白鳥とコウモリ
評判
白鳥とコウモリの評価:
4.09/5点 レビュー 265件。 S ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全194件 101〜120 6/10ページ
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白鳥とコウモリの評価:
4.09/5点 レビュー 265件。 S ランク
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本書の登場人物のほとんどが「良い人」。「良い人」であるがゆえに悩み、「良い人」であるがゆえに口をつぐみ、「良い人」であるがゆえに法を犯してしまう。そしてその行為を見た「良い人」も悩み、沈黙し、別の法を犯してしまう。不条理といえば不条理。それでもそれも現実。思うに良い人の一番の敵は「時間」かもしれない。その時はそれで納得できているのだが、時間とともに関わる人が増え、また人の気持ちも変わり、さらに自分の心の中で蓋をしていたものが徐々にほころびはじめる。やがて、それが本当に正しかったのかどうか、自問自答を始める。後悔の念が襲ってくる。苦しくなる。
そんな多くの「良い人」の中に、本当の「クズ」がいる。ここに登場する、弱者に投資を唆し不当に仲介収入を得ていた男がそう。ただ、もう一歩踏み込んで考えてみるに、この男も子供の頃からこのような「クズ」であったとは思えない。この男の生い立ちがどのような経緯で、大人になっていく間にどんな境遇であったのか。その「クズ」を取り巻くすべてのものが彼にどのような影響を与えたか。そこに、この「クズ」をクズたらしめる要因があったのではないか、、、とか、考えてしまうのだ。
むしろ、この「クズ」より怖いと思ったのが「人を殺してみたい」「殺人に興味がある」という動機で行われた殺人事件の加害者。ホントにそれらが殺害の主たる動機ならばこれは怖い。ただ、そう思うのと実際に行動するのには大きなハードルがある。そのハードルを越えるきっかけが「復讐」だったりするのか。いやむしろ、「復讐」は一つの言い訳だったり、思いを遂げるための「きっかけ」を探していたということであれば、それはそれで怖い。
『白鳥とコウモリ』というタイトル。いろいろな解釈ができると思うが私はこう思う。
『白鳥』とは、ここに登場する「良い人」すべてだ。したがって、被害者家族も加害者家族も皆『白鳥』なのだ。たまたま、そういう境遇が自分の身近に起こっただけなのだ。
そして憎むべきなのは、例えば、「交通事故を起こしたことを会社に報告したことで会社内の査定に響いてしまうという事実」とか、「殺人事件の加害者の家族ということで社会からさまざまな形で非難を浴びてしまう事実」とか。このような「社会的制裁」や「忖度」「同調圧力」みたいなところだ。そして、この「社会的制裁」や「忖度」「同調圧力」みたいなのが、まさに『コウモリ』なのだ。この『コウモリ』は、黒でもなければ白でもない。一言でいえばグレー。そして、動物でもなければ鳥でもない。時と場合によって、様々な形に変えて襲ってくる。
人間が集まって社会を形成し生活をしていると、ふとした拍子に、どこかで何かの形で、目の前に現れてくる。実に嫌な奴。そして、この『コウモリ』のタネは自分自身の心の底に常に抱えているのかもしれない、ということも含めて。
「実に東野圭吾らしいな」というのが、読後の最初の感想。
ただ、なんとなく既視感のようなものが否めない。それは、ストーリー的に『容疑者xの献身』を彷彿させるし、シチュエーションが『手紙』のようでもある。さらに、隅田川や人形町などが出てくると加賀恭一郎シリーズが嫌でも頭をよぎる。
それでも良く練られている。面白かった。一気に読むこともできたが、いろいろと考えながら、行きつ戻りつしながら読んだので今回は時間がかかってしまった。
読んだあとに、本のカバーを外して、そこでまた驚かされた。