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りーり さんのレビュー一覧

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レビュー数86

全86件 81~86 5/5ページ

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No.6:
(5pt)

夏服パースペクティヴの感想

 樋口真由“消失”シリーズの二作目。 どうやら密室消失路線のシリーズで進めていくらしいです。

虚構殺人、密室、過去の事件と第三者Xと色々風呂敷広げた割に解決が性急で適当な感じが否めないです。 青春成長物語に主眼を置きたいのは分かるが死体を転がす以上ミステリを等閑してはならないかと。 前作が性問題がストーリーと密接に関わった傑作だっただけにスケールダウンした感がより強く出てしまったとも言えます。 ★は5つ

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夏服パースペクティヴ (角川文庫)
長沢樹夏服パースペクティヴ についてのレビュー
No.5:
(5pt)

ピーポくんは可愛いのか

 
 可愛くない

 本作はあるきっかけでコンビを組むことになったキャリア組少女警部と一般地方公務員巡査の警察小説の一作目。
ユーモアミステリということでキャラクター同士の掛け合い、警察知識をネタ的に紹介してくれるのが楽しい。 しかし事件の様相は過去も交えた多発事件で登場人物や時系列の把握が難しく、時に事件外の描写が雑多なものに感じてしまうかもしれないです。 シリーズ初作ということで折々で説明が入るのもそれに拍車をかけているでしょうか。

ヘヴィなミステリの合間に読もうと手に取った割にはトリックはかなり本格でびっくり。 なによりヒロインが可愛い、アンダーリムのピンク女子警部ですからね・・・★は5

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戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)
似鳥鶏戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 についてのレビュー
No.4:
(5pt)

美点と汚点が相殺されてこの評価

 
 「そして誰もいなくなった」の公演中に一人目の被害者が本当に死人と化してしまう。 犯人の目的は? 本当に原典通りの連続殺人が始まるのか? 見立て殺人を踏襲しながらも裏にオリジナリティ感じる結末を盛り込んでおり、作者のクリスティへの尊敬と自作への意欲を強く感じさせます。

 読み終わって総括しますと終盤明かされる真相には原典に見劣りしない衝撃を感じますし、クリスティやミステリ好きに読ませるような巧技も相俟って大変凝っている作品と思いました。 では何故この評価にとどめているかというとそれらがまったく楽しくなかったからです。 登場人物の一挙一動の軽薄さ、事件を成立させるために登場人物をチェスの駒のように扱う作者の都合が気にかかりました。 ある程度なら瑣末な問題と割り切れるのですが今作は看過できませんでした。 誰もいなくなった系統のトリックはトントンと読み進めて驚愕の事実に出くわすというのが楽しいと思うのですが、所々の引っ掛かりがその爽快感を失くしてしまった感じです。

 ★は5ですが、それは良き点と悪しき点の相殺であり、悪しき点は私の好みによるものが強いです。 光るものが何もない平坦な作品では決してありません。 読む人によってはクリスティに劣ることもない感嘆を得ることができることを述べておきます。

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そして誰もいなくなる (中公文庫)
今邑彩そして誰もいなくなる についてのレビュー
No.3: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

夜明けの街での感想

 所帯持ちの主人公は現状の生活に満足できず会社の同僚と恋に堕ちる。 

――不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた――  そう語る主人公はあっさりと一線を越えてしまいます。 デート、情事、婚約と境界線を次々越えていく主人公、しかし彼女には殺人者ではないかという疑念が・・・。
15年前の殺人は彼女によるものなのか、時効を迎えた時に明かされる真実とは・・・。

 主人公は自分では標準的と思ってる家族持ち、でも傍から見れば障害のない幸せ過ぎる家庭でしょう。そこに魅力的な女性がふらり、特異な出来事をきっかけに二人の仲は縮まっていきます。 婚姻9年目の彼は夫婦生活に一抹の退屈さを感じていたのか、平凡な生活に彼女の刺激は新鮮で二人の仲は不倫という関係に陥ります。 何事にも飽きは生じ、新しいものに惹かれるのは人の常でしょうか、だからといって道徳を超越できるかは別の話ですが。

 不倫の二人、そこに交じる殺人事件の究明の緊迫感は見事です。 一方で明かされる真実に厳しいものがあります。 ミステリーというよりは裏に黒いものを秘めた不倫劇、背徳的な二人の帰結を見届けてあげましょう。


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夜明けの街で (角川文庫)
東野圭吾夜明けの街で についてのレビュー
No.2:
(5pt)

インパクト薄し


 タイトルから期待できるほどの密室物ではありません。 推理作家が集うパーティということでミステリ談議に花が咲きますが、結末は作家たちの深いミステリ造詣とタイトルの期待値からは大きく乖離するものになってしまいました。

 色々と風呂敷を広げた割にミスリード的な役割を果たすこともなく収束してしまった感じ。有栖氏作と言うことで詰まることなく読み終えられたのは評価点ですが展開が坦夷すぎでした。★は5つ
46番目の密室 (講談社文庫)
有栖川有栖46番目の密室 についてのレビュー
No.1:
(5pt)

ホロー荘の殺人の感想

 ポワロシリーズの一作。 富家の別荘地に招かれたポワロ、到着早々そこにはお誂えの殺人現場が。

 メインの筋書き、モチーフは大変面白いと思います。 一癖二癖ある親族一同、愛憎を秘めた関係性がより事件を複雑に、人間の時折見せる無駄な事・整合性のない事含め心情の本質を掘り下げます。 しかし本作はあまりミステリとして推すべきじゃなかったかなと、ポワロを登壇させる必要も薄く、探偵役は親族をよく知る身内の誰かでよかったと思います。 タイトルもいかにも重層な屋敷物の殺人事件っぽくてこの作品の急所を捉えていないかなと感じます。 今作の肝は作中人物の恋愛模様とそれによる事件の流転と考えたのですがそのドラマチック、ロマンティックな部分がポワロや警察介入で相殺されてしまってるような感じがいたしました。

非常に惜しい作品、登場人物の深すぎる個性と行動心理は感嘆しました。★は5つ!!



ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティホロー荘の殺人 についてのレビュー