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銀河英雄伝説10 落日篇
銀河英雄伝説10 落日篇
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銀河英雄伝説10 落日篇



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銀河英雄伝説10 落日篇の評価: 4.76/5点 レビュー 21件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.76pt
Created with Highcharts 5.0.100件0.00%0件0.00%0件0.00%5件23.81%16件76.19%得点得点☆1☆2☆3☆4☆5


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
12>>
No.21:
(5pt)

一つの時代が終わった

そして一つの物語も終わった。

第1巻から10巻、いやーそれにしても長く楽しませてもらいました。
最後の最後は少しあっけなく、でもそれなりに感動の終焉を迎えた。

何十万人?何百万人の生命を犠牲にして勝ち取ったものはそれだけの価値を有すのかが問われるのはこれから先の人類の行動にかかっている。
よく言う新たなスタート地点に立ったと言う事だろう。
現実世界でも国家や宗教の対立や抗争は枚挙にいとまがない。
人間達のなんと愚かなことか。しかし渦中にいる、巻き込まれている人達には選択肢が無いのかもしれない。
平和な現代の日本にいてはわからないことがあまりに多いのだろう。
でも、でもでもでも‥‥
考えさせられるキッカケになった。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.20:
(5pt)

①〜⑩までのレビューになります

全巻通してスピード感がありとても面白いです。
著者らしくめちゃくちゃ死にます。狂信者も怖いです。
アルスラや創竜伝に比べると文章がかため。
アルスラや創竜伝に比べると登場人物が多いうえ退場も激しいので誰だっけ?となりやすいかも。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく歴史は続くエンドかなと。
戦闘シーン戦術シーンがとても面白いのでそういうのが苦手な方はおすすめできません。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.19:
(4pt)

夢の終わりに、皇帝は何を見たのか

壮大なスペースオペラの完結編のようです。
続きが気になって気になって、あっという間に読み終わりました。

しかし、最後のほうは寂しかったなぁという印象。
戦争を繰り返して勝利を掴み、とうとう宇宙まで手に入れたラインハルトは、結局夢を叶えられたのか。

物語の最後の最後、彼の一言で本当は何が欲しかったのか分かった気がしました。

落日編というタイトルに相応わしく、それでいて新たな始まりを感じさせてくれる素晴らしいラストだったと思います。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.18:
(5pt)

本編終了…ここで終わるのか…

歴史というのは過去となったから残せるものがあるということ。
 本編終了。ここで終わるのか…。アニメ見て分かっていても、ああ、ここで終わるのかという感じ。伝説がリアルな今になって、さあ明日どうしようになったような感じなのだ。
 いずれにせよストーリーには触れられないのにレビューってなんよと思いながら書き続けてきたけど、みんな読んでほしい。それしかないのであった。
 これから外伝に入り、余韻を楽しむことにする。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.17:
(5pt)

本編・・最終巻

銀河英雄伝説を読むのは、2回目であるが、やはり寂しさを感じる最終巻である。結局・・ままでの戦いは、宇宙を統一するまでの話では終わらずに・・ラインハルトの死で終わりを迎えるのかと・・。
しかし、時間は止まらず・・これからの帝国・共和国がこれからどの様になって行くのが知りたい所ではあるが・・本編の中に、少しずつその方えがあるのかもしれない。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.16:
(5pt)

本作の主人公は誰か

銀河英雄伝説の主人公は誰か。通常はラインハルトとヤンとするのが普通だと思う。
しかし実は銀河英雄伝説は3重の入れ子構造になっている。

ラインハルトとヤンおよび周囲を取り巻く英雄達自身の視点。
それを同時代の証言者として見つめるユリアンの視点。
さらにそれをある程度の時間を隔てて見つめる後世の歴史家達の視点。

この3つの視点を行ったり来たりすることで、読者は本作をラインハルトやヤンという主人公の独白劇とも見なせるし、ユリアンを主人公とする口承文学とも見なせるし、さらにそれらを包含する後世の歴史家による歴史劇とも見なせる構造になっている。

