■スポンサードリンク
トラ さんのレビュー一覧
トラさんのページへレビュー数47件
全47件 41~47 3/3ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
【ネタバレかも!?】
(4件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
文庫書き下ろしと言うことです。
作家名を知らずに読めば、石持作品とはわからない内容でした。 舞台が、鳥羽湾に浮かぶ島・・・と言うことなので、クローズドサークルなのかとも思いましたが、そんな感じじゃありませんでした。 作者曰く、 「これまではわりと毛色の変わったものを書く作家として認識されていたと思うので、今後はベタなものも書いていきたいですね。ベタでもちゃんと水準のものを書けると認識されたい」と言うことです。 たしかに、舞台設定などはあまり特徴が無く、良くある話といった感じの内容でしたが、それでも、探偵役の人物が、ある人物のたった一言の発言から、疑いの目を向け、犯人を指摘していくところは、作者のこれまでのいくつかの作品をふと思い出させるものでした。 読み始めても、なかなか大きな事件が起きず、ほぼ半分のあたりで初めて殺人事件が起きますが、話の展開も面白く、途中で退屈もしないで一気読みしてしまいました。 ただ、犯人が殺人を犯した時の心理状況はよくわからなかったし、犯人を指摘した後の、他のメンバーの対応にも疑問が残りました。 今回は、あまり特徴の無い人物が、探偵役として登場してきましたが、他殺死体になれているのか、殺人現場に出くわしても、冷静に適切な対処が出来るのはどうしてなのかと言うことなど、全く書かれていませんでした。正体不明の人物です。 この人物を探偵役として、この先、シリーズ化され話が続いていく中で、いろいろ明らかにされて行くのでしょうか・・・? ところで、新見某という名で登場する人物の名前は、「新見久高」なのでしょうね? |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
宋の時代の話で、巡按御史・趙希舜(ちょうきしゅん)を主人公にした連作短編ミステリです。
「巡按御史」とは、皇帝直属の監察官のことで、身分を隠して任地に赴き、地方官吏の不正の有無を吟味するのが役目ということですが、不正を発見すると皇帝から直筆のお墨付きを示して地方官吏を断罪する・・・と言うところは、本の紹介にあるように、中国版「水戸黄門」と言ったところでしょうが、内容は全く違いました。 中国版「水戸黄門」というキャッチコピーを見て、私は購入を一時ためらいましたが、このコピーが読者の購入意欲をなくしているのかも知れません(笑) 登場するのは、巡按御史・趙希舜に加えて、従者に傅伯淵(ふはくえん)、護衛役に賈由育(かゆいく)の三名ですが、途中で、元軽業師の茅燕児(ぼうえんじ)と言う女性が加わってきます。 巡按御史は趙希舜なのですが、小柄で童顔(なので、貫禄が無い)のために、彼の代理として傅伯淵を巡按御史として表に出すという所はなかなか面白いです。 毎回の話にちょっとしたミステリのあじわいがあるので、面白く読めましたが、登場人物それぞれに個性があるし、彼らの経歴が、各話にまたがって少しずつ紹介されていくという書き方も良いですね 各話を追うごとに、彼らの生い立ちや出会いの秘密(?)などが少しずつわかってくると言うところも、興味を引くところです。 とくに、趙希舜と傅伯淵には、どんな過去が二人の間にあったのか、気になります。 続編を読んでいくと、そういったことが徐々に解明されるのでしょう。 ただ、名前や地名に、難しい漢字が登場してくるので困ってしまいました。最初にはフリガナが振ってありますが、二度目からは当たり前ですがフリガナはありません。そのたびにフリガナがつけられて居るところ戻って確認という作業がちょっと面倒くさかったです。 話としては、表題作の「十八面の骰子(さいころ)」と「黒竹筒(こくちくとう)の割符」が気に入って居ます。 余談ですが、正多面体には正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の五種類しかないのに、「十八面のサイコロ」ってどうなっているんでしょうね・・・? 普通のサイコロは、正六面体なんですが、十八面のサイコロって表面が正多角形じゃ無いのかも知れません。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
本人の知らない間に、いつも間にか事件やドタバタ劇に巻き込まれてしまうという、いわゆる「巻き込まれ型」のミステリです。
