少ないので消去法ですぐに見当がつきます。 ただよくまぁそこまでこじつけて調べたものだ…と思います。 この「数字」ありきで地図を探ったのかそれとも元々松本先生は時刻表を使ったトリックも結構書かれるからその過程で偶然気づいて面白いぞ、と思ってそれで書いたのか…どっちでしょうね? この作品の中に計算狂とも言うべきとにかく何でも数えてなんでも計算しなければ気が済まない、という人物が出てきますが 松本先生自身もこのような性質を持っていたのかな、とふと思ってしまいます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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何気なく買った「石の繭」という作品がこの著者を知った一作目でした。
その時は気軽に読めるし登場人物それぞれ嫌味がなくまぁあまり捻ってはないけど面白いな、と思ったので他の著作も追っていきました。今回初めて発売日を待って新作を買う形になりましたが……う~ん。 何かだれたな~というのが読後第一印象でした。 取り敢えずあらすじにしっかりと書かれてる「十一係が挑む、最も残酷で哀しい事件の真相とは?」という煽りには期待しない方が良いです。もう何十回となく使い古された陳腐な真相ですね。 この捜査一課十一係シリーズは基本まず事件が起こる→主人公含む警察が捜査に乗り出す→犯人の独白が入る→容疑者が浮かび上がる→犯人の独白→逮捕事件解決、の流れで話が進み完結します。今の所前4冊同じ展開でした。 まぁそういう手法を作者が意識してこのシリーズでは使ってるのかな、と思うのですが正直何回もされると飽きるんですよね。犯人はこんな辛い目にあって理不尽な目にあって復讐をするんですよ、的な言い訳をされているようで。 今回の話はこの犯人の独白が最終局面までありませんでした。今回約280pの分量の本の中で220pになっても犯人の独白が起こらない。おぉっ!と思いましたね。そうですよね、毎回毎回同じような手法取りませんよね、と少なくなっていくページを捲りながら内心思いましたよ。ところがその数ページ後から怒涛の犯人言い訳タイムです。 「かれこれ昔、こんなひどい事件がありました、そこで俺の大事な人がこんな酷い目に合いました。俺が殺した奴はこんな悪人でした、だから復讐したんだよ!!!!!!」ってやつです。同じ展開ばかりで胸やけがしますね。 さてあんまり悪口ばっかり言っててもあれなので良い点もあげて置きます。 相変わらず読みやすい文体だな、と思います。主人公塔子と鷹野のコンビももどかしいながらもお互い慣れてきたのか気安い雰囲気も出てきてしっくりきます。ただだんだんこの二人以外の十一係の存在が薄くなって来ていますね。基本捜査は二人組で行い当然役割分担をするので主人公組とその他の視点を全部描写してはストーリーがばらけてしまうので仕方がないのでしょうが…。作者さんは徳重さんがキャラとしてはお好きなのか塔子=鷹野>徳重>>>その他、になってきている気がします。徳重さんの人情味溢れ落ち着いた思いやりのあるキャラは私的には好きなのでまぁ良いのですがせっかく前作や前々作では尾流川さんや手代木さんにもスポットを当てかけていたのになげっちゃりでは勿体ないなーと思います。 まぁシリーズもしっかり続いているようですしこのままいけばそのうちドラマ化とかされそうだなと思います。 |
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いかに被害者が猟奇的に殺されるか、というのがあります。この小説は裏表紙に書かれているあらすじを二行読んで購入を即決いたしました。残念ながらここにそのあらすじが書かれていないのでそのまま引用させて貰おうと思います。
『切断された首を腹部に埋め込まれた女性の全裸死体が発見された。 以下略』 どうでしょう?簡潔ですがなかなかグッとくる一文だと思うのですが。 もちろん死体はこれ一つではなく二つ三つと続きます。そのどれもなかなか素晴らしい装飾が施されていて読み進めていくうちにゾクゾクした感覚が味わえます。 そして私が小説を買う時に基準の一つに入っている表紙絵。これも申し分ありません。本の内容、題名に相応しいおどろおどろしい絵柄が綺麗です。 この二つだけでも私は躊躇なく本を手にレジに向かいました。 さてこの小説の登場人物は警察側の人間として深町警部補、探偵役として団精二(だんせいじ、と読みます。個人的にこのようなしょうもない名前付けのセンスは大好きです。)がこの二人が主に出てきます。 深町警部補はとても良識的というか、庶民的というかちょっと中年の悲哀を抱えているところというかとても好感、親近感が持てます。監察医との会話はテンポが良く読んでて楽しいです。 問題は探偵役の団精二です。彼がこの小説内では一番の強烈な個性を放っています。どのくらい個性的かというと彼は以前アメリカで恋人を殺した容疑で警察に捕まっているのですが、警察が殺害現場に踏み込んだ時彼は恋人の死体の身だしなみを整えている最中でした。これだけを読むと恋人がたとえ死後とはいえども他者に恥ずかしい格好(全裸で殺されていたので)を晒されるのは忍びない、と考えた結果かな、とも読み取れるのですがその手に握られているのは彼が恋人に贈った『どぎついデザインの下着』と言うのでは一気に台無しになるのはお分かりかと思います。 主人公二人の性格はしっかりと特徴付けられているのですがこの作者さんの文章はとても淡々としています。なのでどんなに猟奇的な死体でも、団のあまり品性よろしくない行動や言葉もあまり嫌悪感なく読めるのでおすすめです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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最適です。文章がとても読みやすいし主人公周りの人物に胸糞悪くなるほど嫌な人がいません。
主人公の塔子は捜査一課の刑事。男社会の中でまぁさぞかし理不尽な思いをしているのでは、と思いきやむしろ守られて大切にされてる。ちょっとだけ所轄の巡査から嫌味を言われてもすぐに周囲からフォローを入れて貰える。現実は違うんだろうな~と底意地悪く考えてしまいますがまぁ小説の世界でまで嫌~な気持ちになるつもりはないのでこれでいいのでしょう。 後どうでも良い事かもしれませんが章ごとに(全四章です)前後1pずつ白紙ページを差し込むのは(三章だけは後ろに1p)気に入りません。そこまでして場面展開のある章区切りだとは思えませんしただでさえ文間の余白が大きいのに…と思ってしまいす。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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