三人の双生児
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
三人の双生児の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
三人の双生児の総合評価:
8.80/10点 レビュー 5件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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未だに熱狂的なファンも多い一方、書店では、もう滅多に見ない名前でもあって、故・小松左京氏が2007年に開催されたSFのイベント会場にて、海野十三の名前をあげたところ、その名を知っていたSF関係者、観客は、ごく僅かだった、という。
2011年80歳で亡くなった小松氏が、小学生の頃に読んでいたのが海野十三だ。
2013年5月現在、ウィキペディアで調べると、昭和3年『新青年』に掲載された『電気風呂の怪死事件』が海野十三名義でのデビュー作であるかのように記載されているが、本書の巻末解説によれば、昭和2年に『無線電話』に掲載された『遺言状放送』が同名義でのデビュー作である。
海野十三全集1巻の巻末、長山靖生氏の解説によると、この『遺言状放送』は、世界的にみても核爆発の危険性を指摘したごく初期の作品であり、しかも核兵器の危険性ではなく核の平和利用における危険性について言及している点、高く評価されるべきである、とのこと。発表当初、オチがわかりにくい、という知人の意見から、現在の形(いわゆる夢オチ)になったが、もとはれっきとした終末モノだった、とか。当時の科学の最先端技術は、今から読むと、それこそがフィクションのようで、そういう意味でも興味深い。
この文庫に収録されているのは、主に怪奇色の強い探偵モノだ。だが、乱歩ほど怖くはない。まずはタイトルが面白い。「赤外線男」「点眼器殺人事件」「振動魔」など、どんな話なんだ、と食指が動く。
なかでも印象的なのが「三人の双生児」だ。主人公の女性は子供のころ座敷牢に閉じ込められていた兄妹に再会したいと思っている。だが亡くなった父の手帳にはナゾの言葉が残されていた。「呪われてあれ、今日授かりたる三人の双生児!」・・・「双生児」が「三人」って何なのか? どうやら主人公の出生には秘密が隠されているらしい。だが調査するうちに殺人事件が起きて・・・といった内容で、結末はミステリ短篇にありがちな強引さだ。非常にグロテスク、だが、なぜか「ガンバレよ!」と明るい笑顔で主人公を見送りたくなる、不思議に爽快な読後感。
『生きている腸』は、その名のとおり、ガラス管のなかで蠕動し続けるはらわたを「飼う」医学生のマッドなお話。ぬめぬめと動くはらわたの描写が、最高にキモチワルイので、ホルモン料理を食べる前には読んではいけない。しかし、文章そのものに愛嬌があるので、イカレタ医学生はだんだん可愛いやつに思えてくるし、しまいには「チコ」(生きているはらわたの名前)までが愛らしくいじらしい存在に感じられてくる。ちなみに古賀新一の漫画『魔女黒井ミサ』の元ネタはこれだと思う。ダウンタウンのコントにも似た話があった。面白いが、なんでまた「腸」をキャラクターにしようと思い付いたのか・・・足だの腕だの靴だのフェチには色々あるけれど、過去、どれほどの美人の「持ち物」だったとしても、いくらなんでも「はらわたフェチ」って・・・と、脱力気味にもなる。まあ、一度読むと忘れられなくなる、という意味においては傑作だと思う。
多分、作者は細かいツッコミを恐れていない。もし、こうだったら、さぞ楽しかろう、さぞ面白かろう・・・それだけで突っ走っているように感じられる。良い意味での無神経さが、爽快で、明るい。まさに娯楽のための小説だ。有名な短篇のほとんどが青空文庫で無料で読むことができるので、気になる方は試し読みからどうぞ。