こういった話に登場する主人公は、主体性がなく、誰かにひきずられてしまって、いろんな問題に足を突っ込んでしまい、いつの間にか抜けなくなってしまう・・・といったパターンが多いので、何かすっきりしないことがよくあります。 読んでいても、つまらなくは無いし、それなりにページは進みのですが、登場人物に共感できない話って、イマイチ面白くないですね。 ちょっと自分を見ているような気がしないでもないので、その辺も気に入りません(笑) でも、他の登場人物が、そろいもそろってユニークな人ばかりが勢揃いしています。 ちょっと冷たくって、知らん顔をしているショップのオーナーが、本当は管理人であった主人公の伯母と話が通じていて、陰で支えてくれていたり、親切そうで、良い人のような顔をして声をかけてくれる人が、一皮むくと実は自己中な人物だったりと、ちょっと現実でもこういうタイプの人間が居るような気がして、その辺はなかなか面白く読みました。 最後の二話あたりで、この『夢玄館』に、本腰を入れて関わっていこうとする主人公の姿勢が見えてきた頃から、話は面白くなってきましたし、共感するところも出てきました。 でも、夢を追いかけて・・・というのは、なかなか簡単な事じゃ無いですが、退院してきた伯母さんが抱いているような密かな夢(何かは秘密)程度なら、私にも持てそうです(笑) |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
作者(三津田信三であろうと思われる)が語り手となっている「序章」と「終章」の間に、彼の知り合いで、利倉成留(とくら しげる)が語った話をまとめた「覗き屋敷の怪」と、民族研究家の四十澤想一(あいざわ そういち)が残したノートに書かれてあった、彼が学生時代に体験した話「終い屋敷の凶」が挟まれています。
時系列で行くと、「終い屋敷の凶」が昭和初期の話で、「覗き屋敷の怪」は昭和の終わりごろと言うことなので、順序は逆になっています。 「覗き屋敷の怪」は、四人の学生がリゾート地でのアルバイト先で、管理人から禁止されている事柄を破ったために、奇怪な出来事に遭遇するというホラー小説になっています。 何の解答もなく、おそらく「のぞきめ」によると思われる不可解な現象だけが書かれています。 ところで、作中に奈良の杏羅町の「拝み屋」で、五十歳前後だというの女性が登場しますが、若い頃は美人であったらしくって、驚くほど口が悪い・・・と言うことから、「死相学探偵」シリーズに登場する弦矢俊一郎の祖母の事なんでしょうね。 全体のほぼ3分の2ほどが、「終い屋敷の凶」になっています。 四十澤の友人で、民俗学調査の途中に亡くなった学生・鞘落(さやおとし)惣一の故郷に、弔問に行った際に体験した事柄が綴られたノートという内容です。 村八分状態にされた鞘落家の、過去の忌まわしい伝承が背景にあり、横溝正史のミステリを連想させますが、探偵も犯人も特定されないまま、大量殺人が起こり、話が終わります。 「終章」では、「終い屋敷の凶」に書かれていた、一部の不可解な怪奇現象を除き、腑に落ちない点を八つに分けて、それなりの説明がつけられて居るところは、刀城言耶シリーズのような展開でした。「のぞきめ」についても、それなりの解答がされているようです。 でも、そこでもう一度昭和の終わりの話・「覗き屋敷の怪」に戻ってみると、いろいろ想像をたくましくして、いろんなパターンの結論が出そうなのですが・・・。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
4編の連作短編ミステリです。
本(特にミステリ)を読むのが大好きな女子高校生が登場してくる・・・と言うだけで、読む前からわくわくしてしまいます(笑)。しかも、相手役となる男子高校生が、ジャンク映画フリークという設定なので、なおさらです。 「恋文」 本好きの祖父母の本棚から、孫娘の日柳(ひさなぎ)永美(えみ)が本を探していたら、ある本の中に、独身時代の祖母が書いた手紙が挟まれているのを見つけ、そこから話が膨らんでいきます。 しかも、その手紙は封がされたままなので、開いて中の手紙を読んでみると・・・。 祖母の記憶を頼りに、その手紙に書かれていることの意味を推理していくと、いくつかの事実が明らかになるにつれて、事件性のニオイもしてくると言うことで、いつの間にか、その話に引きつけられてしまいました。最後も驚きの結末で上手くまとめられていて、読後感も良いです。 また、手紙が挟まっていた本が、都筑道夫の「七十五羽の烏」と言うところも良いですね。 でも、祖父と祖母の出会いのシーンは、ちょっとベタですけど・・・。 