ユリアンは英雄達と後世の歴史家をつなぐポイントとなっており、ただ単に主人公の1人であるに留まらない非常に重要な役割を担っているのである。

本作品の第3の主人公であるユリアンの登場は、英雄たちの時代の終わりと歴史の始まりを示す転換点となる。

それは、物語後半に入り、後世の歴史家の視点での語りが多くなってくることからも暗示される。おそらく作者は意図的である。

そもそも本作の第1巻は、2801年に西暦が廃止され、宇宙暦が開始してから800年間の歴史劇を概略するところから物語が始まる。最初は悠久たる大河のようであった歴史の流れが、本作の舞台となる僅か数年間、転変極まりない激流に変わり、視点はズームアップして生き生きと躍動する英雄達のドラマを映し出す。そして物語終盤では再び大きく引いて俯瞰する視点に変わる。あたかも幾世紀を隔てた歴史上の人物達を歴史書越しに覗き込んでいるような視点に、徐々に変わっていくのである。

恒星間国家が倒れても、人々の営みだけが変わらず続いていく。ユリアンは英雄達の激動の時代が終わったことを示すために最後に舞台中央に現れ、ドラマの幕を引いて舞台から去っていく。

無数の後世の歴史家たちが、やがてラインハルトとヤンという2人の傑出した天才とその周囲の群像劇を記述していくだろう。
ユリアンはこの舞台の終幕を演じる役者であると同時に、同時代に立ち会った歴史の証言者の1人として後世の歴史家達に肉声を伝えバトンを渡す役割を担っている。

かつてヤンに憧れ民主政治を守護する軍人を志していたユリアンであるが、最終巻では軍事指導者を退き歴史家を志すであろう事が示唆されている。劇中の当事者から客観的な観察者への転換である。

ユリアンは器用貧乏と表現される事がある。戦略はヤンに劣り、空戦はポプランに劣り、格闘戦技はシェーンコップに劣る。
また、軍事指導者としての資質は、ヤンの描いた路線の極めて忠実な継承者ではあったが、それを超えるものではなかったとも後世の歴史家からは評されている。

しかし本作の通奏低音となっているテーマは、「国家でさえ、自由と民主主義という価値観でさえ永遠のものではない」というものである。ユリアンやヤン艦隊の人々が血を流して勝ち取ったハイネセンの内政自治権ですら永劫に続く保証はない。カリンがいみじくも言い当てたように「たったそれだけ」のことなのである。
しかし同時に、ヤンがシェーンコップに語るように、たかだか数十年の平和、その「短い平和はその1/10の期間の戦争より勝る事、幾層倍か」の価値を持っているのだ。

ラインハルトのような歴史の主体的な創造者であった事はなく、常に制約された役割と権限の中で必ずしも望まない役割を演じることを強いられたヤンと、更にその忠実すぎる後継者としてヤンのデザインした政治・軍事的均衡の舵取りという針の穴を通すような難しい役割を任されたユリアン。
しかし、そこに現れたユリアンの軍事的・政治的才幹をヤンやラインハルトと単純に比較して地味なプレイヤーだねと言い捨てる事は、実はあまり意味はない。

ユリアンはこの灼熱した数年間を生き抜く中で、いつしかその記憶を後世に残すのが、この時代を生きた者の義務であり責任であると思うようになる。
ヤンが志しつつも実現できなかった歴史の伝道者としての可能性をユリアンは大きく開花させるのである。
それは、たかだか数十年の平和と民主政の価値をハイネセンに置いて守り抜く、ということ自体の価値もさることながら、その尊さを控えめに照れ臭そうに語ったヤン・ウェンリーという1人の思想家がいたことを後世に語り継ぐ、という点に意義がある。
ユリアンはヤンの政略・戦略面の弟子だと見るといささか狭く見誤る。ヤンが伝えたかったことを受け継ぐ真の意味での後継者なのである。

最後に、旧アニメ第1期で、小椋佳が歌うエンディングテーマ「光の橋を越えて」における印象的な描写を指摘したい。
「光の橋を越えて」をBGMとして、ユリアンはヤンとともに歩み、ヤンに導かれて様々な人々と出会い、別れていく。ユリアンの前に現れる人々は等身大で、ユリアンに挨拶を投げかける。ユリアンはここではあくまで劇中の当事者だ。

しかしやがて父以上であり師以上の存在であるヤンとも別れたユリアンの前に、まるで映画館のスクリーンいっぱいに大写しになったかのようなラインハルトが現れる。ラインハルトは一瞬、ユリアンに視線を向ける。その瞬間、ユリアンとラインハルトの人生は交錯する。ユリアンはその刹那、確かにラインハルトと同じ劇中の当事者であった。

