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悲劇もしくは喜劇
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悲劇もしくは喜劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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壮&美緒というシリーズキャラクターが活躍するトラベル・ミステリーとは別に、年に1作程度のペースで社会派色の強いノン・シリーズの本格ミステリーを発表している深谷忠記だが、本書は後者にあたる’08年の作品。 タイ料理店で働けると思って来日したリャン・ピアンチョンは、騙されて売春を目的としたクラブに借金を負わされて送り込まれたのだった。第一幕ではこのリャンをひいきに店に通うフリーライターの鏑木恭一と彼女に恋をしてしまう大学生石崎文彦が登場する。 すわ、本書は、人身売買・売春を問題とする社会派ミステリーかと思っていると、第二幕からホステスたちを束ねる元締めのメイ・ウェーチャヤイという女が殺された事件の裁判が始まる。被告人は石崎文彦で、弁護人は本書の主人公、母ひとり子ひとりの中年女性弁護士村地佐和子である。そう、本書は法廷ミステリーだったのである。 第二幕、第三幕と法廷場面は続く。供述をくつがえした被告人文彦、思惑通りに証言してくれないリャン、文彦の父親と後ろ暗い過去を背負い、現在も、謎めき、何かを企んでいるような鏑木、そして文彦の祖父であり、佐和子の恩人でもある仲根周三弁護士。弁護人である佐和子は、彼らに翻弄され、裁判は二転三転、どんでん返しの連続に次ぐ連続で、落ち着く先が最後までわからない。 さらに本書は、凝りに凝った構成に加え、多彩な登場人物たち、また「ひきこもり」や「振り込め詐欺」といった今日的な社会問題にも触れたり、親子のちょっとした会話をヒントにしたりするなど、読む者を飽きさせない。 終章でやっと真相にたどりつくのだが、物語は最後の最後にもうひとひねりがあった。 最後に笑う“したたかな”人物とは・・・。 | ||||
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