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深い河



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【この小説が収録されている参考書籍】
深い河 (講談社文庫)

深い河の評価: 4.32/5点 レビュー 166件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.32pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全142件 101~120 6/8ページ
No.42:
(5pt)

それぞれに考えさせる文章

わたしはインドに行ったことはありません。
それでも文章の中からインドの雰囲気、ガンジス河の持つ自然の力を感じることができました。
著者の考え方を登場人物を通して押し付けてくる表現ではなく、読者個々が感じ取ったうえで色々と考えることのできる一冊だと思います。
ますます著者が好きになった一冊です。
深い河 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:深い河 (講談社文庫)より
4062632578
No.41:
(5pt)

自分の人生の意味を考えさせられる

前半は、複数の登場人物の人生が挿話的に描かれている。
後半はそれら人々がガンジス河のほとりにたたずむ。

それぞれがそれぞれに生きてきた人生。
それを全て包み込み、生と死が共存するガンジス河。

ガンジス河のほとりに立たずむ登場人物と同じように、
自分の人生の意味とはなんなのかを考えさせられた。
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4062632578
No.40:
(5pt)

深い河 に見る遠藤神学

大阪高槻カトリック教会アデリノ神父様の勉強会がきっかけで遠藤さんの宗教観をあたらめて考える機会を得ました。
ちょっと長い感想文になりますので、以下のサイトに掲載させていただきます。

[...]
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4062632578
No.39:
(5pt)

何回も読み込んでしまった。

氏の作品は「イエスの生涯」に偶然出会った学生の時から読んできたが、この作品は氏の生涯の集大成である。

氏の作品によってキリスト教にもあこがれを抱いたが、"Believe in" と言った心境にはどうしてもなれないことを代弁してくれている。

最近になって、かえって仏教の方が science に近いことを知ったが、西洋人の強いエゴにはついてゆけなかった経験を思い出す。

20数年前発表の「スキャンダル」は、当時は若くて何も読み取れなかったが、年をとると解る。

最近、氏の作品が本屋の棚に置かれないのは寂しい。

To believe is to select what I think is right and logical. とあるキリスト教の一派の宣教師に話すと

I 100 percent agree. とおっしゃってくださった。

このとき、はじめて宗教から自由になれたと思った。
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4062632578
No.38:
(4pt)

意外と明るさも

遠藤周作の最晩年(70歳)の作。『沈黙』や『侍』などの、救いのない暗さを期待して読むと裏切られるかも。主な登場人物は五人。その中で最も遠藤自身を投影していると思われるのは、リヨンの神学校で汎神論的な思想を非難され、神父失格の烙印をおされた大津なのだが、その後、彼がたどり着いたインド・ヴァーラーナスィでの自信に満ちた姿には、ある種の開き直りともとれる明るささえ感じられた。これが、キリスト教と日本の風土、神と日本人の問題について生涯にわたって取り組んできた遠藤が最後に到達した境地と考えていいのだろう。本を読むのに順序はないが、この作品はいくつかの遠藤作品に触れた後に読むと、より一層感慨が増すのではないかと思う。
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No.37:
(4pt)

自分との対極の環境に・・・

この世は、色々な人間が存在しており、環境、生き方も様々で、
他者の事は、わかるようでわからない人間模様がある様子が描かれている。

この本は、題名のごとく、どんな人間をも受け入れるという、宗教的な
内容もあるが、自分が住んでいる環境ではありえないガンジス河の姿に
解り得る自分と、そうでない自分とがあり、複雑な気持ちになった。
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No.36:
(5pt)

すばらしい

読み終わったときに思ったことは「え!?これで終わり?なんも解決してねぇ!!」と思ったが、よくよく考えて見るとここまでで大切なことは書かれていた。

クライマックス(最高潮)は最後に来るものだと先入観があったせいだろう。

結果、誰も救ってはくれないし、誰も助けてはくれない。
それでも他人と苦しみや悩みを共有することで孤独からは救われる。

愛で罪も苦痛も全て包んでくれる河。自分もいつか流されて大海にでるのだろう。

真実はいたるところに無数にあってその全てに価値があった。
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No.35:
(5pt)

ガンジス川に神を思った

『深い河』とはガンジス川のことだが、著者はそこに神、宗教の本質を見たように思う。

善も悪もなく、生も死も苦しみも悲しみもすべてを受け入れるが、何もしない。ただ雄大に流れるだけ。

「大津」は、イエスを投影しているように思う。神父になろうとするが、修道院から毛嫌いされる。

なぜなら、キリスト教とかヒンズー教とか仏教とかに捕らわれず、イエスの本質を見ようとしていたから。

彼は、イエスだったらこうしていただろうと考え、ガンジス川に行こうとして命を落とした弱き者を背負い、火葬場に連れて行く。

『沈黙』『イエスの生涯』と読み進めてきたが、イエスは、弱き者苦しんでる者たちの同伴者たろうとしているだけで

自己への崇拝など望んではいない、というキリスト教聖職者への批判を感じる。

キリストの精神を、不完全な人間が不完全に広めてしまったというニュアンスが文中引用されている。

今まで遠藤周作をガチガチのキリスト教信者と思って避けてきたが、神やキリストの考え方に共感できた。

もっと遠藤作品を読んでみたいと思っている。
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No.34:
(5pt)

