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(短編集)
殺人花壇
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殺人花壇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
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本書は1972年7月サンケイ新聞社出版局から初出版されたもので、1996年5月に徳間文庫から再出版されたものです。七作目の「小説代理業」は、森村氏としては珍しいユーモア小説です。 「殺人花壇」 早瀬君男は、東都大学生化学教室の教師である。睦子から、その連絡があった時、喜び勇んだ。何故なら、またあの豊満な体を飽食出来るのだと思ったからだ。睦子には、一人息子がいる。睦子が、良い場所が見つかった、と言って行った所は、託児所付きのホテルだった。いつも息子の様子を心配しながら行為に及ぶのは、少なからず味気ないものがある。だが、このホテルなら心配ない。安心(?)出来る。ところが、とんでもない事が起こった。厨房から出火した炎が、初期消火も空しく、ホテル全体を炎で覆いつくしたのだ。託児所は、最上階にある。早瀬は、避難しようと言うが、睦子は、子供を心配して最上階へ向かった。そして、子供と共に焼死してしまった。宿泊名簿から、焼死した母子に連れの男がいることが分かった。炎を恐れず、子供を助けに行った母親とは対照的に、子供を見殺しにして逃げた男に、世間の非難が集中した。早瀬は、そのニュースに怯えた。何故なら、早瀬が所属する教室の東教授令嬢との間に、縁談話が進んでいたからだった。その最中に、人妻と不倫の情事に耽っていたらどうなるか。その結果を予想するだけで恐ろしくなる。だが、逃げた男の行方は、発覚すること無く済んだ。半年後、教授令嬢との結婚が成立した。新婚旅行は京都へ行った。二条城近くの最新のホテルである。そこで、早瀬は、以前に見たことのある人物に気が付く。それは、火災の起きたホテルのホテルマンの顔だった。それから、早瀬は、フロントマンの存在が、気になって気になって仕方がなくなる。思い余って、名も知れぬホテルマンを生かしてはおけないと思うようになるのだ。だが、ホテルマンは、早瀬のことなど、全く記憶に無かった。早瀬は、衣服に付いた花粉によって犯人に特定される。テレビニュースは、大々的に早瀬の事件を放送した。残酷極まりない殺人犯として。不倫の代償は、余りにも大き過ぎた。 「殺意の重奏」 三宅明は、東京日本橋にある大手商社、共生物産経理課に勤務している。経理課長、篠崎に遠縁の娘を紹介された。その娘は、同じ共生物産総務課にいる立花弓子であった。寂しそうな翳があるが、優しい面立ちでプロポーションも良い。交際が始まり、すぐにプロポーズした。結婚披露宴には、社長や専務までが出席してくれた。それは、三宅の顔によるものでは無く、篠崎の社内における実力を示すものだった。重役たちの信頼も厚く、部長昇進も時間の問題とされていた。三宅は、結婚という緊密な繋がりを持って、篠崎のヒキを得ることが出来た。将来は、保証されたようなものだった。結婚と同時に社宅へ入った。他の社員たちが入っている団地のようなものではない。会社が金を出して借りてくれた民家である。三部屋ほどの小さな平屋だが、ホヤホヤの新夫婦には、庭付きで広すぎるくらいであった。二人の熱々の新生活がスタートした。弓子は、音楽が好きで、嫁入り道具に、かなり豪華なコンポーネント型のステレオを持ち込んだ。ポピュラー音楽が好きで、好みのレコードを毎日聞いていた。