しかしラインハルトはやがて遥か遠くに目を向ける。ユリアンは、いつしか舞台を降り、ラインハルトをいわば映画の中に登場する、歴史上の巨大な存在として眺めているところでエンドとなる。もはや劇中の当事者ではなく、観察者に立ち位置が変わっているのである。
ラインハルトは、「英明な独裁者による専制政治と腐敗した民主制のどちらがましか」という、簡単には解けない命題をユリアンに突きつける。その解答を見出す使命は後世の歴史家、あるいは現代を生きる私たち自身に委ねられるだろう。

英雄達の伝説の終わりと、歴史の始まりを象徴する幕引きではないだろうか。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.15:
(5pt)

日本SF小説史上の最高傑作

銀英伝でヤンやラインハルトを「普通の人」呼ばわりしてる理解力の低い輩がいるようですが、人間の集団というのは極めて愚鈍であるという現実を知らないのでしょうか?
かつての日本帝国を持ち出すまでもなく、例えば現在の日本でも
中国や北朝鮮と軍事同盟を結ぶ、といった戦略的柔軟性のある
政治家や官僚が一人でもいるでしょうか。
日米同盟は永遠で現在の日本国のあり方が永遠だと
あなたも信じているのではないですか?
それってゴールデンバウム王朝の貴族や臣民、フェザーン、
同盟の市民たちと同じ思考の硬直ですよね。
この体制は永続すると。人が必ず死ぬように国家も必ず滅ぶ。
銀河英雄伝説で繰り返し語られる警句ですが、
ヤンやラインハルトを「普通の人」呼ばわりしてる人はこの点を
読み落としているのではないでしょうか。
国家は巨大な互助会であり、人の暮らす上での道具に過ぎず、まして人の上位者ではありません。
ヤンやラインハルトは傑出した戦略的・政略的柔軟性を
備えた稀有な天才であると理解できたでしょうか

ラインハルトやヤンと戦い破れた敵将らは軍事常識的に極まっとうな
思考経路を辿っている。これを引き立て役として
愚将やら痴将呼ばわりしてるのは
個人戦闘と大軍の指揮官を混同してる阿呆だけだろう

銀英伝の戦闘が三次元的ではないという的はずれな難癖してる
輩の同類であろう。
よく読解力の無い輩が銀英伝の戦闘は宇宙なのに二次元的だと笑ってるが、
それこそ失笑ものの感想だ。
宇宙の大艦隊戦だからこそ表記が二次元的なのだ。
戦艦と言えど、ある程度まとまってなければ戦力として意味がないのが銀英伝だ。

自然、数千隻~数万隻の群団として動くため、天頂方向から俯瞰してみれば
動きは二次元的に制約さる。上や下から攻撃しようとしても
何万隻もの艦隊戦では隊列がいたずらに伸び遊兵を作るだけで意味がない。
つまり、近世的な散兵方式ではなく
中世的な集団戦法にならざるを得ないのが未来の宇宙における艦隊戦なのだ。

また銀英伝はラノベではない。まったくもってライトではないし
元々が新書で発売された重厚な「小説」である
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.14:
(5pt)

完結?

10巻ある長い長い物語がいよいよ完結する?確かに物語は終わる。すでに退場
したヤンに続き、ラインハルトも天に召される。その散り際に合わせて、多くの
脇役たちが逝き、残されたものは、これからの物語を紡ぐために自身の立ち位置
を探る。実際は、わずか数年の激動を描いたに過ぎない物語であるが、この10巻
は一気に寂寥の感を漂わせる。
「腐敗した民主主義」と「名君による専制政治」に対しての、解はない。わずか
にユリアンの示した策がその処方となる可能性を秘めるものの、しかしそれとて
もヤンが喝破したとおりに、人類の歴史に永遠の平和などないということの証左
としてしか成立しえない代物なのであろうか。結局、物語は完結しない。この解
なき解に対峙したまま、続いていくのであろう。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
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No.13:
(4pt)

三国志の孔明没後

田中芳樹『銀河英雄伝説 10 落日篇』(創元SF文庫)はスペースオペラの最終巻である。主要キャラクターの多くが退場していき、物語が小さくなっていく。ストーリー展開は全く異なるが、三国志の孔明没後を読むような寂しさがある。

