天地静大

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天地静大の評価:

4.15/5点 レビュー 20件。 A ランク

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平均点4.15pt

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全23件 21〜23 2/2ページ
No.3
(5pt)

日本人の精神史への鋭い批判

山本周五郎の作品には、大東亜戦争を起こした日本の文化的背景へ
の批判が感じられる。

 個人としてなかなか表に出ないが、大東亜戦争の影の主役であり、
原動力となったのは、軍部内の中堅青年将校である。2.26事件、5.15事件の、
1945年8月14日の宮城事件といったクーデタ事件は、いずれも尉官から
佐官クラスのそれほど身分の高くない中堅将校によって行われた。

 当時の政治家は暗殺やクーデタを非常に恐れた。ワシントン軍縮会議に
よって海軍の艦艇保有数を対米英7割に抑えようとした浜口雄幸は、右翼青年に
暗殺された。軍部内部でも暗殺事件があり、陸軍内部の二大派閥の長であった
永田鉄山は、対向勢力の一員だった相沢中佐に斬殺されている。右翼や
中堅将校の暴発と要人暗殺は、昭和初期という時代の特徴である。

 軍のみならず当時の日本社会には、威勢のよい大言壮語をして結果も
省みずに過激な行動を起こし、命をかけることで愚行を美化しようとする
傾向が蔓延していたようである。作品の舞台である幕末は、攘夷といって
人を切れば喝采されたことが示すように、このような狂的な人物を多数
輩出した昭和の暗殺史の原点である。

 「栄花物語」「日日平安」「城中の霜」「樅の木は残った」そして
この「天地静大」には、このような無責任な自己陶酔に対する批判が
たびたび見られる。

 この作品では、主人公杉浦透は攘夷に燃える時代の空気に迎合せず、
学問の道を歩むと決める。時代への不安や不満に負けず、社会にとって
必要なものを冷静に考え、戸惑いながらも自分の生き方を貫く主人公の
態度は、人生がどのようにあるべきかを考えさせてくれる絶好の教材である。
天地静大 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天地静大 (新潮文庫)より
4101134227
No.2
(5pt)

山本周五郎の人間をみつめる目

山本周五郎の作品は、どれも人間に対する尊厳と哀しみを感じる。
中でも地味な作品だと思う。しかしダントツに好きな本だ。
それぞれの登場人物が、揺れ、もがきながら自らの人生を選択していく。
そこに、くっきりと幸せの形が現れながらも、生死が分かれていく。
意外な展開にこそ、人生の悲哀を描き出せる、まさに達人。
山本周五郎の作品には幕末ものが、少ない。
ここに山本周五郎の幕末史観を込めた渾身の大作と受け取りたい。
天地静大 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天地静大 (新潮文庫)より
4101134227
No.1
(4pt)

僕はすごく好きです。

江戸末期の動乱の中、政治・思想に左右されず己の信じる学問を追及しようとする東北の小藩の一藩士「杉浦透」と、藩主の弟「水谷郷臣」の交流を通じて、人生の中の真実・愛・善悪を見つめていく話。この小説は、読みやすく単純に面白いが、少し長めな上、特別な盛り上がりはないので合わない人には少々辛いかもしれないが自分は大変楽しめた。世の事柄に絶対の正解はなく、全ての人がそれぞれの生活の中で見つけた答えの繋がりが世の中を動かしているのだなぁ、と考えさせられる一冊。またいつか読み返してみたい。
天地静大 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天地静大 (新潮文庫)より
4101134227