二人の嘘
評判
二人の嘘の評価:
3.68/5点 レビュー 31件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1〜6 1/1ページ
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二人の嘘の評価:
3.68/5点 レビュー 31件。 B ランク
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脚本家が本業だという。
女性判事と、その判事がかつて判決を下した男性との物語だ。
しかし、まず登場人物の人物造形に違和感が強すぎる。
主人公の女性判事は不幸な生い立ちを背負うが、絶世の美女で、東大法学部を首席で卒業し、司法試験も裁判官任官試験もトップ合格。
10年に一人の逸材と呼ばれ、将来は最高裁判事を嘱望されている。
そんな女性が、いくら不幸な生い立ちだからといって、豪華な家を建ててくれるという理由だけで、封建的な旧家に嫁に入り、専業主婦のような生活に甘んじるだろうか。
しかも結婚した相手も同期の司法試験合格者で、8歳年上の弁護士。
裁判官任官されなかったことにコンプレックスを持っている。
その夫の父親は元裁判官で母は元検察官。
主人公は、地裁判事という激務を担い睡眠時間3時間しかないにもかかわらず、専業主婦のように夫の朝食と夕食を作るだけでなく、近所に住む義父母に夕食を届ける。
この状況設定してからが無理過ぎるのだ。
また、かつて判決を下された男性を巡る状況にも違和感があり過ぎる。
その男性も不幸な家庭環境ゆえに施設で育ち、時計技師の資格を取って時計の修理工房に職を得るのだが、その修理工房のオーナーという人物の造形が無理過ぎる。
目黒の大地主のドラ息子で、アメリカの大学に留学した後、帰国して中目黒駅近くに時計修理工房を開く。
自分では時計は修理できないにもかかわらず、である。
そのくせに、あいつは俺が拾ってやったと公言して、13万円!の安月給で時計技師をこき使い、創作時計のコンテスト出品作品さえ自分のものとして横取りしてしまう。
まず、時計の修理技術がないのなら、高級時計の販売店を開くというのならわかるが、時計修理工房を開くわけがない。
しかも、自分が修理できないなら時計技師との力関係は、月給13万円でこき使ったり、デザインを強奪するとうような一方的なものにはならないはずだ。
それ以外にも、「律令時代の遠山の金さん」(金さんのいた江戸時代は律令制じゃなく封建制と教えたくなる無知)とか、一審の判決を下したことを表現するのに「被告人から受刑者に変わった」(一審の判決が出ただけでは刑が確定しておらず、被告人のままであるということへの無知)とか。
あるいは、オウム真理教の事件以来、新左翼の思想を持つ者はどんな成績がよくても裁判官に採用されなくなったとか(新左翼的思想の持ち主はそれ以前から判事に採用されていないし、ましてオウム事件当時は影響力を喪失しており「それ以降」そうなったということはあり得ない)、政治部に属する新聞記者の友人に時計技師の動向調査を頼むとすぐに住所や日雇いで働いているといった情報が簡単にもたらされる(社内データベースで調べられるはずもなくまるで探偵を雇って調べたような情報である)とか・・・。
「選ばれたエリート」という言葉にいたっては、もはや「頭痛が痛い」なみであるw
そして、何よりも読んでいてあり得ないと感じたのは、この作者は「描写」ということを理解していないのではないか、ということだ。
絶世の美女という設定であることは冒頭にくどいほど示されているのだが、何ページかに1回は「美しい目を向けた」「美しい目を細め」「美しい唇を」「美しく長い髪を」「美しい口元を歪め」と「美しい」のオンパレードなのである。
「美しい」という言葉を使わないで美しいを表現することが文芸の基本であるにもかかわらず、である。
一応つきあって最後まで読んだが、徒労感のみが残った。