午前零時のサンドリヨン
評判
午前零時のサンドリヨンの評価:
3.80/5点 レビュー 54件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 21〜40 2/3ページ
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午前零時のサンドリヨンの評価:
3.80/5点 レビュー 54件。 B ランク
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作品の雰囲気を手軽に高めるための小道具としてマジシャンや手品を登場させるミステリー作品も多い中、丁寧に両者が融合されているように感じます。ヒロインが作中でトミー・ワンダーのテイムドカードやフラリッシュのジャクソン・ファイブを披露していたり、フーディーニやレナート・グリーンほか新旧様々な有名マジシャンの名が挙がったり、マジシャンの有名なエピソードをストーリーに組み込んでいたりと、どうやら巻末の解説文を見るに、単に作品を書くためにマジックを研究したというよりは作者は元からマジックに造詣が深かったようです。
マジックの種明かしを一切せず、それでいてミステリーと手品をきちんと絡めている点からは、作者がマジックにもミステリーにも敬意を持って接していることが感じられます。その点に関しては、マジックの愛好家の方も楽しめるのではないでしょうか?
一方他の方の書評にもある通り、各登場キャラクターたちが「浅い」ように感じられます。とくに主人公に関しては浅いを通り越し、呼んでて不愉快なくらい行動が軽率です。
この作品は主人公の気弱な少年がワトソン役、ヒロインのクールなマジシャン美少女がホームズ役なので、主人公が幾分頼りなかったり、多少抜けているところがあるのはお約束の範疇でしょう。
しかし、「被害者が可哀想だから」「真相が気になるから」などの浅薄な理由でクラスメートが抱える謎を引き受け、肝心の謎解き自体はヒロインに丸投げする主人公や、他者にも主人公にも謎解きにも興味がないような何処か冷淡な性格だった物語前半から一変、後半で急に事件解決に積極的になり、得意気に真相を語り出すヒロインへの感情移入はどうにも困難でした。この作品は4作からなる短編なので、これが4回繰り返されます。この手の青春モノにありがちな、「主人公が自分の何気ない一言をきっかけにヒロインと仲違いする」というお決まりのシーンも登場するのですが、その不仲の折にも彼女は特に理由なく謎解きに手を貸しています。
ヒロインがホームズのように謎解きにスリルや快感を求めているとか、困っている他者を見捨てていられないほど博愛精神にあふれているだとか、ハーレム系ラノベの如く主人公に全幅の信頼や好意を寄せているといった描写も特にありません。嫌味な言い方をすれば「何の取り柄もない主人公がおせっかいや好奇心で人の事情に首を突っ込み、問題の解決をヒロインに押し付けつつ最終的には恋仲になる」という構造です。それとも僕の読み込みが浅かっただけで、彼らの行動原理はキチンと描写されていたのでしょうか?
犯人の動機にリアリティがないミステリーは興醒めですが、主人公の行動の動機に共感できないのもこの手の作品として致命的でしょう。作品の設定やキャラクター像は好きだっただけに非常に残念でした。