軍神の血脈-楠木正成秘伝-

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軍神の血脈-楠木正成秘伝-の評価:

4.21/5点 レビュー 19件。 A ランク

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平均点4.21pt

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全41件 41〜41 3/3ページ
No.1
(4pt)

人間、楠木正成を解き明かす面白さ・歴史を縦断する感銘

今回はQEDでも毒草師シリーズでもなく、単発ですが、謎をめぐる人物設定はほとんど同じです。
薬剤師の若い女性、歴史に詳しい高校時代の同級生、そしてその博学な姉。この枠組み自体に新味はなく、歴史の謎解きメインですが、今回の見所は、

謎の追っ手に追われながら、車で一日でめぐる正成・謎解きツアーのコンパクトさ。道中、ほとんどの資料をネットで参照し続ける、という設定もテンポがよいです。
そしてヒロインの祖父が特攻隊の生き残りで、新たな正成像を思いついたことから毒殺されかかる、という現代の事件が、最近のQEDのようにバックグラウンドの歴史と遊離したものではなく、かなり切実な意味をこめて、南朝と正成をめぐる史観につながっていること。

この二つで一気に読みました。
正成の後半生の生き方とされているものが、どうもそれ以前と矛盾しており、齟齬がある、というところから、忠勇の臣としてまつりあげられた正成像とは違う生き方を、今回も多くの資料からあぶりだします。ゲリラ戦に巧みで忍者をもかかえており機略縦横、そして「良将は戦はずして勝つ」という信条。これらから新たに構築される正成像はたいへん魅力的で、後半の謎解きの盛り上がりに呼応するように、彼を信奉していた特攻隊のひとびとの重たい思いも胸にせまってきます。ひとつどんでん返しもあり。

歴史が単なる過去ではなく、ついさきごろの戦争にまで脈々とその思潮が流れつづけていたこと、歴史が生きていることを、今回も著者は熱く語りたかったのだと思います。

冒頭と最後に、短くですが、めずらしく歴史小説のタッチで尊氏と正成のシーンが描かれています。これも余韻の深いものでした。
軍神の血脈 楠木正成秘伝 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 軍神の血脈 楠木正成秘伝 (講談社文庫)より
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