二人の英雄のうち、ベッドの上で亡くなることが似合わない方がベッドの上で亡くなり、他方が非業の死を遂げたことは皮肉である。ラインハルトと比べるとヤン・ウェンリーは普通の人に見えるが、上昇志向を持たない点ではヤンの方が常人離れしている。西郷隆盛は「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るものなり」と述べた。上昇志向のないヤンはラインハルト以上に始末に困る存在だったのだろう。

率直に言って新帝国は前途多難である。大波乱があっても不思議ではない。内政の方針は公平な裁判と公平な税制というシンプルなものである。それが実現すれば素晴らしいが、末端の役人にまで徹底できるか。次代を担う最高幹部クラスでもグリルパルツァーのような存在がいる。

また、公平な裁判と公平な税制で民衆の支持を得るためには、民衆側も意識が高くなければならない。公正な裁判と公平な税制の下での大不況と、不公平さがあるが好景気のどちらが良いかとなった場合、残念ながら現代日本人は後者を選択する人が多そうである。銀河帝国の民衆は現代日本人よりも賢いだろうか。

門閥貴族の没落は貴族だけの問題ではない。貴族御用達の商人も没落する。連鎖倒産や失業者が溢れる。旧社会主義国の失業者のように旧体制を懐かしむ民衆も出そうであるが、そのような描写は見られない。経済的な苦境よりも公平な裁判と公平な税制を歓迎するほど銀河帝国民衆の意識は高いか。

一方で経済面でもローエングラム体制には支持される要素がある。門閥遺族の財産没収で大盤振る舞いできるためである。しかし、門閥貴族の没収財産と言えども汲めども尽きぬ魔法の泉ではない。それに頼るだけでは後に財政難に苦しむことになりそうである。江戸幕府は四代将軍までに使い果たしてしまった。

人間ドラマとしてはオーベルシュタインが「平時に乱を起こす」と評されたキャラクターである。オーベルシュタインが生きていたら、陰謀が続きそうである。その意味では本書のオーベルシュタインの行動は謎であり、オーベルシュタインらしくないと言えるが、不穏分子を残さず、物語を完結させるという作者の意思の現れであろう。これはロイエンタールにも該当するだろう。

もしオーベルシュタインが生きていたら、ウルリッヒ・ケスラーとの権力闘争が起きたかもしれない。ケスラーはマリーカ・フォン・フォイエルバッハとの恋愛の印象が強烈であるが、憲兵総監であり、平時の軍権力者としての実力を有している。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
4488725104
No.12:
(5pt)

伝説の終り、そして歴史へ

その昔、たまたま深夜アニメで観たのが、この作品を読むきっかけだった。
アニメはまだ序盤だったと思うが、早く先が知りたくなり、出版されていた小説を購入し、新刊が出るたびに読みふけった。
未来の銀河系を描く壮大なドラマという点だけでも引き込まれるが、現在を生きる我々にも共通する普遍的なテーマも含有した物語であるという点が、この物語をさらに深いものにしている。
「国家」「正義」「思想」「自由」「政治」「権力」・・・・・こういったことも考えさせる。
読み終わって何年も経つというのに、最適な答えは見つからないままだ。。。

また、第2巻のレビューでも述べたように、この作品のもうひとつの魅力は、登場人物の多彩さである。
帝国側、同盟側(それと、フェザーンや地球教徒も)それぞれに、魅力的なキャラクターが登場し、宇宙狭しと活躍する。
破たん無く、これらキャラを区別し描き切る作者に脱帽する。

作者に脱帽といえば、田中芳樹の文体の格調高さ、セリフまわしがまたすばらしい。
読者はこの作品から、忘れることができない多くの名言を得るだろう。
全10巻と長編だが、ストーリー・登場人物・語り口が、読者をきっと最後まで引っ張って行ってくれるだろう。
オススメする小説のひとつである。

なお『銀英伝』は、「外伝」も出ている。もちろん全て読んでいるが、それはまた別の機会に。

・・・・・・伝説が終わり、歴史がはじまる。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.11:
(4pt)

