雪が降る
評判
雪が降るの評価:
4.47/5点 レビュー 58件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1〜20 1/2ページ
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雪が降るの評価:
4.47/5点 レビュー 58件。 B ランク
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陶酔するには愚かでありすぎ、反発するにはかっこよすぎ、という感じでしょうか。
藤原伊織作品の主人公は、どうみても愚かな行動の結果、自分で人生を破壊する傾向①は指摘したいです。ネタバレないように恐る恐る書きますが「テロリストのパラソル」でもそれはありましたし、この中のある短編でも、ヒロインが急ぎでもないのに高速道路に乗ることは、ちょっと慎重に考えれば、この作品の展開を避けることが出来ていた危機管理です。
もう一つは、我を忘れてと見せかけて、避けられた破滅を自ら好んで引き寄せている傾向②です。
「台風」「紅の樹」どちらも穏便に事を済ませようとすれば可能だったはずで、こういう白けたことを申したら作品が台無しになるのでこの感想はKYかも知れませんが、前者は人生の目的が確定しているのに、後者は人生に嫌気がさしているとしても無為にそうした選択に飛び込むのは…大望を前にして選択を誤っているか、あるいは…自己陶酔なのか。
すみません。どうしても匹夫の勇にしか思えず、乗り切れない体質なので申し訳ない。
その奥にあるものは破滅願望で、その意味での成功作なのですが、中間管理職経験者のせいか、「世の中はこういう破局を起こさせないための努力もけっこうあるんだけどなあ…でも、そんなのロマンにもドラマにもなりはしないしなー」と刑事コロンボのごとく(古い)頭をボリボリ掻くのでありました(苦笑)
ハードボイルドは古典のハメットからチャンドラーから全く未読なので無知のままですが、藤原先生は全共闘的なテイストがあるとはいえ、このスタイリッシュさが破滅願望と結合しているとすれば、それはこの主人公たちの品格と矜持とともに、同時に生命を軽視する態度とも結合しているのではないかと思わざるを得ませんでした。(これは藤原伊織先生特有かもしれませんが)
とすれば意外とこの「死ぬことと見つけたり」武士道とも親和性があり、藤原伊織は特攻隊を書かせたらとんでもない未曽有の視点から書かれた傑作をモノしたかもしれません。ただの空想ですが…。
そのスタンスは現実の軽視でもあります。
「ダリアの夏」「トマト」の素っ頓狂な設定、例えばダリアの花が埋め尽くす庭を下りてくるアンニュイ美女、みたいな非現実的な美しさにもつながるもので、アンニュイでハードボイルドで品格のあるスタイリッシュは、現実の無視&生命の軽視から出来ているんじゃないかしら、と思った次第でした。
と、いう訳で、私的ベストはこれまた非現実的な軽井沢の美女とバングラデシュ美青年と、反面のバブル経済が混然一体となる傑作「銀の塩」でした。
非現実的設定と、リアルな現代社会が完璧に合致したバランス良い佳作だと思います!