ハサミ男
評判
ハサミ男の評価:
3.82/5点 レビュー 390件。 S ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全520件 141〜160 8/26ページ
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ハサミ男の評価:
3.82/5点 レビュー 390件。 S ランク
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ない冷酷な怪物、シリアル・キラー。いつしかマスコミは彼のことを「ハサミ男」と呼び、犯人の意志とは無関係に、「ハサミ男」の名にふさわしい、残虐な殺人鬼というイメージを肉付けしていく。そして、その行
為がますます「ハサミ男」という名前だけを一人歩きさせていく……。
本書『ハサミ男』で物語を語るのは、ほかならぬハサミ男本人である。だが、本書の冒頭を見ると、「ハサミ男の三番目の犠牲者は、目黒区鷹番に住んでいた。ところで私は――」と文章がつづく。ハサミ男のことを
まるで別人であるかのように語る「私」と名乗る人物は、本書を読み進めていくと、たしかにその過去においてふたりの少女を殺している殺人犯。つまりマスコミが言うところのハサミ男に他ならないことがわかって
くる。そう殺人犯が、自身の連続殺人を模倣した、殺人犯を追いかけるという構図が斬新。物語の伏線は、すでに冒頭部分からはじまっているのだ。そしてそういう意味で、本書はまるでハサミ男のように、非常に慎重かつ用心深いミステリーであるとも言える。
思いがけず遺体の第一発見者となってしまったハサミ男。そう、誰かが自分の先を越して、自分の犯行を真似て殺人を行ない、その罪をすべて自分になすりつけようとしていることを知ったハサミ男は、正体不明の皮
肉屋の助言を得て、真犯人を探し出すべく行動を開始する……。
ほかならぬ殺人犯が、もうひとりの殺人犯を追いかける、という設定の意外性もさることながら、頭のいい女の子へのあこがれが殺人願望となるいっほう、自分自身の容姿の醜さへの憎しみが自殺願望へと発展してい
く、という、これまでになく屈折した狂気をかかえたハサミ男という人物の存在が、何よりも秀逸だ。じっさい、本書の中には、じつにさまざまな方法で自殺を試みては失敗し、仲間の皮肉たっぷりの言葉を浴びせ
られるハサミ男が存在する。そこには私たちの思考ではとうてい理解できそうもない、「心の闇」とでも言うべきものが横たわってる。
はたして、真犯人とは誰なのか。そしてハサミ男の運命は? そのあまりに意外なラストに、きっと読者も仰天してしまうに違いない。そして、著者がしかけた巧みな叙述トリックの妙技にも。
ハサミそのものは、どこの家庭にも普通にある日用品だが、使いようにっては一撃必殺の武器にもなってしまう。「普通」のなかに巧みにまぎれこんだ狂気――それこそが現代の凶悪犯罪に一歩迫るキーワードなのかもしれない。