天才望遠鏡

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種別
長編
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あらすじ

2025年07月11日 天才望遠鏡

「才能を持った人間なんて、実はたくさんいる。でも、天才は違う。天才は、才能を見つけた連中が、一方的にそう名づけるんだ」デビュー10年。爆発的に売れることはないけれど、きちんと締め切りを守り、編集者に無理難題を押し付けずに着実に仕事をこなす作家・星原イチタカ。一方、同期デビューの釘宮志津馬は偏屈で横暴であることを自覚しながらも、大人気作家であることから周囲に丁重に扱われることに対し憤りを感じている。イチタカの才能を軽んじる向きもある中、釘宮だけが彼の「天才」性を”観測”していた。藤井聡太七冠の記録を塗り替え、史上最年少でプロ入りした中学生棋士、タピオカミルクティーの味もマカロンの味も知らない、かつての「氷上の妖精」、気がつかぬままに抜群の歌声を持ち、オーディションを駆け上がる天才中学生……。描かれるのは5人の天才たち。彼らと、彼らを観測し続けた人々の姿が紡がれる連作短編集。星の盤側妖精の引き際エスペランサの子供たちカケルの蹄音星原の観測者(「BOOK」データベースより)

評判

天才望遠鏡の評価:

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天才望遠鏡の総合評価:

9.20/10点 レビュー 5件。

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.5
(5pt)

スポーツカメラマンの多々良、エスペランサ(無料学習塾)の講師をしているナナオ、売れっ子作家の釘宮が特に好きだった

天才と呼ばれる人間を、周囲の人たちの目線で描いた短編集で読み応えがあった。

将棋、フィギュアスケート、歌、名馬、作家とそれぞれの分野の天才たち。

それぞれに苦悩や壁があるのだが、世間はそれに気付かない。

自分には能力がない、家庭環境の問題だから仕方ないとほどほどに諦めながら生きる大人はたくさんいるが、天才に対しては、夢を見せてくれ、遊んでないで練習しろ、人生経験を積めとか、好き勝手なことを言う。

最近では親ガチャという言葉もあるが、自分が恵まれているかどうかは誰かと比較しないと分からない。

「この親の子供に生まれてよかったなんて思わなくていいから、せめて、自分は親選びのくじ引きに失敗したなんて思わないで大人になってほしい」

という言葉はなんとなく心に残っている。

本書に出てくる人物の中で、スポーツカメラマンの多々良、エスペランサ(無料学習塾)の講師をしているナナオ、売れっ子作家の釘宮が特に好きだった。

多々良の一瞬を切り取るプロ意識やアスリートへの気遣いがよかった。

「写真を撮る行為をスポーツに例えるなら、陸上の跳躍競技に似ている。飛び越える対象を睨みつけ、体の節々に準備はいいかと問いかけ、助走し、踏み切って、飛ぶ。撮影時間が何時間あろうと、「ここだ」という瞬間は短い。走高跳や棒高跳の選手がバーを越える一瞬、走幅跳の選手が砂上を飛ぶ一瞬、本当にそれくらいの時間だ」

ナナオは広告代理店に勤めながらも、エスペランサでボランティア講師をしている。エスペランサに通う子供たちの可能性を潰さないように、何かしら将来の選択肢が増えるよう、子供たちのために一生懸命なところが好きだった。

「エスペランサに通う子供たちの多くは、生まれたときから親によって可能性を握り潰されている。塾も習い事もできず、学校の部活ですら入れない。家で当たり前に弟や妹、ときには両親や祖父母の世話をする。「努力次第で未来が開けるよ」なんて言葉がどれだけ浅はかなものか、言えてしまう人間にはわからない。無料塾はそんな社会の受け皿だけれど、それは応急処置のようなものだ」

釘宮は、性格に難があって社会性がない売れっ子作家だが、同い年で突然死した小説家の星原イチタカを忍ぶ場面でも、その性格の悪さがこれでもかというくらい描かれており、そんな中でも星原に対する敬意や感謝の念が感じ取れた。