三宅は、歌謡曲は好きだが、ステレオには興味がない。だがよく見ると、弓子が持ってきた嫁入り道具の中に、どこかで見たことのある物が入っていた。それは、チャックフィールドのレコード“ひき潮”とフランス製のレコード静電気防止スプレーだった。また、三宅は、それが何処で見たものかも思い出した。それは、元、同じ経理課の秋本忠雄の部屋だった。元と言うのは、秋本は、半年ほど前にアパートの自室で何者かによって、殺害されていたからだ。犯人は、まだ捕まっていない。秋本が死んで、代わりの者が秋本の帳簿を引き継ぐと、一千万円ほどの穴が見つかった。死んだ秋本は、日を遡り懲戒解雇処分とされていた。その秋本の部屋で見たのだ。秋本も洋楽が好きで、“ひき潮”のレコードとフランス製の静電気防止スプレーを持っていた。日本に数本しか輸入されていないものだ、と自慢していたのも覚えている。三宅は、秋本の部屋で、それを見ていた。何故、弓子が同じ物を持っているのか?仕事に潔癖な秋本が、本当に帳簿に穴を開けたのか?何故、篠崎は弓子を三宅に紹介したのか?それを考えると、三宅は、恐ろしいほどの寒気を感じた。美しい妻と優秀な上司の化けの皮は? 「虫の息」 F市から離れたモーテルから帰る車の中で、男と女が悪魔の会話をしていた。男は市内の開業医、菊地昇平で、女は、同じ市内の地主、大橋豊吉の妻、小夜である。小夜は、元銀座のホステスで、遊びに来た大橋に見染められ、後妻に据えられた。親と子ほどの年齢差がある。小夜は、菊池の子を妊娠したと言うのである。大橋は、先祖伝来の広大な農地を所有している。最近の土地開発ブームに伴って、地価が高騰し、数億円を超える資産となっていた。だが、二年前に脳溢血の発作を起こし倒れた。絶望と思われたが、奇跡的に助かった。しかし、重い麻痺が残り、いつ再発しても不思議ではなかった。菊地と小夜は、その時を待って、財産を相続し、結婚するつもりだった。ところが、小夜が菊地の子供を妊娠したとなると、相続権を失ってしまう。菊地は、小夜に堕すように言うが、小夜は、言う事を聞かない。その間にも小夜のお腹は、目に見えてせり上がってきた。そこで、何とか大橋が自然(?)に早く死ぬ方法はないものか、と相談していたのだ。気も漫ろだったのかもしれない。運転中の菊地は、横から飛び出してきた、犬を避けようと、ハンドルを切った。だが、すでに遅く、街路の松の木に衝突してしまった。菊地も小夜も、怪我はないようだ。車の外へ出て、車の状態を確認すると、そこに一メートルほどの太い松の木の枝が落ちているのを見つけた。その時、二人にある考えが浮かんだ。この松の枝で、大橋の頭を殴り、脳溢血を再発させるのだ。自宅へ戻り大橋を松の枝で殴り、車で運び、松の木の下に放置すれば良いのだ。大橋は、リハビリで早朝散歩する習慣があった。落ちて来た松の枝が頭にあたり、脳溢血が再発したという事になる。散歩中の事故だ、と言えば誰も疑わない。地元の警察も、事故死と処理した。だが、その通りの松並木は、昨日、殺虫剤が散布されていた。一人の老練な刑事が、松の木の虫が息をしているのを発見した事がヒントとなり、事故死ではないことが暴かれてしまう。 「虚構の家族」 桐原産婦人科医院を有名にしたのは、院長の美貌の妻、桐原敏枝の家庭評論家としての名声である。桐原医院をマスコミに乗せて、広く浸透させた。夫婦の間には、八重という一人娘がいる。これが優秀な子で、小学校の頃から常に首席を通している。彼らの夫婦仲の良いことと、八重という優秀な子がいる家庭は、誰からも羨ましがられる理想の家庭像だった。これが、桐原敏枝を人気家庭評論家として変身させた。敏枝の上流婦人としてのエレガントな美貌は、テレビ映りも申し分なく、短期間のうちに売れっ子評論家の地位を築いた。