晩年の集大成でしょうか

晩年のエッセイなどで良くでてきた素材が散りばめられています。
なので、コアな読者には陳腐な感じがしなくもありませんが・・・

「日本人とキリスト教」、これが遠藤周作の生涯のテーマだったかと思います。
自分の身の丈に合わないキリスト教という服をどう着るのか、たしかこんな感じのことをどこかで書いてました。

そして晩年に辿り着いたのが、日本人には日本人のキリスト教がある、という思いだったかと。

その思いをもう一人の主人公大津に語らせてます。そして彼は異端のレッテルを貼られインドに辿り着きました・・・

遠藤さんの作品に特徴的な愚直な人間像が余すことなく描かれてます。

遠藤さんの軌跡と同じように読者も彼の作品の一番最後に読んでほしい作品です。
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4062632578
No.33:
(4pt)

ガンガー

一人旅でインドに行ったことがある。
暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
なんなんだこの国!と叫びたくなる。
暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
なんでこんな国に来てしまったんだ、と後悔したくなる。

でも夕暮れ時になると、インドのすべては、ガンガーへとたどり着く。
ガンガーは、暑さも、汚さも、騒々しさも、臭さも、ずるさも、すべてを受け入れる。
その細い体ですべてを背負い、疲れきっているのにすべてを抱きしめる。
ヒンドゥ教的輪廻観も、仏教的輪廻観も、キリスト教的観念も、ガンガーは愛する。
人々の毒素を、苦しみを、思想を、限界を、現実を、ガンガーは包み込む。

なんという深い河だろうか。

暑くて、汚くて、騒々しくて、臭くて、ずるくて・・・。
でもガンガーに受け入れられたくて、懲りずにまたインドへ行くのである。
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No.32:
(4pt)

何度読んでも飽きの来ない懐の深さ

本作発売は何時の頃でしょうか、確か15〜6年ほど前に若い者には珍しい病気で入院している折りに近所の本屋へ無断で出掛けて買ったのが最初だと記憶しています。

妻を亡くし今まで顧みることもなかった妻との生活、妻の居ない自分、老後。
様々な事を考える時間をもとめていた中で旅先に選んだインド。
ガンジス川のほとりで汚い水の中沐浴をする多くの人々、その横で人間の屍体をそのまま流す葬儀屋。
市民の生活にも使われある時は洗い場、ある時は風呂、ある時はトイレ。
それでもそんな河を人々は神聖なモノでありそこに在るのが自然なモノとして受け入れ崇める。
旅をともにした日本人ツアーの他のメンバーとの打ち明け話などを含めて徐々に今までの自分とは違う自分を感じるようになる主人公。

大きな泣き所のある訳でも、説教臭いわけでも、インド崇拝をしている訳でもありません。殆どが日常生活の目線で描かれ、人々の日常が自分にとってはドラマであり、他人にとっては普通の出来事でしかないという現実を洗い出していく。

遠藤周作作品いろいろ読みましたがクリスチャンである氏の作品にしては珍しい宗教色薄い作風に驚いたのと、20歳前半に読んだので年齢的に死など遠い世界の話と普段は気にも止めず感情移入も出来ない作品だったのでしょうが入院中であり同じ病室のお爺ちゃんが入院中に亡くなられたこともあり死と隣り合わせの場所に居た現実が本書の世界を近づけてくれました。

以来、人にあげたり、亡くしたり、都合4冊までは買い足したことを覚えています。
今手元にある単行本は装丁が画像と異なりますが私にとって何代目の「深い河」なのでしょうか。
一生、手元に代替わりしつつ残しておきたい一冊です。
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No.31:
(5pt)

日本人として西洋の神 キリストの存在を追いかけ続けた遠藤周作の意外な集大成の著

久しぶりに読んでみた。
言葉に出来ない想いがずっと横たわっている。

最初に読んだのが恐らく10年以上前だと思うけども、やっぱりそれから歳を重ねると、書いてあることの受け止め方と重みがぜんぜん違うし、とても良かったぞ。

ましてや、あの時はインドに行った直後に読んだので特に印象深い本であったのだ。

 遠藤周作は、ご存知のようにカトリックの信者であった。戦後初の交換留学生としてフランスに渡り、そこで彼が感じた西欧カトリックの歴史の中での「在るべき」姿から、自分の形に信仰を落とし込むまでの苦悩が遠藤周作にはあったようだが、その彼の姿がこの本にも主人公に変えて書き込まれている。

