愛と幻想のファシズム

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評判

愛と幻想のファシズムの評価:

4.13/5点 レビュー 107件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.13pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全120件 21〜40 2/6ページ
No.100
(4pt)

おすすめです。ただしエネルギーがある時に

上のタイトルで下巻にレヴュー書いてはやウン年。初読から30年。改めて読むと、この作品に限らず当時の村上龍氏の作品はアメリカの存在が背景として極めてでかい。その核は「情報(快楽含む)を全て握ってるアメリカ、金しか握ってない日本人」とういうところでしょうか。80年代に思春期過ごした方ならご理解頂けるでしょうが別に氏に限らず当時はアメリカ、ヨーロッパの文化の影響力が非常に強く、映画なら洋画、邦画はダサい、とか、洋楽歌詞の意味もわからず聴きまくるとか(歌詞を訳してみたら結構ショボかった)、ハンバーガー食べることがかっこいいとか、今になって振り返ると自分自身もお恥ずかしい限りの風潮に流されておりました。そして皮肉なことに当時はまさに日本経済が世界最強だったんですよね。でも僕たちディスってたんです。それから30年、もはやどこの世界のビジネス雑誌も「日本経済の脅威」なんて特集書かなくなって久しくなりましたが当時小馬鹿にしていた日本文化が現在は世界で礼賛されるようになりました。当時フランスの雑誌が電車で漫画雑誌を読みふける日本の若者、サラリーマンの写真を載せ、経済で世界を席巻してる日本の文化はいい大人がコミック読むような低レベルとか書いたのに、今やフランス人がコスプレするご時世。焼き直しばっかりの最近のハリウッドしか知らない現代っ子からすればこの本の背景のアメリカってそんなにスゲーのって違和感感じられるんじゃないでしょうか。そういう時代だったんですよ。2017年現在、アメリカは未だ北朝鮮の核放棄もできず、あの大統領のおかげで自由や民主主義という価値観にすら疑惑が高まり、一方でかつての日本よろしくエコノミックアニマルぶりを発揮している中国で金を得た人民は自国文化をディスって海外カルチャー(ワイン、外車、ブランド、日本アニメ、AV,海外旅行などなど)を爆買い。アメリカは老いたのか?日本は獰猛なエコノミックアニマルから世界中から愛される愛玩動物になったのか?そして中国は?そんなことを考えてしまいました。
愛と幻想のファシズム(上) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上)より
4062014319
No.99
(4pt)

おすすめです。ただしエネルギーがある時に

上のタイトルで下巻にレヴュー書いてはやウン年。初読から30年。改めて読むと、この作品に限らず当時の村上龍氏の作品はアメリカの存在が背景として極めてでかい。その核は「情報(快楽含む)を全て握ってるアメリカ、金しか握ってない日本人」とういうところでしょうか。80年代に思春期過ごした方ならご理解頂けるでしょうが別に氏に限らず当時はアメリカ、ヨーロッパの文化の影響力が非常に強く、映画なら洋画、邦画はダサい、とか、洋楽歌詞の意味もわからず聴きまくるとか(歌詞を訳してみたら結構ショボかった)、ハンバーガー食べることがかっこいいとか、今になって振り返ると自分自身もお恥ずかしい限りの風潮に流されておりました。そして皮肉なことに当時はまさに日本経済が世界最強だったんですよね。でも僕たちディスってたんです。それから30年、もはやどこの世界のビジネス雑誌も「日本経済の脅威」なんて特集書かなくなって久しくなりましたが当時小馬鹿にしていた日本文化が現在は世界で礼賛されるようになりました。当時フランスの雑誌が電車で漫画雑誌を読みふける日本の若者、サラリーマンの写真を載せ、経済で世界を席巻してる日本の文化はいい大人がコミック読むような低レベルとか書いたのに、今やフランス人がコスプレするご時世。焼き直しばっかりの最近のハリウッドしか知らない現代っ子からすればこの本の背景のアメリカってそんなにスゲーのって違和感感じられるんじゃないでしょうか。そういう時代だったんですよ。2017年現在、アメリカは未だ北朝鮮の核放棄もできず、あの大統領のおかげで自由や民主主義という価値観にすら疑惑が高まり、一方でかつての日本よろしくエコノミックアニマルぶりを発揮している中国で金を得た人民は自国文化をディスって海外カルチャー(ワイン、外車、ブランド、日本アニメ、AV,海外旅行などなど)を爆買い。アメリカは老いたのか?日本は獰猛なエコノミックアニマルから世界中から愛される愛玩動物になったのか?そして中国は?そんなことを考えてしまいました。
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.98
(4pt)