テレビや雑誌の取材が入ると、これ以上ないといった風情で寄り添い、家庭の団欒を語るのだ。八重も十分心得ていて、一流評論家の母の名声にふさわしい良い子を演じた。しかし、敏枝がマスコミに多用されるのと、家庭内に少しずつ軋みが入り始めた。テレビや雑誌の仕事が増えるに反比例し、八重との接触時間が少なくなった。初めの頃こそ、八重の寝顔を確認したものの、疲労に圧倒されて寝室へ直行してしまうようになった。夫から、夜のリクエストがあっても、疲れているからと拒否した。家庭評論家としての名声が、高まれば高まるほど家庭内の軋みは、大きな溝になった。そして、遂に敏枝は。夫に寝室を別にしようと申し出るのだ。この事変が決定的だった。初めこそ、純粋な気持ちで、育児や家庭を語り人気を得たが、マスコミの寵児となり、地位も名声も最高位まで登り詰めたが、結局、その頂上から転落してしまう。高い位置だっただけに、落ちるのも早い。人生いや人として最低のどん底まで落ちてしまう。夫と娘を殺害した評論家として。 「あるエリート部長の蒸発」 杉田良一は、幼稚園から大学まで優等生を続けた。周囲から、優秀だ、優秀だと言われれば言われるほど、その期待に応えるための猛勉強をした。初めのうちは、褒められる事に快感を覚え、媚薬のような陶酔に浸った。しかし、優秀のレッテルを維持し続けることに、違和感を覚え始めた。本来の自分は、何なんのだろう。その時には、決まって丸山薫の詩「汽車に乗ってアイルランドの田舎へ行こう」と言う一節が思い浮かぶのだ。杉田の心に憧憬の景色としてアイルランドの田舎が刻み込まれた。東京T大を卒業した杉田は、家電器具の総合メーカー、ダイナミック電器へ入社した。資本金三百億円、従業員一万八千名の大企業である。入社して五年後、音響部門が独立し、ダイナミック音響が設立された。設立と同時に、若手社員が三名抜擢された。その中の一人として、杉田も選ばれた。それも、幼い頃から、周囲の期待を、裏切らないようにしてきたのと同様に、会社内でも、常にトップの業績を築いてきたからだ。しかし、この時も、幼少に感じたアイルランドの田舎が思い出された。休むことは、許されないと分かっていても。新会社が、製造販売に力を注いだのは、ステレオである。当時のステレオ業界は、一体型のアンサンブルステレオが主流だった。大手の音響メーカーも多数参入していて、ダイナミック音響が入り込む隙間は無かった。そこで、杉田が考え出したのは、一体型を捨てて、各パーツを三点ないし四点に分けてしまおうというものだった。プレーヤー、アンプ、スピーカーなどに分けて、ユーザーが好みのパーツを選び、自由に組み合わせ出来るというものだ。さらに、価格も高くして高級感溢れるものにした。この取り組みは、大成功した。ステレオ業界は、今までの一体型から、コンポーネント型に一変した。次の時代のステレオの有り方になった。勿論、この分野を開発したダイナミック音響は、業界首位の地位を築いた。こうして杉田は、部長の地位に昇進した。又、社長の親戚筋の娘との縁談話が持ち掛けられた。社長自信が勧めてくれたものである。披露宴には、会社のお偉方は勿論のこと、本社の社長も列席し、媒酌は、社長が勤めてくれることになった。杉田に対する期待の大きさの表れである。披露宴当日である。杉田は、挙式会場へ向かうタクシーに乗った。しばらく走り、もう少しで会場だという頃になった時、どこからか詩の一節が聞こえてきた。それは、幼少の頃から幾度も心の中で読まれてきた、あの詩である。これまでは、すべてそれを振り払って邁進してきた。しかし、今日は、いつもと少し違う。杉田は、行き先を上野駅に変更してくれ、と言ってしまったのだ。今まで、周囲の人のために勉強し、働いてきた杉田だったが、最後の最後に、自分自信の道を歩いて行くことに決めた。 