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王子を守る者



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【この小説が収録されている参考書籍】
王子を守る者 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1455)

王子を守る者の評価: 3.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

ちょっと初めから終わりまでビターテイストですが、英国風の人間観察の効いたウェルメイド作品

入り組んだ小説だった。
 簡単に言えば①ロミオとジュリエット。タイトルロール通り、イギリスの王子様とアメリカの大富豪の令嬢が出て来てこれがモンタギュー家とキャピレット家の令息令嬢役。そして型どおり、お嬢様のおじい様はアイルランド独立運動に血道を上げて孫娘がこともあろうに大英帝国の王族と結ばれることなど許すわけがない。
 ②王子様のもと護衛官だった警官のいざこざ。娘と警官の仲はその母=妻の死を巡って家庭崩壊。
 ③フリーメーソンを舞台とした秘密結社がある目的を持って①に関与するがそこに②がからみ、同時に②と③、①と③が別々に関係を持っていてそれが後半になって化学反応のように展開していく。
 読解力なき筆者です。
 最初の30ページでつまづいてしまい、「なんなのこのごたごたした小説は」と2か月ほっぽらかして初めから10ページずつ読み直し、80ページまで行った所でやっと全体のペースというか「こういう風に次々と登場人物が出てくるグランド・ホテル型の小説なのか」「それでこの展開はかなり面倒だけどなんとかついていけそう」とギアが掛かった。
 誰もが知っているフリーメーソンもので「しかしこれほど有名な秘密結社ってもはや公知の存在だろ」と思って読んでいったら、これが読んでいて途中で我に返って呆れるぐらい人が消される。
 こんなに景気よく人を抹殺していてはいくら何でもなりすぎではないかと不安になってきた⅔の所で転換点が来て後半⅓はジェットコースターだった。
 文句のつけようもない見本のような展開をたどり、英国式の人間観察もここぞという所ですかさず人生の機微に触れてくる
 ・自分はたんに結婚を恐れているのだ!(と王子様が自分のヘタレっぷりに気づく)
 ・パンツ姿の自分を見て、意外な出来事に当惑している人物を見ても、顔につけているように習慣づけられた微笑の仮面のまま「お二方、私になにかできることでも?」(ここらへん英国のお貴族さまっぽいなあ)
 ・俺は権力を得るに必要な金を稼ぐ才能がない。軍隊で中程度の階級以上に出世する能力がない。
 ・売春は仕事として限界があるだけのことを認めるだけの知性があった。
 ・チャンピオン同士がぶつかるときは、俗人は雷に震えるだけである。
 ・大事な事から話したいの。同じ気持ちでいるの?好きだとか、ベッドに飛び込むつもりとかそういうことではなくて、一生一緒にいたいのか、一緒にいないと一生が空虚なものになるのかという、そういうこと。
 人生をマネージする上でどういうことかをきちんと定義する、そうした人生に対する見切りがあって感嘆これ久しくした。
 とはいえ申し訳ないが、お約束通りのハッピーエンド(これぐらいはネタバレとはいえないでしょう?エンタメなんだから!)にも関わらず、あまり後味は良くなかった。やはりそうした秘密結社らしきものが監視したりしていたりするかもしれない世界観はあまり心地よいとは思えない。(と監視カメラが世界中を見張ってる40年後の未来にいるわけであるが…)
 他のレビュアー様も言われるようにちょっと込み入っていたり、これはのちに巨匠になるレジナルド・ヒルには習作レベルで、この先に傑作が控えているのだろうが、これが筆者には初めての彼の長編だった、という所も関係しているところがファースト・コンタクトとしてはアンラッキーだったのかもしれないが。
 ところでイギリスの王子様とアメリカ娘、という取り合わせはこれまた2020年代にチャールズ3世の第二王子という実例が発生したが、自然は芸術を模倣する法則どおり、現実の喜劇的展開は、到底この小説のヒロインの聡明さも気品もない状態のようであることと対比して読むのも面白いかもしれない。もっとも、こんなことも2060年代には何の意味もない過去になってしまうのであろうけれど。
 という訳で、今度は筆者パスコーとダルシールものをこれから読んでみようと思います、という一見さんの感想だった。
王子を守る者 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1455)Amazon書評・レビュー:王子を守る者 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1455)より
4150014558
No.1:
(3pt)

巨匠、初期の習作サスペンス

イギリスの海浜で舌が見つかり・・・というお話。
上記のような発端から話がどんどん広がり、国家間の陰謀が明るみにでるという謀略小説風サスペンス。とても面白く読みましたが、個人的な感想を言えば、個々の断片的なエピソードはそれぞれ面白いけれどそれぞれのエピソードがそれぞれどこに繋がるのかがイマイチ判然とせず、少々読みにくかったのも真実です。こういうことを書くとお前の読解力に問題があるんだ、馬鹿めとかいわれそうですし、実際そうですが、私のような読後感を持った方も少なからずいらっしゃるのではないかとも思いましたがどうでしょうか・・・。
それとは別にキャラクターの造形などはやはりお見事で各登場人物ともに実在感、個性等がよく描きこまれており筋が判りにくくともキャラでなかなか面白く読めました。
この後、偉大な作品を書く巨匠の習作。この人のファン向けでそれ以外の方はお暇ならどうぞ。
王子を守る者 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1455)Amazon書評・レビュー:王子を守る者 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1455)より
4150014558

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