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伊木都木 さんのレビュー一覧

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レビュー数1

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No.1: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

私が推理小説を買う時の基準の一つに

いかに被害者が猟奇的に殺されるか、というのがあります。この小説は裏表紙に書かれているあらすじを二行読んで購入を即決いたしました。残念ながらここにそのあらすじが書かれていないのでそのまま引用させて貰おうと思います。
『切断された首を腹部に埋め込まれた女性の全裸死体が発見された。 以下略』
どうでしょう?簡潔ですがなかなかグッとくる一文だと思うのですが。
もちろん死体はこれ一つではなく二つ三つと続きます。そのどれもなかなか素晴らしい装飾が施されていて読み進めていくうちにゾクゾクした感覚が味わえます。
そして私が小説を買う時に基準の一つに入っている表紙絵。これも申し分ありません。本の内容、題名に相応しいおどろおどろしい絵柄が綺麗です。
この二つだけでも私は躊躇なく本を手にレジに向かいました。

さてこの小説の登場人物は警察側の人間として深町警部補、探偵役として団精二(だんせいじ、と読みます。個人的にこのようなしょうもない名前付けのセンスは大好きです。)がこの二人が主に出てきます。
深町警部補はとても良識的というか、庶民的というかちょっと中年の悲哀を抱えているところというかとても好感、親近感が持てます。監察医との会話はテンポが良く読んでて楽しいです。
問題は探偵役の団精二です。彼がこの小説内では一番の強烈な個性を放っています。どのくらい個性的かというと彼は以前アメリカで恋人を殺した容疑で警察に捕まっているのですが、警察が殺害現場に踏み込んだ時彼は恋人の死体の身だしなみを整えている最中でした。これだけを読むと恋人がたとえ死後とはいえども他者に恥ずかしい格好(全裸で殺されていたので)を晒されるのは忍びない、と考えた結果かな、とも読み取れるのですがその手に握られているのは彼が恋人に贈った『どぎついデザインの下着』と言うのでは一気に台無しになるのはお分かりかと思います。

主人公二人の性格はしっかりと特徴付けられているのですがこの作者さんの文章はとても淡々としています。なのでどんなに猟奇的な死体でも、団のあまり品性よろしくない行動や言葉もあまり嫌悪感なく読めるのでおすすめです。


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