盗む男 ミステリ短篇選
評判
盗む男 ミステリ短篇選の評価:
5.00/5点 レビュー 2件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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盗む男 ミステリ短篇選の評価:
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時代は蔦谷重三郎が活躍した江戸中期~後期。主人公は波瀾万丈の生涯を送った戯作者・狂歌師の唐来参和(とうらいさんわ)。登場人物たちは、蔦重の他に平賀源内、棟上高見、太田蜀山人、山東京伝、雷電為右衛門、志水燕十――という豪華な顔ぶれ。そして、語り手が、参和に二度も女郎屋に売り飛ばされた女房だっていうんだから、面白くないわけがない!
しかも、この参和、どの道でも一流になるほどの勉強家だが、酒が入るとかっっとなって、何事にも、他人から言われたことの逆をやってしまう天の邪鬼ときているのだから、面白さもここに極まれり!
「ええ、源蔵(=参和)という男はね、酒に酔うと、他人の意見の逆を行く癖があるんですよ。反対癖。あべこべ。ひっくり返し。逆立ち。とにかく、逆の方角へ行っちまうので」。
「あの参和の趣向というものはほとんどが『逆』、『天邪鬼』、『あべこべ』、『反対癖』なんですよ」。
参和の決して幸せではない晩年まで描きながら、その生き方に共感を寄せている井上ひさしの思いが伝わってきます。
本書の巻末に収められている講演録『清張文学 魅力のすべて』には、井上の松本清張愛が溢れています。井上が大好きという清張の短篇『くるま宿』を無性に読みたくなってしまいました。「清張さんの短篇の作法というか、何かが、『くるま宿』に全部入って、しかも文章は抑えた、ビシッとした文章だし、清張さんの魅力というのは全部、この『くるま宿』に入っているような気がするんです」。