三重奏の最終楽章

右に黒い巨人、左に自称“フライングボールの反則王”たる撃墜王、若き一角獣(ユニコーン)は駆け抜けた。

第3の主人公であるイゼルローン革命軍総司令官ユリアン・ミンツ中尉と専属護衛武官とも言うべき“気は優しくて力持ち”のルイ・マシュンゴ少尉、衝動的に「動くシャーウッドの森」に参加するも女性ひでりのダヤン・ハーン基地からユリアンに同行する空戦の師匠オリビエ・ポプラン中佐。この3人は戦場で彼らに敵対し戦った相手にとっては凶悪なトリオだったに違いない。ダヤン・ハーン基地以降、この3人の道行きはすっかりお馴染みになった。ユリアンにつき合い“不愉快だなぁ、どうも。何がって地球といい、ここといい、床に足をつけて戦うことに慣らされてしまった! こんな不愉快なことがまたとあるか!!”と盛大に悪態をつきつつ大暴れし、イゼルローン要塞再奪取作戦に貢献したのだからポプランは本当につき合いのいい奴だなぁ。

ユリアンらは「薔薇の騎士(ローゼンリッター)」連隊にすら敬意を表される“危険な三重奏の小楽団”だった。帝国軍総旗艦ブリュンヒルト突入による今世紀最大の死闘を最後の舞台としてマシュンゴが文字通り、我が身を盾にユリアンを守って散華し最後の演奏を終えた。マシュンゴを失った怒りと悲しみの二重奏を奏で、キスリングに格闘を挑んで前進を助けたポプランに応えラインハルトとの会見というソロを演奏してユリアンは講和を成立させた。居残り組のアッテンボローを加えてフェザーンに赴きヤン・ウェンリーの仇であるド・ヴィリエ大主教を含む地球教の最後の一群に対する復讐の完遂を機に、ポプランは孤独でも自由を欲してユリアンに別れを告げ離脱した。そして、歴史研究家を志すユリアンとイゼルローン共和政府の帝国に要塞を返還しバーラト星系の懐かしき旧同盟首都星ハイネセンに拠点を移しての民主共和制を芽吹かせるための戦いが始まる。

平凡社『世界大百科事典』第28巻の「弁慶」の項目に“《盛衰記》になると、弁慶は、〈色白く勢小さき〉義経の身にそう影のごとくに、しかも〈色黒く長(たけ)高き〉法師としてえがかれて、事あるごとに義経は弁慶を頼りにしているように叙述されている。”とある。図書館でこれを読んだ時、私はユリアンと彼に寄り添うマシュンゴのようだと思った。

いつの間にかヤンの第2の旗艦になっていた強運の不沈艦ユリシーズだが、そのヤンの死後、本作の第3の主人公ユリアンの乗艦としてイゼルローン革命軍総旗艦になった。ユリシーズの最後の戦いこそ、民主共和制と専制の戦場における最後の激突でもあるシヴァ星域会戦だった。亡命者900名を乗せたニュー・センチュリー号の救援要請に端を発して帝国軍総旗艦ブリュンヒルトへの強行突入を果たし、ラインハルトとの直談判を為すべく艦内を駆け抜けるユリアン! そして彼の前進を艦の内外で支えたワルター・フォン・シェーンコップ中将とウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将は戦死、革命軍の次期総司令官に指名され総旗艦ユリシーズにお留守番と相成った“革命軍の黒幕”ダスティ・アッテンボロー中将が残った。戦死するか離脱するかして、革命軍やイゼルローン共和政府の人材不足に拍車をかけ、帝国側は無駄に豊富に人材を満たすなんて作者は民主共和制に恨みでもあるのだろうか? 王子様や王女様が好きなナイト・シンドロームに蝕まれているのは他ならぬ作者自身だと思う。

ユリアンの将来の花嫁にカリン(カーテローゼ・フォン・クロイツェル)を据えたのは不可解で不愉快だ。カリンの腐り果てた言動と根拠も無くユリアンが恵まれていると嫉妬して罵詈雑言を浴びせる姿に呆れたものだが、初対面のダヤン・ハーン基地で何も知らないくせに“何よ、あんな奴。”と呟いて初登場からしてクズキャラであることは明白だった。気が強いだけで片づけてはいけない。直接、彼女に関わるポプランら周囲が気づかないなどあり得ない暴言・暴挙の数々を彼らが叱責しないばかりか、何も起きていないかのような物語の展開は手抜きとしか言いようがない。これでは、ユリアンにただツンデレの彼女をあてがっただけだ
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.10:
(4pt)

