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伊木都木 さんのレビュー一覧

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レビュー数2

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No.2:
(5pt)

Dの複合の感想

民俗学とミステリーの融合は好物なので読んでみました。
読了後の感想としてはこれに民俗学、要ったか?というものです。
そのくらい民俗学要素は薄味です。たぶん民俗学要素を抜かしてもこの話は書けるだろうな、といった印象です。
作家伊勢がとある雑誌社から依頼された原稿を書くに当たって取材を進めるうちに事件に巻き込まれていく、というのが
ストーリーの流れです。
正直に言って最初の100pくらいまではとても退屈です。死体が出てくるまで一応民俗学的興味を惹こうとしてか浦島太郎だ羽衣伝説だといった事を調べて作家と編集者が旅をしながら蘊蓄を語るのですが何を引用したのか知りませんがものすごい退屈です。北森鴻さんや高橋克彦さん的なのを期待していると多分本を投げつけたくなるでしょう。
しかし死体が出てくれば別です。流石は大作家松本さんです。一気に話が面白くなります。この話では民俗学的な謎よりもとある「数字」、これがとても重要な関わりを持ちます。
ある「数字」の条件に合う場所で次々に起こる不可解な出来事、それには一体どんな意図が働いているのか誰が黒幕なのか…。
黒幕自体は登場人物が少ないので消去法ですぐに見当がつきます。
ただよくまぁそこまでこじつけて調べたものだ…と思います。
この「数字」ありきで地図を探ったのかそれとも元々松本先生は時刻表を使ったトリックも結構書かれるからその過程で偶然気づいて面白いぞ、と思ってそれで書いたのか…どっちでしょうね?
この作品の中に計算狂とも言うべきとにかく何でも数えてなんでも計算しなければ気が済まない、という人物が出てきますが
松本先生自身もこのような性質を持っていたのかな、とふと思ってしまいます。



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Dの複合 (松本清張小説セレクション)
松本清張Dの複合 についてのレビュー
No.1: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

軽く読むには

最適です。文章がとても読みやすいし主人公周りの人物に胸糞悪くなるほど嫌な人がいません。
主人公の塔子は捜査一課の刑事。男社会の中でまぁさぞかし理不尽な思いをしているのでは、と思いきやむしろ守られて大切にされてる。ちょっとだけ所轄の巡査から嫌味を言われてもすぐに周囲からフォローを入れて貰える。現実は違うんだろうな~と底意地悪く考えてしまいますがまぁ小説の世界でまで嫌~な気持ちになるつもりはないのでこれでいいのでしょう。
後どうでも良い事かもしれませんが章ごとに(全四章です)前後1pずつ白紙ページを差し込むのは(三章だけは後ろに1p)気に入りません。そこまでして場面展開のある章区切りだとは思えませんしただでさえ文間の余白が大きいのに…と思ってしまいす。


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