自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。

もともとの反社会的な要素に加えて、狂気の笑いでもあるのがブラック・ユーモア。

若だんな、そんなに頑張ってだいじょうぶ?両国を仕切る親分の提案で、大店の跡取り息子三人が盛り場での稼ぎを競うことに。

男に赤道を見に行こうと誘われた人妻「赤道奇談」など。

事業に失敗して精神病院に逃げこんだ男が退院してみると、妻はいきいきと働いていた。巨額の借金も返済したという。

毎年冬のひと夜外泊をする妻に疑念を抱く夫「女系家族」など、人間の裏の顔を描く11編。

文筆生活６０年。生み出した小説は900篇超。

絶世の美女ヘレネと王子パリスが駆け落ちした。ヘレネを略奪した者は、求婚した者全員から報復を受ける。

許せない。生かしてはおけない―惚れたホステスはとんでもない悪女だった。

恐怖は人間の最も古くからの感情だと言われている。真っ暗闇の中で野獣に襲われる恐ろしさを想像してみれば、容易に納得がいく。

「おばちゃまの目はどうして、そんなに怖く光っているの?」「それはお前を殺すためだよ」…不意に暗転するメルヘンの世界。

人は人生において、3回真剣に待つことがあるという。いつ来るか。

加賀友禅についての資料を集めに金沢を訪れた男が、かつてこの地を一緒に旅し、翻弄された女性に思いを馳せる(「鳥瞰図」)。

楽して簡単にお金を手に入れる方法はないものか。子どもを誘拐して身代金。

スケッチ旅行といつわって親友の夫と逢う瀬を重ねる女流画家・安津子。

昔から大ざっぱな性格の定雄は、人の名前を覚えるのが苦手だった。

良家の若妻・真樹子は、そろそろ1歳の娘と朝の時間を優雅に過ごしていた。

白い犬の神秘、金色の月にひそむ秘密、赤い酒がもつ魔力、青いハイヒールが暗示する運命、緑色の目が映し出す青春の苦しみ…。

碁打ち鳥飼馬鹿の中とは、妙法寺の住職には当たらない言葉であろう。

親友のS君が、とびきりの美女を射止めた。余りのねたましさに私は、これはよくないことの前兆ではないか、とすら考えた。

わけもなく他人に怖れられる恐怖。

あなたは気付いたことは、ありませんか?気味の悪い偶然の重なり、形をとらない悪意の棘、得体のしれない不安感…。

国道沿いにあるコーヒー店。店の名前は絵里花。

子供にあげるお年玉の額から、雌猿の美醜まで、あらゆることに興味を示す著者の、エスプリが冴えわたる魅力的エッセイ。

アンブラッセという言葉を教えてくれたのは、相沢さんだった。フランス語で「抱擁する」という、その意味も――。

郁子が頼まれたアルバイトの内容は、別人になりすまして横浜元町へ行きワンピースを一着買い求め、さらに店で小物入れを忘れて帰ることだった…(「奇妙なアルバイト」より)。