亡命者たちの最後

メルカッツ提督は旗艦ヒューベリオンの指揮座で最期を迎えた。
ビッテンフェルト提督の黒色鎗騎兵は回廊の戦いで敗北した旧ファーレンハイト艦隊を含む。元の黒色鎗騎兵自体も同じ戦いで大敗している。
いわば、その仇を討った形だが、そのおかげでユリアン・ミンツはブリュンヒルトに突入を果たした。
ワルター・フォン・シェーンコップのトマホークは幾百の帝国軍人の血を吸っている。
ロイエンタール元帥とも互角に戦った勇者だが、ブリュンヒルトでの白兵戦で意外な負傷を負う。
その最期に脳裏に浮かんだのがカーテローゼ・フォン・クロイツェルの母のことだったのも伊達男の面目躍如というものだろう。
二人の亡命者は皇帝ラインハルトとユリアン・ミンツの会見のお膳立てを整えた。
そしてその主義に関わりなく、ヤン・ウェンリーの主義の実現をユリアン・ミンツに託した。
会見は実現し、亡命者たちの思いは報われる。そして伝説はラインハルトの死とともに幕を下ろす。
これで二人の英雄の物語は終わる。最期はラインハルトに精彩がないのが寂しい。
しかしキルヒアイスの死から良く立ち直ったがその後の人格には空虚さが漂う。
支えだったヤン・ウェンリーとの戦いがないのでは致し方ない。
その分、他の登場人物の活躍があったしそれが物語の厚みにつながっている。
なんにしても傑作であることに変わりはない。
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No.9:
(5pt)

最後まで目が離せない

大好きなこの物語が終わってしまうのかと思うと読見終えるのがためらわれました。
しかし、最後の最後まで銀河英雄伝説は素晴らしい物語でした。
キルヒアイス、ロイエンタール、ルッツ、メルカッツ、ヤン、ビュコック、そしてラインハルト・・・
これを読んで銀河に散った英雄たちの瞬きを思い出してください。
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No.8:
(5pt)

とうとう終わり

とうとう最後の巻を読み終わってしまったというのが正直な感想です。
読了の直後に改めて1巻からパラパラと眺めてみましたが、
この伝説には本当にいろいろあったんだなあと、
アルバムをめくるような想いでもう一度感慨深い気持ちになります。

ハッピーエンド、と単純に割り切れないのが
まさにこの小説が一貫して通してきた理念、思想の醍醐味でもありますが、
伝説の終わりは、悲しいだけも愉快なだけでもない、
それでいて、まあ、ともかくもこれでよかったのだと思えるような、
心にぽっかりあいた穴を見やりつつも、
どこか台風一過の晴天に似た晴れ晴れしい気持ちになれると言えるんじゃないでしょうか。

伝説を生き残った彼らなら銀河の歴史を支えていけると私は確信しています。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.7:
(5pt)

良い夢から覚めた気分

僕は今大学生で、高校まで本=漫画or雑誌でした。 ある日電車の中で本を読んでいる学生の方がたくさんいらっしゃったので、自分も何か本を読もうと、たまたま手に取っただけでしたが、すっかり虜になってしまいました。 要所要所で重要人物が死んだりしたら、それ以降読みたくなくなったりしました。 でもやっぱり気になって読んでしまうのです。 銀河英雄伝説は名前の華麗さに劣らず、壮大なスペースオペラです。 僕みたいに字体、言い回しが難しいと感じる人も、辞書片手に読んでみて下さい。 特にこの巻は最終巻なので、色々決着がつきますが、その中でも、新しい時代の始まりを感じさせる(ケスラーが奮闘する)一幕が好きです。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.6:
(5pt)

ガンダム小説よりも優れている

・10巻を読み進むうちに、宇宙時代に入る前の人類の歴史と、
 その先に続くであろう歴史の広がりを見つめたような気持ちを味わえました。

・宇宙空間に生活圏を広げた人間の物語という点で、
 ガンダムシリーズの小説と共通する部分がいくつかあります。
 -人と組織の関係の描写、政治組織に触れていること、宇宙時代に入る前の
人の歴史を俯瞰的に見た視点に立脚している点などが共通しています。