続編が読みたい

国際企業によるグローバル化が進む今の日本を思うとこの本に描かれた事が現実だった方が日本にとって良かったんじゃ無いかと思う。今の日本に足りないのは国際企業に真っ向から立ち向かう様な国内発の権力だろう。物語は唐突に終わるがこの後このもう1つの日本はどうなって行くのかを続編で読みたい。
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)より
4061847406
No.97
(4pt)

続編が読みたい

国際企業によるグローバル化が進む今の日本を思うとこの本に描かれた事が現実だった方が日本にとって良かったんじゃ無いかと思う。今の日本に足りないのは国際企業に真っ向から立ち向かう様な国内発の権力だろう。物語は唐突に終わるがこの後このもう1つの日本はどうなって行くのかを続編で読みたい。
愛と幻想のファシズム(下) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下)より
4062014327
No.96
(4pt)

予言書か。

現時点、そして今後の日本、世界経済を予言するかの様な読み応え十分の傑作。著者は当時戦後の平和ボケした怠慢で消費するだけの豚と化していた日本国民に憤り感じていたのでは無いだろうか。日本国内でナチスの様な集団が人気を博していくのだがリーダーがカリスマ性を持つ狩人というのが野生に帰る事が必要だと著者が感じていたからだろうか。2017年に読むと固有名詞に多少の時代を感じるが根本的な物語と描かれた問題の本質は古臭いどころかリアリティを増すばかりだ。北朝鮮が幾度と無くミサイル実験を行いicbmの配置や様々な世界情勢と経済格差が広がった日本。まるでこの本の後追いをしてるかの様だ。グローバル企業群が強大な権力を持つという設定もtppが発行されていればズバリだった。当然だが何より小説として面白い。今の時代にこそ読むべき本。
愛と幻想のファシズム(上) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上)より
4062014319
No.95
(4pt)

予言書か。

現時点、そして今後の日本、世界経済を予言するかの様な読み応え十分の傑作。著者は当時戦後の平和ボケした怠慢で消費するだけの豚と化していた日本国民に憤り感じていたのでは無いだろうか。日本国内でナチスの様な集団が人気を博していくのだがリーダーがカリスマ性を持つ狩人というのが野生に帰る事が必要だと著者が感じていたからだろうか。2017年に読むと固有名詞に多少の時代を感じるが根本的な物語と描かれた問題の本質は古臭いどころかリアリティを増すばかりだ。北朝鮮が幾度と無くミサイル実験を行いicbmの配置や様々な世界情勢と経済格差が広がった日本。まるでこの本の後追いをしてるかの様だ。グローバル企業群が強大な権力を持つという設定もtppが発行されていればズバリだった。当然だが何より小説として面白い。今の時代にこそ読むべき本。
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.94
(5pt)

日本にこんな方が現れると良いなと思いました

主人公のとうじの生き方に憧れます。ほんと魅力的です。村上先生のファンになりました。
愛と幻想のファシズム(下) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下)より
4062014327
No.93
(5pt)

日本にこんな方が現れると良いなと思いました

主人公のとうじの生き方に憧れます。ほんと魅力的です。村上先生のファンになりました。
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)より
4061847406
No.92
(5pt)

問題作

なかなか面白かった。力作ではあるし、読むかいもあると思うが、わたしは氏の他の作品のほうが好きだ。氏はファシズムにさえ絶望していると言いたいのだろうが、何を今更、と普通に思う。そこが作品として弱い。