「男は関係なさすぎる」 ジャンク映画フリークの高校生・柚木崎(ゆきさき)渓(けい)が、看板メニューのチョコレート・ドーナツにはまって通っているという喫茶店・「ブック・ステアリング」で、店主の梶本と会話しながら、話が進んでいきます。 この「ブック・ステアリング」は店内に、本棚に並べられたり、飾り棚にディスプレーされた本がたくさん置いていると言う店で、そういう設定にも、心が躍ります(笑)。 店主の梶本の亡き姉が映画俳優で、かつて彼女が出演していたいくつかのジャンク映画を、柚木崎が知っていたということもがわかり、柚木崎と梶本の話が盛り上がって行きます。 お店のボードに貼ってあった新聞記事の切り抜きに、店主・梶本の卒業校であり、柚木崎が今現在通っている高校の「校長が替わった」という記事で、その先生の事を思い出しながら、話が進む中で、梶本が当時から少し疑問に思っていたいくつかの事柄が解決されていきます。 ちょっと話が飛躍しすぎかなという感がしないでも無いですが、一つの仮説としては面白いのじゃ無いでしょうか。 「パズル韜晦(とうかい)」 友人の祖父が、書き残したミステリの結末を推理するという話です。 元刑事だった友人の祖父が、犯人が首を持ち去っていくと言う連続殺人を扱ったミステリを書き始めたのに、最後の結末を書かずに亡くなってしまったということで、その原稿を預かり、日柳と柚木崎の二人で話をしながら推理を進めていきます。 作中に、ちょっと懐かしい「解体諸因」(西澤保彦の第一作)の話が出てきたりと、興味深く読みましたが、メインの話はイマイチでした。 最後には、ちょっと笑ってしまうような落ちもありました。 「さよならは明日の約束」 梶本の高校時代の同級生・屋敷万理子が、たまたま出会った日柳と柚木崎コンビの後をついて「ブック・ステアリング」に入っていき、彼女が「卒業の時に書いた色紙に、確かに書いたはずのコメントが無い」と言う話から始まり、梶本が日柳の祖父母を知っている・・・と言う話に発展していきます。 最初は、話がどのように進展していくのかよくわかりませんでしたが、なかなか洒落た落ちで終わりました。でも、これって、現実的では無いですね。 一作目の「恋文」の印象が強かったので、それほど面白くは無かったのですが、私はこういう落ちは嫌いではありません。 1960年代から80年代の昔話を持ち出してきて、高校生がその当時の謎に切り込んでいくという流れになっているので、当時を生きてきた人には、ちょっと懐かしさもあって楽しめるのでは無いかと思いますが、若い世代の方にはどうなんでしょう。 主人公も、同世代の人から見たら、それほど魅力的でも無いし、話自体も興味を引く話ではありません。 読む人の世代によって、意見が大きく分かれるミステリですね。 私としては、子どもの頃から、こんなコーヒーショップをしたかったので、ちょっと気に入って居ます。 |
||||
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
六編の連作短編ミステリです。
高校生の俺・斯峨優斗(しが ゆうと)の視点で全話語られるという形式です。 三話目の「最後の海」を除き、「何でも屋」をしている優斗の叔父さんが、事件に深く関わって来る・・・と言う流れになっています。 一話と二話を読んだところでは、このシリーズでは、こういうパターン(どんなパターンかは、読めばすぐにわかりますので、ここでは省略です)で話が推移していくんだなと思っていたところ、第三話の「最後の海」では、優斗の叔父さんが、名推理を披露し、事件の犯人や犯行の方法を指摘してしまいます。 この後の第四話からの流れに、何か変化でもあるのかと思っていましたが、四話目以降はまた、最初のパターンに戻ってしまいました。 一話から五話にかけて、優斗の周辺の出来事でいろいろと気になることがあったので、書き下ろしの最終話・「藁をも掴む」で、一気に収束してしまうんだろうと、密かに期待しながら読み進めていきました。 ところが・・・です。 最後の最後に、何か大きな仕掛けでもあるのでは・・・と期待をしていた最終話ですが、それまでの五話と同じように、あっさり終わってしまったのには驚きました。 途中で、思ったような展開になりかけましたが、肩すかしを食らわされたような感じで読み終えました。 となると、第三話の解釈を、再度し直さなければいけなくなりそうですね・・・。 この作品で麻耶雄嵩に初めて出会った読者の方々は、ちょっと面食らってしまうだろうと思いますし、これまで慣れ親しんだ読者にとっても、賛否が大きく分かれそうな作品ですね。 |
||||
|
||||
|