・ガンダムの小説より特に優れている点は、用兵の戦略、
戦術の描写が活き活きと描かれている点です。
-またガンダムが地球を物語の主たる舞台としているのに対して、
銀河英雄伝説では、地球はすでに過去の存在となっている点が大きな違いとなっています。
-そのうえで、現在地球にあるような宗教というものも同時に、過去の思想的商品として
歴史的評価を与えられている点も、画期的な表現に思えます。

・本書10巻の小説にわたって言えることは、登場人物の歴史的な人物評価など、
 同じ文章を何度も入れているため、若干くどいと思える部分があります。

・ラインハルトとヤンには、同じ結論を与えておきながら、
 個人的には納得のいく終わり方であったと感じています。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.5:
(5pt)

答えはまだ見つからない。

「腐敗した民主主義」と「名君による専制政治」、果たしてどちらが人類にとってより良い政治と言えるのか。
その命題を、不敗の策士ヤン・ウェンリーと、常勝の武人ラインハルトとの対比によって、壮大に描いた大作の完結編。

全10巻に渡るこの物語の真髄は、いわゆる兵器の擬人化や、超常的な力を持つ人間を一切登場させていないこと、そして、主人公たるヤンやラインハルトに至っても、歴史の一部として淡々と描いているところにあると思います。
分かりやすすぎる対立構造を用意しながらも、単純な勧善懲悪の物語としては書かれていない。かといって、勝ったほうが正義、という終わり方もしていない。
答えは作中で生き残った者達――つまりは読み手である私達に委ねられているのです。

ですから、分かりやすく、明快な決着を望む人には向かない作品ではあると思います。

とはいえ、絶対善と絶対悪の戦いなど存在しないことは、私達の生きる世界でも同じです。
日本にいるとなかなか戦争を身近に感じることなどできませんが、いつかその命題の答えを求められるときが来るかもしれません。

あまりの長さ、登場人物の多さに今まで敬遠していた人も、秋の夜長にチャレンジしてみて損はないのではないでしょうか。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.4:
(5pt)

田中芳樹氏の最高傑作、その「落日」

姉を後宮に奪われて体制の打倒を誓い、著しく社会的公正を欠く社会の民主的変革を行い、1万5000光年に広がる人類社会をほぼ統一した獅子帝ラインハルト(しかし、非常に可愛く、人間くさい。類を絶する美貌の所有者でありながら淡白なまでに性愛欲求の少ないのだ《ヤンも同じ》。読了後10年経つ《14,5歳のときに読了した》が、今となってはあれほど自身を投影しえたヤンよりも、可愛く思える《笑》。ヒルダ嬢と一夜を共にする直前の落ち込みようなど、私が慰められてあげられたら…と思ったほど《ちなみに私は男性です(笑)》。ヤンと同じくらい、あるいは今ではそれを上回るくらい、友人になりたいキャラクターである。ラインハルトという人は…)と、その巨大な波頭から民主主義をたとえいくら小さくとも良い、民主政治の体制と建前を残そうとして、自らを、戦乱のなかで巨大な業績を上げえた-=大量の殺人を犯した-罪人と見なしながらなお、「硬直した思考」として本人は、少なくとも軍事戦略から徹底排除した「信念」に殉じたヤン・ウェンリー、二人の男の命の燃焼(何と輝かしい命か!!)を中心に織り成す銀河系ドラマは、ワーグナーの「指輪」のような壮大さを活字で表現している。

日本語の読み書きができる者でこの作品を読まぬは一生の不覚と思う。
ぜひ、ご一読願いたい作品である。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.3:
(5pt)

読み終わった後頭の中はぐるぐるぐる

はいはいをしていた頃から本は読んでいますが、読み終わった後いても立ってもいられないほどのめり込んで読んだ本はこれだけです。
 もう終わってしまったというのが残念で、でも、最後の一行がもうかっこよくて、全部が凝縮した感じで。
 SFであり、歴史小説であり、私はどちらのジャンルもあまり読みませんけど、これだけは特別です。
 この小説に出会えたことは、私の人生の財産だとさえ思います。
銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説〈10 落日篇〉 (トクマ・ノベルズ)より
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No.2:
(5pt)

涙が出るでしょう

最終巻を読み進めていくと、ロイエンタールが死んだときに
瞼が熱くなり、
ラインハルトが崩御する時、涙があふれていた。
それまでに散っていったキャラクターに思いをはせ、
そしてこの物語が終わってしまうことに・・・
いまだに思い出します。それは気持ちのいい涙だったなと。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)より
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