 カトリックでは認められない「輪廻転生」という概念と、現在のインドでのヒンズー教信仰。どこでそれがつながっていくのかという人間と人間。そこには全ての宗教をも包み込む概念としてのガンジス河があった。

 インド人にとっては母なるガンジス河。すべての人生の苦悩と矛盾を抱えながらその河に流されいく死者。そこにカーストをも外れた人間のために自分を差出すカトリック神父。イエス・キリストが全ての人間の罪を背負って最後は十字架を背中に受けながら歩く姿に、その神父は死を待つ人間を背負いながらなぞるのだと告白する。

 人の心の美しさや、信仰というものからあえて目を逸らしてきた女性に、この神学生は「神がかたくるしければ、”たまねぎ”と言い換えてもいい」と彼は神を語っていた。

 「神は存在というより、働きです。
  たまねぎは愛の働く塊なんです。」
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No.30:
(4pt)

受け入れるということ

何でも受け入れてくれる「深い河」=ガンジス川。

妻を亡くした男、人を愛せない女、友人の苦しみを理解したい男…さまざまな登場人物が、何か「意味」を求めてインドへ向かう。宗教観というものを持たない日本人が、何かにすがり、信じる人々を見て、「信じる」とは何かを考える物語。「これでもか」というほどにノー天気に描かれた三條夫妻が良いスパイスに。。

インドに行ったことはないけれど、いつか行って自らの目で「深い河」を見てみたいと思わされた。
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No.29:
(5pt)

それぞれの想いを内包して……

「必ず生まれ変わるから」と言い残した妻の言葉のため。
大学時代、弄んだ男にもう一度会うため。
人生の節目で自分を救ってくれた九官鳥に恩返しするため。
ビルマで死んでいった戦友を弔うため。
それぞれの想いを抱えてインドへと向かう人々と、全てを包むガンジスの物語です。

宗教色が強いのかな、と始めは敬遠していたんですが、読み始めると面白くてちっとも気になりませんでした。
一方的に押し付ける感じもなく、人々が信じるものをそれぞれ真摯に見つめていて、読んでいて胸が熱くなります。
キャラクターや時代背景も綿密に計算されていてよかったです。
それぞれの想いをすべて飲み込んでゆったりと流れていくガンジス河。
見てみたい、と思いました。
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No.28:
(4pt)

四苦八苦に立ち向かうキリスト者

「深い河」を買ってみたものの、1年ぐらい読んでいなかったが、たまには小説でも読むかという気になって、この3日で読んでみた。 遠藤の経歴(満州引き揚げ、リヨン留学、フランス文学、キリスト教への葛藤)を、登場人物に写した、私小説的なものなのかと、最後に載っていた 年譜をみて思った。私からいわせると、遠藤はカトリックにとどまり続けながら葛藤している軟派な煮え切らない作家(失礼)だと思っていたのだが、そういいきってしまうのももったいないとは感じさせるものだった。人間社会の中でどうしても発生する罪や死、破壊的な情念、などを、キリスト教的な枠によってさえぎられずに、できるだけリアルに書かれている点で、よくここまで書いてくれたとは思う。しかし、ガストンや大津にみられる広い意味でのキリスト者としての生活が、リアルに書くとあそこまでおとしめなくてはならないほどのものになるのだという点に、納得させられると同時に、遠藤の無責任さも感じられた。それは、イエスが人の罪を背負って、彼の言葉を信じるものに救いを与える というキリスト教のおせっかい-無責任な構造にもつながるものだ。イエスの基本的人権はどうなるのだ?あるいは、彼を信じ彼の真似事を真剣に行うものの現実的な尊厳は? 霊の喜び、神の国へ行けること、最後の審判で救われることなどの 概念装置で、支えようとはするが・・。罪を背負う、背負わせるという救いのありかた自体の無理を、感じさせる小説だと思った。最後に大津が危篤で終わるということに、彼の微笑みを遠藤が描けなかったことに、リアリズムと共に、 真正のキリスト者として生きることの深い悲劇を感じざるをえない。しかし、もしかしたら、ここから遠藤は愛というよりも慈悲を、燻蒸させようとしていたのかもしれない。
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No.27:
(5pt)

驚異の書

書物との出会いが人生を変える。この作品との出会いは、確かに私の人生を変えた。

私は遠藤の作品をすべて読んだわけではないが『海と毒薬』や『沈黙』をはじめとして、その代表的な作品には幾許かの飽き足らなさを感じていた。これらの作品に共通する命題のひとつは「神の救いはあるか」ということだと思うのだが、遠藤はいつもこれに答えずにウヤムヤのままに作品を終えてしまう。ゆえに読んでいて救われぬ思いを禁じ得ずにいた。