「小説家の世界でも、人対人の仕事だから社会性が必要、性格を直せと言われ続けてきたが、星原だけは悪いと思っていなくてもとりあえず謝ってみろ、と言ってくれたり、俺に説教をしてくれた。それがきっかけで少しずつ原稿の依頼が来るようになった。アイツは大ヒットも出さないが大赤字も出さない、人当たりがよくて〆切も破らない出版社に都合よく使われる作家。そんな自分の置かれた状況を受け入れて、そこそこ楽しんで、やり甲斐も感じて、小説家でいるのを楽しんでいた」

最終章では、ほかの短編で描かれた人物のその後も少しずつ描かれていて、皆が自分なりの一歩を踏み出していたのもよかった。
天才望遠鏡 Amazon書評・レビュー: 天才望遠鏡より
4163919953
No.4
(5pt)

共感がありすぎる!

天才たちの光と影をくっきり映し出したアンソロジー。

類まれな才能が周囲の人々に
投げかける波紋に共感がありすぎて参った!

題材は将棋、フィギアスケート、
歌声など多岐にわたりますが、
もれなく楽しませてくれましたよ。

特に出自で将来が縛られる問題に
鋭く切り込んだ短編にグイっと持っていかれました。

もう、少年の前途が気になって仕方ないほどに。

挫折した高校生に教師の奇策が炸裂する話は、
先生の導きに熱い気持ちが込み上げてきましたよ。

やっぱり、高みを知るからこそ
落差がつらくなる面もあるんでしょう。

(対象年齢は13歳半以上かな?)
天才望遠鏡 Amazon書評・レビュー: 天才望遠鏡より
4163919953
No.3
(5pt)

見える星もあれば見えない星もある

今年に入って「願わくば海の底で」「読書感想文が終わらない!」などを刊行された額賀澪さんのさらなる新作。今作は「天才」たちと「天才と出会った人々」で織りなす、連作短編集です。どこから読んでも楽しめると思いますが、中盤からの短編である「エスペランサの子供たち」「カケルの蹄音」「星原の観測者」はぜひ読んでほしいなと思いました(1章2章ももちろん!)。

中学入試に出題される可能性があると思って購入しました。

天才とは果たして何なのでしょうか。他者を圧倒する実力を持つ人のことなのか。ならば「天才はずっと天才」なのか。煌めくような力があればそれは必ずしも誰かの目にとまるものなのか。目にとまった結果、人々の期待を感じながら生きていく、いわば「消費の対象」になることは望むべきことなのか。色々なことを考えさせられました。

自分に見えている星は、なんだろう。
まだ見えていないものも、あるのだろう。
自分を見つけてくれた人も、いるのだろう。
これから見つけてくれる人も、いるのだろう。

仕事帰りにふと、夜空を見上げてしまいました。
天才望遠鏡 Amazon書評・レビュー: 天才望遠鏡より
4163919953
No.2
(4pt)

スポーツ描写が面白い

スポーツ専門カメラマンの視線で描かれた物語です
天才望遠鏡 Amazon書評・レビュー: 天才望遠鏡より
4163919953
No.1
(4pt)

天才は定義されてはじめてそれを自覚する

努力し続けることができることを、才能と呼ぶのだと思った。自分の思う「ここは外さない」に対して実直に向き合い、そして勝ち続ける人を、天才と呼ぶのだと思った。
世にいう「天才」じゃなくても、そこかしこに天才は存在する。きっと自分も、隣のあの人も、何かしらの才能があって天才であり、だけどその定義づけがされていないだけ。

短編集だけどうっすらそれぞれが繋がっていて、読んでいて疲れない、リズム感のある単行本だった。
心に抱えているモヤモヤを言語化したい人が読むと、少し視界が開けるんじゃないかなぁと思う。
天才望遠鏡 Amazon書評・レビュー: 天才望遠鏡より
4163919953

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