巨大なる祈りという大フェステイバルをクライマックスに持ってくる事で、69という氏の作品との類似性が生まれる。だが69では痛快だったあのフェスティバルが、ここでは陳腐なものそして苦々しいものに見えてくる。

力の無い高校生がやると痛快な反逆だったことでも、権力をにぎった連中に強引にやられると、あほか、という感じになる。

わたしはファシズムが大嫌いだけど、この作品は嫌いになれない。すごいの書いちゃったな〜って感じで見ている。くどいようだが読むかいはあると思う。ただ、後半よりも前半の方が素晴らしい。

村上龍の小説は後半馬力をあげたり見事な占め方をするのもあるので、そこはちょっと、どうなのかなーと思う。
愛と幻想のファシズム(上) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上)より
4062014319
No.91
(5pt)

村上春樹を受け付けない人に読んでほしい

私が村上龍ファンになったきっかけになった本です。
村上春樹を受け付けない人は是非読んでみてください。
あなたの求めているものが得られると思います。
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.90
(5pt)

再読

随分昔に読んだものを再読しました。
若かりしころ読んだときとはまた違った味わいがあり、
今読んでこそ村上龍氏の偉大さがよりわかります。
若い人にこそ是非読んでもらいたい名作です。
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)より
4061847406
No.89
(5pt)

再読

随分昔に読んだものを再読しました。
若かりしころ読んだときとはまた違った味わいがあり、
今読んでこそ村上龍氏の偉大さがよりわかります。
若い人にこそ是非読んでもらいたい名作です。
愛と幻想のファシズム(下) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下)より
4062014327
No.88
(5pt)

幻想の父性社会 上巻

初めて読んだのは二十歳そこそこだった。すごい小説だと思うと同時に、長過ぎる/出てくるのは平気で人殺しする奴ばかり/難しい用語や概念が多すぎ、そんな感じでついていけなかったのが正直なところだった。『コインロッカー・ベイビーズ』の方が全然面白い、と。
 しかし四半世紀を経て、こちらも政治や経済を多少は理解できるようになった上で読み直してみたところ、あまりに面白すぎて寝る間も惜しんで一気に読んでしまった。もちろん、設定が古くなっている部分は多いが、二大強大国連携による経済支配(米ソを米中に置き換えれば、、)や格差社会の進行、弱肉強食も容認する自己責任論、一般人の感情的で偏った右(左)翼化などなど、、、あまりに多くで21世紀社会を予言していることに驚かされる(雑誌連載の準備期間を加味すれば構想は80年代初頭!)。また、狩猟社は残酷で傲慢な人間ばかりだが、人間が生き抜く上で必要な資質を強く備えていることも否定はできない。
 『コインロッカー・ベイビーズ』での男2人女1人の関係性は、本作でさらに象徴的なものになる。トウジとゼロの対称的補完性(+フルーツという触媒)は危ういバランスを保ちながら維持されていくのだが、そこには、おそらく絶対父性社会的なトウジが認めようとしない“強い”ということの別の側面—おそらく母性社会的な愛との距離感(*)を示唆しているようにも思える。下巻ではその結末も語られる。

*本書には女性の重要な登場人物が極めて少ないことと関係していると思う
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.87
(5pt)

