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眺めのいい部屋売ります



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【この小説が収録されている参考書籍】
眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)

眺めのいい部屋売りますの評価: 2.80/5点 レビュー 5件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

家にまつわる切実な不安

自分の住んでいる部屋が、99万9千ドルで売れると聞いた老夫婦が、二人の老後を左右するオープンルームの時と、愛犬の急病、テロ騒動、新たな住まい探しと悩ましい状況に身を置かれてしまう。
読んでいて面白かったのは、アレックス、ルース、ドロシーの三人(?)の視点で、この悩ましい状況が展開してゆく構成。
アレックスのルースへの想い、ルースの公正で心揺れる内面とチューホフ短編集とのからみ、動物病院でのドロシーの気持ち。それぞれが絶妙に交差して、作品を活き活きさせています。
舞台であるニューヨークの街も、喧騒や匂いが手に取るように映ります。
人生を頑張ってきた老夫婦が、いくらかの安息を求め悩む切実な時間。
頁をめくってから、手を休める事が出来ず一気に読みました。
眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)より
4094062157
No.1:
(4pt)

豊潤な読書体験でした。

「とにかくこの街ではいつも何かが起きているんだから」

実際にニューヨークにもマンハッタンにも行ったことはないけれど、彼の街の喧騒、行き交う車のクラクションの騒々しさ、色んな人種の人々がひしめき合う独特の雰囲気は、映画やテレビで幾度となく目や耳にしています。そんなニューヨークはマンハッタンの香りが程よく味わえる、秀逸な作品です。

老夫婦が長年住む古びたアパートが、思わぬ高額で売却できると不動産屋に教えられ、5階までの階段の上り下りが辛くなってきたこともあり、買い換えを決意。明日が内覧会というまさにその前日に愛犬が腰を抜かしてしまう。動物病院に急ぐもテロかと思われる事故で車が大渋滞。不動産の売買、愛犬の容態、テロ事件、3つの事柄が密接に関わりながら落ち着いた筆致で同時に語られる。それぞれの問題の進行具合が気になり、一気に読了しました。

物語の主役の夫婦はアラウンド80という高齢であり、高齢が故の悩み、例えば足腰や視力、聴力の衰えだとか、若くはないが故に長年住み慣れた家や街や年老いた飼い犬への静かで深い愛情だとか、そういった諸々のことが、特に強調されるでなく、物語の進行を追っていくうちに行間から匂いたちます。

マンハッタンという街、老齢が故の諸々のこと、愛犬への愛情、派手な展開もアクションも無いけれど、ハラハラさせられる展開と、300ページ足らずのなかにたくさんの要素の詰まった豊潤な読書体験でした。

秀作だと思います。
眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)より
4094062157

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