「接伴社員“まき”の復讐」 接伴(接待)社員は、森村氏の小説に度々登場する。それは、会社の接待のために、女の体を提供することを専門にしている女性社員のことを言う。当時、本当にそういう役割をする女性社員の制度があったかは不明。 牧は、高校を卒業すると、裏日本の田舎町から銀座へ出てきた。母親の遠縁にあたる則枝が、銀座でバー“エリカ”を開いていたからだ。野暮ったさ丸出しの、田舎臭い牧には、銀座に通い慣れた男たちは、興味を示さなかった。少しして、やっと店の雰囲気に慣れた頃、ママの則枝から水橋と言う客を紹介された。水橋のくれた名刺には、東都ホテル営業企画本部室長と書かれてあった。その役職が、どんなポストか分からなかったが、東都ホテルと言えば、日本一の伝統と東洋一の規模をもつホテルであることくらいは知っていた。銀座に通い慣れた水橋と接客しているうちに、牧は、銀座の水に磨かれ、極めて速やかに銀座の女に生まれ変わった。今まで、眼中に置いていなかった他の男たちも、牧の変身には、目を見張った。他の男たちも、牧に群がったが、その時は遅すぎた。牧の変身を演出しているのは、水橋だったからだ。牧は、既に、女の初めての“もの”も水橋に捧げていた。二人は、すでに深い恋愛関係を築いていたのだ。牧の人気が、最高潮に達した頃、水橋からバーを辞めてウチの会社に移らないか、と誘われた。水橋は、牧を他の男の前に晒したくないと言うのだ。牧は、迷わなかった。ママの則枝も了解してくれた。田舎から出てきた牧が、一流会社のOLになれるのだから、こんな喜ばしい事はない。友人、知人にバーで働いている、と言う時、どれほど惨めな思いをしたことか。牧は、営業企画本部室付き“立石牧”となった。簡単に言えば、水橋の秘書である。部屋も、中野の駅近に小綺麗なアパートを会社が用意してくれた。家賃が、いくらなのか牧には、分からない。こうして仕事中は、他人を装いながら、会社が終わると夫婦の様な関係をしていた。勿論、水橋には戸籍上の妻はいる。しかし、牧はすでに、水橋無しでは生きていけない女になっていた。まるで新婚カップル気分の様な日々を過ごしていた時、水橋が大きなトラブルを抱えた。それはと言うと、今度、東南アジアS国の貿易相アルベルトが来日する。プラント輸出の話し合いのためだ。その際、東都ホテルが宿舎になって接待の一切を外務省から任された。アルベルトは、名うてのプレイボーイで、女なしでは夜を過ごせない。東都ホテルも、アルベルトをもてなす女を用意していた。ところが、来日間際になって、女が急病で倒れてしまった。女は、いくらでもいるが、誰でも良いとはい言えない。常に女の体を使って商売している女などは、絶対に使うことは出来ない。水橋も困り果てていた。国家プロジェクトの成否に関わる。水橋は、急速に憔悴してきた。ここで、牧は、見るに見かねて、その代わりを自分がする、と言い出すのだ。水橋も、躊躇ったが、それしか手段が無かった。この時、牧は、水橋が了承した事に、少しの寂しさを感じたのは事実である。会談は、成功しアルベルトは帰国した。牧を本国へ連れて行きたいと、都合の良い事を言うほどだった。アルベルトを接伴したのが、ひとつの切掛けになった。その後、水橋は、ホテルの重要客(VIP)が来ると、また、牧に接伴を頼むようになった。牧は、嫌がったが、水橋に頼まれると断り切れず、結局、折れてしまった。そして、牧の実績によって、東都ホテルにとって牧は、いなくてはならないホテルの接伴社員となってしまったのである。ある日、牧は、則枝のマンションを訪れた。居候をしていた頃に預かっていた、合い鍵を返すためである。東都ホテルの社員になってから、則枝にお礼も言っていなかった。たった半年ほど暮らしただけだが懐かしかった。