幻想の父性社会 下巻

初めて読んだのは二十歳そこそこだった。すごい小説だと思うと同時に、長過ぎる/出てくるのは平気で人殺しする奴ばかり/難しい用語や概念が多すぎ、そんな感じでついていけなかったのが正直なところだった。『コインロッカー・ベイビーズ』の方が全然面白い、と。
 しかし四半世紀を経て、こちらも政治や経済を多少は理解できるようになった上で読み直してみたところ、あまりに面白すぎて寝る間も惜しんで一気に読んでしまった。もちろん、設定が古くなっている部分は多いが、二大強大国連携による経済支配(米ソを米中に置き換えれば、、)や格差社会の進行、弱肉強食も容認する自己責任論、一般人の感情的で偏った右(左)翼化などなど、、、あまりに多くで21世紀社会を予言していることに驚かされる(雑誌連載の準備期間を加味すれば構想は80年代初頭!)。また、狩猟社は残酷で傲慢な人間ばかりだが、人間が生き抜く上で必要な資質を強く備えていることも否定はできない。
 当時は今ひとつしっくりこなかったこの下巻における結末も、今ではスンナリ腑に落ちる。エンディングでの日本の状況とは裏腹に、トウジとゼロの対称的補完性(+フルーツという触媒)の崩壊という一種の悲劇(*)が呈示されていると思う。それは、おそらく絶対父性社会的なトウジの認めない“強い”ということの別の側面—おそらく母性社会的な愛に絡んでいるとも推測でき、なかなか深い余韻を残すのだ。
とにかく非常にスリリングな攻撃的ファンタジーであると同時に極めて優れた教養小説だ。

*悲劇—それはエルクに同化できたのはトウジでなくゼロだったからなのか、あるいはトウジが理念ゆえにゼロの肩を抱くことができなかったからなのか、、もし国民→狩猟社→トウジの食物連鎖的ピラミッド(父性的社会)に裏からゼロが加われば円環構造(母性的社会)に変換されて代謝が保たれるのだろうか。しかし、それが叶わなかったので、トウジはエルクを見失ったまま指導者になるのだろうか。
愛と幻想のファシズム(下) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下)より
4062014327
No.86
(5pt)

幻想の父性社会 下巻

初めて読んだのは二十歳そこそこだった。すごい小説だと思うと同時に、長過ぎる/出てくるのは平気で人殺しする奴ばかり/難しい用語や概念が多すぎ、そんな感じでついていけなかったのが正直なところだった。『コインロッカー・ベイビーズ』の方が全然面白い、と。
 しかし四半世紀を経て、こちらも政治や経済を多少は理解できるようになった上で読み直してみたところ、あまりに面白すぎて寝る間も惜しんで一気に読んでしまった。もちろん、設定が古くなっている部分は多いが、二大強大国連携による経済支配(米ソを米中に置き換えれば、、)や格差社会の進行、弱肉強食も容認する自己責任論、一般人の感情的で偏った右(左)翼化などなど、、、あまりに多くで21世紀社会を予言していることに驚かされる(雑誌連載の準備期間を加味すれば構想は80年代初頭!)。また、狩猟社は残酷で傲慢な人間ばかりだが、人間が生き抜く上で必要な資質を強く備えていることも否定はできない。
 当時は今ひとつしっくりこなかったこの下巻における結末も、今ではスンナリ腑に落ちる。エンディングでの日本の状況とは裏腹に、トウジとゼロの対称的補完性(+フルーツという触媒)の崩壊という一種の悲劇(*)が呈示されていると思う。それは、おそらく絶対父性社会的なトウジの認めない“強い”ということの別の側面—おそらく母性社会的な愛に絡んでいるとも推測でき、なかなか深い余韻を残すのだ。
とにかく非常にスリリングな攻撃的ファンタジーであると同時に極めて優れた教養小説だ。

*悲劇—それはエルクに同化できたのはトウジでなくゼロだったからなのか、あるいはトウジが理念ゆえにゼロの肩を抱くことができなかったからなのか、、もし国民→狩猟社→トウジの食物連鎖的ピラミッド(父性的社会)に裏からゼロが加われば円環構造(母性的社会)に変換されて代謝が保たれるのだろうか。しかし、それが叶わなかったので、トウジはエルクを見失ったまま指導者になるのだろうか。
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)より
4061847406
No.85
(5pt)

俺は、あいつらを叩きつぶそうと思う、君たちはどうだ?