遠藤が晩年に著したこの『深い河』は違う。この作品において遠藤は初めて答えを出す…「神の救いなど存在しない」と遠藤は叫ぶ。すなわち、大津は暴民のなかで無意味に死んでゆき、磯辺は最愛の妻と再会することもなく物語は終わる。

しかし、この全く救いのない現実のなかで、遠藤が伝えたい真実は明らかである。「真似事の祈り」しかできなかった美津子が口に出して言うまでもなく「信じられるのは、それぞれの人が、それぞれの辛さを背負って、深い河で祈っているこの光景」なのであり「その人たちを包んで、河が流れていること…人間の河。人間の深い河の悲しみ。そのなかにわたくしもまじっている」のである。

さらに遠藤は童話作家の沼田を描くことで「人間の深い河の悲しみ」が人間だけではなく、ありとある生物、生命に繋がっていることを暗示する。このような汎生命主義の立場は従来の遠藤にはなかったもので、人が人を喰う地獄を見た木口が唱える阿弥陀経の一節「彼国常有種々奇妙雑色之鳥」がまことに印象的である。

幾人もの登場人物を描出しながら、物語はきわめて精緻に展開される。畢生の大作という言葉がふさわしい驚異の書である。
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No.26:
(4pt)

ガンジスへ

複数の人物の物語を平行して進行させ、それらをお互いに絡み合わせようという野心的な構想だが,いかんせん文庫本で350頁ほどの分量、どの物語りも中途半端に終わってしまった感が否めない。磯辺と美津子の出会い,美津子と大津の関係,三条夫妻の存在など,かなり不自然で強引な印象を受けた。

個人的に一番良く書けていたと思うのは磯辺が死んだ妻との思い出をポツリポツリと思い出していく過程である。やや奇をてらった感のある他の登場人物より、こういうどこにでもいる、それでいて他人には決して共有できない悲しみを背負った人間が一番胸に迫った。

しかしこの本のなんとなくまとまりの悪い感じは混沌としたヴァラナシの街、さらには人間そのもの,そしてそれらすべてを包んで流れる「人間の河」、ガンジスの流れのイメージへとつながっているようにも思う。

結局この本のメッセージは「ガンジス川へ来い」ということかも知れない。私はこの本を読んで、来年の休暇はヴァラナシに行くことに決めた。
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No.25:
(4pt)

深い河を読んで

人生に意味を求め、インドに向かう日本人観光客ら。

この本の中で、登場人物たちは答えを見つけたのか。

「はい、これが答えですよ」とは書かれていない。

だから、読んだ人はきっとインドに行きたくなります。自分で確かめてみようか、ガンジス河のほとりにたたずんで、心静かに、自分の生き様を見つめようかと思わせる本です。
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No.24:
(4pt)

遠藤周作のキリスト教観が心地よい

キリスト教に汎神論をくわえた遠藤周作独自の解釈がストーリーの芯になっている。主題の性質上、死、愛、宗教、輪廻など、いわゆる「重い」題材が多く含まれているけれども実は読みやすい。

 物語の主な舞台をインドにしたことも含めて、やはり遠藤周作は素晴らしい書き手だと思う。僕は、遠藤周作が『イエスの生涯』で示した「『奇跡』抜きでもちゃんと成立するキリスト観」が大好きなので、この本も一気に読んでしまった。

 登場人物の「ヨーロッパの考え方はあまりに明晰で論理的(中略)、東洋人のぼくには何かが見落とされているように思え、従いていけなかったのです」という言葉と、「善悪不二」という仏教用語が印象的。

 読みやすさとの引き換えだから仕方ないのだけど、そんなにドラマチックにしなくてもと思ったのと、あと少しだけ話のつづきを書いていて欲しかったので★4つ。
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No.23:
(4pt)

すべてを抱擁する河

インド出張に合わせ読んでみました。

妻をなくした主人公の一人がその妻の生まれ変わりを捜して

インドの辺境の村を訪ねるまで、また、戦争中ビルマのジャングルで

飢えと一緒に戦った戦友の秘密に迫るまで、等それぞれの独自の物語

が進行し、ぐいぐい引き込まれます。一人一人が持っている宿命や業

をすべて引き受けるかのように深い河が流れている。読みながらとても

静謐な時間を持ち続けていたような気がします。

著者はいわずとしれたキリスト者ですが、その彼が最後にたどり着いた

テーマの舞台がヒンズー教のインド、というところが面白く、でも

不思議に納得がいきました。
深い河 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:深い河 (講談社文庫)より
4062632578

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