昼間だから、則枝は、まだ部屋に居るはずだ。扉を開けて牧は驚いた。中から、男女の絡み合う声が聞こえてきた。紛れもなく男と女が痴戯に耽っている真最中だった。それに、その二人の声には、聞き覚えがある。則枝と水橋だった。牧は、顔色を失った。牧は、心の中で何かが割れるのを感じた。呆然と、立ち竦んでいると会話が聞こえてくる。水橋が則枝に、いい女を紹介してくれたと言って、感謝しているのである。もちろん牧のことだ。余りの衝撃に牧は、打ちのめされた。だが、すぐに事情を知った牧は、帰りに電器店に寄って、ある電器製品を買った。会社へ帰り、水橋が何食わぬ顔をして戻って来ても、牧は、問い質すことなどしなかった。水橋は、数日後に牧の部屋に来た。その時に牧は、妙な提案をした。そこには、ビデオ撮影機があり映像がテレビに映るようになっていた。自分たちの行為を映そうと言うのである。水橋は、最初は吃驚した。だが、鮮明に映し出される奔放な体位や露骨な部分を見ると、水橋も異常に興奮してしまった。艶めかしく再現される映像を見ると、水橋の興奮もエスカレートして、水橋自信も、たちまち蘇った。春の長期休暇の頃である。A国のエバーシャフト大統領が、日A両国の親善のため、戦後初めて来日した。東都ホテルの社長、総支配人、主だった幹部はじめ全社員が一丸となって対応した。その結果、東都ホテルとして重要な役割を果たすことができた。明日は、帰国だけだった。一仕事終えた総支配人は、部屋に入りビールを飲みながら、テレビのスイッチを入れた。館内専用の有料チャンネルである。宿泊客用に最近設置した、自慢の設備である。ところが、あろうことか凄いポルノ映画を放送している。彼が、これまでに見たこともない、破廉恥で汚くて大胆で真に迫った構図を、有線テレビの鮮明な映像で映し出していた。しかも、主演者の男は、彼のよく知っている男だった。それと同時に、A国大統領が、もし、この映像を見ていたらと思うと、恐怖のあまり、立ち眩みがしてきた。その後、懲戒免職された水橋の消息は、誰も知らない。牧は、銀座でバー“マキ”を開店した。“エリカ”を買い取ったのだ。マスターは、変わった経歴で、元東都ホテルの電気技師だという。バー“マキ”は、銀座の繁盛店のひとつとして賑わった。 「小説代理業」 本作は、森村氏にしては珍しいユーモア小説です。“大一企画”というアイデア会社が舞台になる話。そもそも、“大一企画”社長の名前が、大雲虎(だいくもとら)というのだから面白い。音読みするとダイウ〇〇となる。“大一企画”は、何をする会社かと言えば、小説家の代行業務をする会社なのだ。具体的には、四つのジャンルに別れる。道具取材、能力取材、思考代行、創作代行である。道具取材は、単純な風景描写の撮影や気候、習俗の調査など。それと数字、記録、統計等の調査。能力取材は、たとえば、ある化学業界の内情を取材せよ、と注文があると、それに応じて取材し黒い闇が発見できれば報告する。黒い闇が発見されれば報酬は更に高くなる。思考代行は、テーマの設定やストーリーを考えること。更に、推理小説のアリバイトリックまで考える。登場人物の設定から人間関係までの関連性を組み立てる。創作代行は、企画、取材、執筆の全てを引き受ける。これによって、作家は、自分の部屋から一歩も外へ出ることもなく小説を書くことが出来るのだ。ただ、この会社は、流行らなかった。それは、作家が重宝がるために、他の作家に“大一企画”を紹介しなかったからだ、と言うオチだから面白い。本作末尾に「この小説は、ノベル・エージェントに代理制作してもらったものでは無い」と注釈がある。森村氏の遊び心溢れるユーモア小説でした。 | ||||
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