「何のために生きるかって、そんな下らないことは考えなかった、自分は不幸だなんて思うヒマもなかった。今の俺達の、快楽と苦痛は、大昔のその単純な暮らしに発している。快楽とは生き延びるのに必要なことをやった場合に与えられる」
 一人称で語られる本書の鈴原冬二の考えはシンプルだが力強い。
 我々はいつしか奴隷として生きていることに慣れてしまっている。
 自分で判断しなくていい奴隷は楽だ。他人がこうやれと言うことをやればいいだけだから、これほど楽なことはない。
 そんな楽をしてきた奴らが大威張りで発言する。他人に従う快楽しかしらない奴隷が威張る時代が今の民主主義だ。
 俺は、あいつらを叩きつぶそうと思う、君たちはどうだ?
 そう語りかける鈴原冬二のもと政治結社「狩猟社」が誕生する。
 強烈な存在感をみせる鈴原冬二のもとには優秀なブレーンが集まり、彼らのつくる狩猟社の政治綱領は「あらゆる階層の人間に幸福な幻想を与える」ものとなり、党員は爆発的に増えていく。
 まさに閉塞した現代社会においてカリスマ的存在が求められるのは必須であろう。
 カリスマはまず不快の念を持って迎えられるが、その後に恐怖が訪れ、それが興奮と崇拝に変わる。

 数十年ぶりに読み返した本書は、こんなにも強烈な毒をはらみつつ重厚で魅力的な作品は、村上龍以外に書けないだろうとあらためて思わされる、そんな作品です。
 また、文学的技巧として、本書を、ゼロではなく冬二の一人称にした点も興味深い。
 ゼロは、「だいじょうぶマイフレンド」の映画化で大こけした当時の村上龍自身を彷彿させる存在で、通常は作者の分身たる人間の語りになりそうなものですが、そこを冬二の一人称とすることで、ゼロを客観的にみるかたちとなり、より破壊力を持った作品になっているように感じられます。
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.84
(4pt)

ファシズムとは効率がいい支配の仕組み。

1987年に作られた作品であるが、今読んでも新鮮な感じがする。
日本の閉塞状況をどう打ち破るのか?そのことを、暗示させるところがある。
日本が 衰退途上国であるが故に。閉塞状況は加速度的にすすんでいる。
ハンターであるトウジ(鈴原冬二)は、ゼロ(相田剣介)と出会い、政治結社 狩猟社 をつくる。
弱者をころせ。と トウジは平気で言う。
強者しか生き残れない 時代がやってきているとそのカリスマ性を 徐々に 確保していく トウジ。
暴動、ストライキの中で トウジは 演説をもって、その群衆のこころを 掌握する。
トウジは 大衆の期待に応えることができるのか?
まぁ。『演説』という手段が 古くさいかもしれないなぁ。
ゼロはフルーツへの手紙
『君に自信を与えられなかった。
君は美しくすばらしい女だと今ぼくが何万回言っても信用しないだろう。
ぼくのことを忘れてくれ。そして君に自信を与えてくれるような男をさがしてくれ』
百姓や奴隷の眼に卑屈さを感じる。獲物をしとめる時の快感は他にない。
狩猟民族が優れているのだ。と 組み立てられた 論理があっても
システムを壊そうとしてシステムをつくることになる。
欲望はなぜ起こるのか。
快楽の深さと情報量の多いものがニンゲンの容量を決める。 
ファシズムとは 効率のいい 支配形態。
混沌の時代に 強いリーダーシップを発揮するニンゲンが登場する。
一方では 多国籍企業の グループである ザセブンが経済を支配する。
それに,敵対することができるのか。
今の時代に 革命が できるのか?
革命は どんなスローガンとなるのか?
それとも、革命は 死んでしまったのか?
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392
No.83
(5pt)

閉塞感を打破するには、狩猟民族的な勘と行動がいるのだ。

1968年の作品。ずいぶんと長くて 読み切るのに時間がかかった。
その頃は アメリカとソビエトが 経済の中心だった。
アメリカの支配が 隅々まで 届き、企業連合隊のセブンが世界を支配していた。
円安となり 1ドルが 500円という時代である。
そのなかで 穀物が 入らなくなり、飢餓を目前と迎えているときに トウジはファシストとして 登場する。
トウジは ハンターとしての独特の観と世界観でアメリカを 追いつめようとする。
様々なスタッフがいる中で、ゼロは 特別だった。
ゼロは いくつかの契機の中で 変化してトウジを たすけた。
フルーツは ときどき 予言者の役割をした。
私設軍隊は 訓練を重ね 礼儀正しく規律ある部隊に成長し 青年達のあこがれだった。
ハッカー飛駒の天才的な 工夫で、新しい形でのクーデターを 仕込むことができ、自衛隊のエリート達も
その配下として 働く。国を守るものとして。
物語が方々の破れがある中で『救済と再生』『閉塞感の打破』をこころみる。

熱狂を支える 貧しさが背景にあったとしても、
熱狂できない人たちの多さを乗り越えて、アジテーションをする。
愛と幻想のファシズム(下) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下)より
4062014327
No.82
(5pt)

閉塞感を打破するには、狩猟民族的な勘と行動がいるのだ。

1968年の作品。ずいぶんと長くて 読み切るのに時間がかかった。
その頃は アメリカとソビエトが 経済の中心だった。
アメリカの支配が 隅々まで 届き、企業連合隊のセブンが世界を支配していた。
円安となり 1ドルが 500円という時代である。
そのなかで 穀物が 入らなくなり、飢餓を目前と迎えているときに トウジはファシストとして 登場する。
トウジは ハンターとしての独特の観と世界観でアメリカを 追いつめようとする。
様々なスタッフがいる中で、ゼロは 特別だった。
ゼロは いくつかの契機の中で 変化してトウジを たすけた。
フルーツは ときどき 予言者の役割をした。
私設軍隊は 訓練を重ね 礼儀正しく規律ある部隊に成長し 青年達のあこがれだった。
ハッカー飛駒の天才的な 工夫で、新しい形でのクーデターを 仕込むことができ、自衛隊のエリート達も
その配下として 働く。国を守るものとして。
物語が方々の破れがある中で『救済と再生』『閉塞感の打破』をこころみる。

熱狂を支える 貧しさが背景にあったとしても、
熱狂できない人たちの多さを乗り越えて、アジテーションをする。
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)より
4061847406
No.81
(5pt)

『民主主義というシステム』を一度は疑ってみてもいいかも

☆☆☆☆☆
あとがきに「システムに抗する人間…」という言葉があるが、この“システム”の捉え方が読む人によって違ってくることでこの本が映し出す世界は違ってくるのかもしれない。
「ザ・セブン」「アメリカ」「戦後日本の民主主義」。
小説のうえではボカされた感じで描かれている「ザ・セブン」がその標的として描かれているが、鈴原冬ニの世界観から眺めた社会を想定すると、本のタイトルからしても「民主主義」が当てはまるのではないだろうか。

私などはこの強固で居心地の良い民主主義の窓から眺めることでしか、今存在している、あるいは過去に存在してきたシステムを想像をすることしかできない。
だから、そこに違和感を感じたり、都合の悪さを感じたり、時には非難したり、拒絶したりしながら、自分の中で必死にこの愛着のある『民主主義というシステム』を守ろうとしてしまう。

だけど、時としてみせるこの「民主主義の綻び」にそのシステムの構築の礎となった数多くの人類の歴史の悲劇を忘れかけ、限界を感じて、他のシステムを希求してしまう自分もいる。

そんな隙間にジワってつけ込もうとするのが、鈴原冬ニが求める理想の魅惑的な世界である。歴史上の様々なシステムの発生とその末路を目にする人は存在しえないから、そのことを伝える警句は伝承されない。だから歴史は繰り返すのだろう。

先日相模原の津久井やまゆり園で起きた事件は、この「民主主義というシステム」の綻びに限界を感じ、その外のシステムに魅了された者の凶行だと思えるのだが、これを穏やかな言葉でジックリとシステムを変更しながら進める『狩猟社』のような存在が現れる可能性はある。

そんな可能性を携えて読んでゆくと刺激的で、現実味を増して読むことができる。
鈴原冬ニ、ゼロ、フルーツの存在もそして、その関係もこの作品をフィクションとして良い味付けをしてくれているから、最後まで読み進めることができる。
2016/08/15
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)より
4061847392